ファイナンス

知っておきたいインフレとデフレのこと

2018.05.28

貨幣価値の変動から資産を守る方法

日本ではよく「デフレ脱却」という言葉が使われ、経済政策の効果などがよく議論されます。デフレやインフレは経済の動向を表す重要な指標ですが、言葉はよく聞くけど正確によくわかってない方も多いようです。そこで今回は、デフレやインフレが私たちの資産にどのような影響を与えるのか、どうすれば私たちの資産を守ることができるのかについて解説します。

デフレとインフレの違い

デフレは正確にはデフレーションと言います。デフレになると物価が下がります。一方、インフレはインフレーションと言って物価が上がる状態を指します。

日本は長い間ずっとデフレに苦しんでいました。デフレは物価が安くなることなので、物が買いやすくなって経済にとってプラスではないかと考える人も多くいらっしゃいます。

しかし、物価が安いということは物を売る側の売り上げが下がるということになります。売上が下がると労働者に支払う賃金も下がります。従って国民の所得が減っていくことになるのです。

一方でインフレは、基本的には好景気な状態で需要が活性化することで起こります。石油の価格などが高騰してしまうことによって物価が上昇してしまい不景気になることもありますが、そうした例外を除き、基本的には需要の拡大によってインフレが起こります。

物を購入する意欲が高いと、物価が高くても物は売れていきます。そうすると物を売る側の売り上げが上がり、労働者の賃金が高くなります。こうして経済に良い循環が生まれるのです。

日銀のインフレ政策

日本の中央銀行である日銀は、デフレ脱却のためにインフレになるような政策を行っています。金融緩和、つまり国債を市中銀行から購入して代わりにお金を発行する方法です。

日銀は5年間で350兆円分ものお金を発行していますが、実際のところ、あまりインフレにはなっていません。その原因は、資金の大部分は日銀当座預金に置かれたままで、経済に循環していないということが挙げられます。

また、発行されたお金が実物経済ではなく金融市場に流れていることも原因のひとつです。日銀はETFやREITといった金融商品の購入によっても資金を流しています。こうした金融市場の活性化はGDPには反映されないため、実体経済の成長にはあまり貢献せず、インフレにつながらないのです。

インフレ対策のための資産運用が大切

では実際にインフレになった場合には、私たちの資産にどのような影響があるかというと、インフレは貨幣価値が目減りする現象ですので、実はお金持ちにはデメリットになります。

経済全体を考えるとデフレ脱却が重要ですが、同時に資産を守る対策を考える必要もあります。

つまり、現金や預金以外のものに資産を変えることが大切です。株、不動産、国債、金などの現物資産はそうしたインフレ・デフレ対策になります。

株や不動産は好景気になるほど値段が上がりやすい傾向がありますので、インフレに強い資産として知られています。金などの現物資産は破綻リスクがないため、インフレのときによく買われる傾向があります。

国債も、物価連動国債というインフレにあわせて金利が上がるタイプのものがありますので、インフレ対策としておすすめです。

景気と物価の状況に合わせて、賢く資産を組み合わせていくことが大切です。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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