FINANCE

成功?失敗? 中国の壮大な投資計画「一帯一路」の評価は真っ二つ

2018.10.15

21世紀のシルクロード交易を目指した中国の新しい経済圏構想「一帯一路」とは!?

1990年代には世界の工場と呼ばれ、多くの国の生産委託を請け負ってきた中国ですが、安いがすぐ壊れるなどと言われていた中国製品も、技術革新を重ね、中にはトップクラスの品質水準を持つものも出てきています。生産委託が中心だった製造業においても自社製品で世界シェアを狙うまでに成長してきました。
特にIT企業では、アリババや百度など世界時価総額トップランキングにランクインする企業も出てきています。また、GDPは2010年に日本を抜き世界2位となり、今や1位のアメリカに迫る勢いです。
そんな中国政府が、中央アジアからヨーロッパ、アフリカに至るまでの国にインフラ整備や貿易促進を目指した経済圏構想「一帯一路」をご存知でしょうか?

新シルクロード経済圏構想「一帯一路」とは?

一帯一路は、中央アジアからヨーロッパ、アフリカの国に至るまでのシルクロードに関わる国とその他の地域の鉄道や海上輸送ルートなどのインフラを整備し、新しい経済圏を作ることを目的としています。

一帯とは中国語で一つのベルト(地域、経済圏)であり、一路は一つの道という意味です。つまり、各国の貿易ルートを確立し、一つの経済圏を作るために中国政府がそれぞれの国にインフラ整備の融資を行うことが、一帯一路構想なのです。

これは、2013年に習近平国家主席によって初めて提唱されたもので、この融資対象が、主にインフラの整っていない発展途上国を中心としているため、日本が直接中国から融資を受けることはありません。しかし、それだけ強大な資金力があるという中国政府を日本も無視できず、日本政府は一帯一路政策を支持する立場を表明しています。

一部の国で債務不履行が発生

日本でも政府開発援助などの国際協力の事業を行っていますが、一帯一路と異なるのはインフラ整備に利息がついた返済を行わなければならないという点です。
一帯一路政策の下行われている港や空港、鉄道建設のための融資は、発展途上国への融資のため、返済ができず債務超過となってしまっている国もあります。

例えば、スリランカでは、一帯一路政策によって建設された港に係る債務により国の予算が成立しなくなり、完成した港が中国の国有企業に99年のリース契約を締結せざるを得ない状況となり大きな問題となりました。これと似たような状況がアフリカなどでも起こっています。

発展途上国ではもともと国の予算が少なく、そこにインフラ整備に関わる債務が加わると簡単に債務超過に陥ってしまうためです。こうした流れに対して、一部では中国による経済支配だと反発を強める国も出てきています。

成功なのか?失敗なのか? 一帯一路はまだまだ道半ば

債務不履行を理由にその国の多くの港や土地などの有形資産を奪い取っていく中国のしたたかさも垣間見えます。強大な国力を武器にインフラ整備をし、強引な融資を推し進めた中国側の責任を問う声もありますが、融資を受けた国が返済を行えない場合に代償を払わなければならないことも、仕方のないことなのかもしれません。

インフラ整備には10年、20年単位での年月が必要となるため、こうした動きがその国にとって吉と出るのか凶とでるのかはまだ結論が出ていない段階であると考えられています。

また、中国が買い取った土地に設置した中国企業の工場などがその国の経済を潤す可能性もあり、強引なやり方に批判が集まっていますが、まだまだ失敗と決めつけるのには、時期尚早と言えるでしょう。

日本の動き~TPPか?一帯一路か?~

そんな動きの中の日本の動きを見てみましょう。

日本は野田政権時にTPPへの参加を表明していましたが、トランプ政権となり、アメリカがTPPからの離脱を表明したことで、経済圏の縮小が確実となった今、中国の一帯一路にも協力し、その恩恵を受けることができるのかが多くの人の関心事となっています。どちらにせよ、経済のグローバル化の影響で、大きな経済圏に入っていなければ自国だけでの経済成長は見込めなくなってきているのです。

TPPでは、労働力も流通の対象となり話題を呼びました。医師や看護師などの医療現場で働く人も外資の医療機関の参入に不安になったという方も多いのではないでしょうか。一帯一路についても、経済圏という意味ではTPPと同質のものであると考えられます。
現在までのところ積極的な参加の表明はありませんが、中国主導の経済にも注意を払っておきたいところです。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部