ファイナンス

ある日から狙われはじめた資産を守るために

2018.10.08

家族信託と遺言の違い&それぞれの活用法

良き伴侶、良き跡継ぎだと思っていた家族たちが、ある日を境に変貌していくこともあり得ます。長く経営を続けるために、経営に必要な資産だけでなく、プライベートの資産もしっかりと保守しておきたいものです。
そこで今回は、死後から効力が発生する遺言と、生前からでも効力を発生させることが可能な家族信託の違いや活用法について詳しくみていきましょう。

遺言とは?

遺言(遺言書)は遺書とは違い、本人の意思を伝えるだけでなく、厳格な手続きによって作成され、法的な効力を発揮する文書のことです。
そのため、自分の持っている財産を、「誰にどれぐらいの割合で遺すのか」を指定することができます。よって、長男よりも次男のほうに多く遺産を遺すといったことが可能となるのです。もっと言えば、法律上、遺産を遺すことができない愛人や赤の他人にも遺産を遺すことも可能です。
また、「長男には家と土地などの不動産を、次男には預金を、三男には現金を遺す」といった特定の財産についての処分を指定することはもとより、「長男と次男が不動産を売却し、売却したお金のうち4分の3を長男が取得し、4分の1を次男が取得する」と細部まで指定することもできます。
本人の意思が尊重される遺言はとても魅力的ですが、いくつか注意しなければならない点もあります。

遺言を遺すときの注意点

遺言書は、あらかじめ民法で決められている作成方法や取り扱い方法などに沿っている必要があります。
遺言の効力が発生するのは、遺言書を書いた本人の死後です。遺言書が民法のきまりに沿っていない場合や間違いがあった場合、本人が亡くなってしまっていて訂正ができないため、無効となるケースも多く、注意が必要です。
そして、遺言を書くだけでは、財産を遺したいと思う人にすべてを遺せるわけではありません。例えば遺言に、「長男にすべての財産を相続させる」と書いたとします。それでも法律は、本来ならば財産を貰うことができた兄弟姉妹以外の直系卑属や直系尊属、配偶者の保護のため、「遺留分」という権利を認めています。
そのため、遺言書を作成しようとする場合には、遺留分を計算して現金で用意しておき、相続人が不動産などを売りに出さなくても良いよう配慮しておく必要があります。
さらに遺言では、2次相続以降の財産承継に直接的に関与することができません。
また、認知症や重体などで本人では意思の表示ができない場合でも、遺言書の効果が発揮されることはありません。遺言書は、あくまでも作成者が亡くなってからしか効力を発揮しないのです。

遺言ではカバーできないと感じたときに考えたい「家族信託」

自身の死後、決まった人に自分の財産を譲りたい場合、遺言書を作成することはとてもメリットがある素晴らしい方法です。しかし、遺言に関する注意点を見ていて、「これでは自分自身が望むように利益を渡すことができない」と感じた場合は、「家族信託」という方法を考えてみても良いかもしれません。
ただ、家族信託は、遺言や成年後見制度ではカバーしきれなかった部分をカバーできる制度として脚光を浴びつつあるものの、制度自体の認知度が低いのが現実です。そのため、家族信託を深く知って扱える専門家が少なく、手続きをしてくれる専門家を探すところからはじめる必要が生じ、状況によっては、昔ながらの遺言という方法を取るほうが良い場合もあります。

家族信託とは?

「家族信託」は近年、とても感心の高まっている制度で、ひとことで簡単に表すと、「信頼している人に財産管理を任せるというひとつの方法」です。
認知症など、本人の意思があやふやになってくると、成年後見制度を利用するのが通例でした。ただ、制限や複雑な手続きも多く、スムーズに活用することが難しかったのです。
その上、本人の判断能力が衰えてからでなければ、財産の管理や処分を第三者がおこなうことはできませんでした。
しかし家族信託であれば、本人の判断能力があるうちに、財産の処分や管理について事前に取り決めておくことができるのです。また、2次相続以降の資産承継者を指定することも可能です。

遺言と家族信託の違い

遺言と家族信託の違いは以下の表の通りです。

遺言や家族信託は、依頼する機関や自身の状況、財産などによって必要な金額も違ってきます。
どちらの手続きも変更は可能ですが、大切な資産を守るためにベストな選択をされてください。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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