FINANCE

ファンダメンタル・テクニカルの両面からトルコリラへの投資を考える

2018.09.10

トルコリラ・ショック~年率17.75%のトルコリラは買い時か?~

トルコリラの暴落が話題になっています。トルコリラは高配当通貨だったため、インカムゲイン派の投資家が多く退場の憂き目にあっていますが、何もしなくても年利17.75%ものリターンを得ることができるトルコリラは、低金利の日本では魅力的に映ります。今回は、トルコリラの現状と、投資する場合のテクニックをご紹介します。

トルコリラはなぜ暴落しているのか?~ファンダメンタルからの分析

① 鉄鋼・アルミニウムへの関税を2倍に引き上げ

トルコリラは8月10日にトランプ大統領がトルコから輸入する鉄鋼・アルミニウムに課す追加関税を2倍に引き上げることを表明したことが発端となり暴落しました。関税の引き上げから貿易戦争への懸念が表面化したことが直接の暴落要因になっています。

② キリスト教対イスラム教~根深い対立構造

エルドアン大統領はギュレン氏の、トランプ大統領はアンドルー・ブランソン氏のお互いに身柄の解放を求めています。
こうした背景にはキリスト圏とイスラム圏という宗教的な背景も絡んでいます。トランプ大統領はキリスト原理主義派が支援団体であり、2017年にはエルサレムをイスラエルの首都であると発言しています。対するエルドアン大統領はイスラム化を推進することで独裁色を強めていることで知られています。
トルコの隣国であるシリアへの空爆も宗教的な対立構造から引き起こされているといわれています。

このように、トルコリラ暴落は政治的、宗教的要因が複雑に絡み合った結果引き起こされたことがわかります。よって、ファンダメンタルの側面から見ると、上記のトラブル要素が払しょくされない限り投資しにくい通貨であるといえます。

トルコリラはなぜ暴落しているのか?~テクニカルからの分析

参考:トルコリラ月足チャート

① トルコリラの現状

トルコリラは2007年10月に99.634円を付けた後、リーマンショックの影響を受けて2009年1月に52.260円を付けて以降、2016年までの7年間は40.195-66.756円のレンジ相場になっています。
2017年に入りクーデター未遂などもあり、レンジ相場を下抜け、現在は下落相場に移行しています。

② テクニカルからの考察

相場格言「持合いは放れにつけ」の通り、2016年に下放れしてからは売り優勢になっています。フィボ計算値によると、40.195(直近下値)×0.38(フィボ値)=15.35449となっており、直近の底値である15.25円はこの「フィボ値」が意識されていることが分かります。よって、テクニカル的には買いの判断といえるでしょう。

トルコリラの政策金利の現状

トルコは2018年4月まで8.0%であった政策金利を、5月に16.5%、6月に17.75%と、一気に引き上げています。当然金利では「世界一」の水準になっており、政策金利を引き上げた時のトルコリラのレートはおよそ24円前後になっています。ですからスワップ金利目当ての買いは24円前後が多いということになります。そこからおよそ3割も短期で暴落したため、レバレッジをかけて購入した層の中には強制ロスカットにかかった人が多かったと推測されます。

格付け会社の評価

今回のトルコリラ暴落を受けて大手の格付け会社がそろってトルコの信用格付けを1段階引き下げています*。
S&Pグローバル・レーティングはBBマイナスからBプラスへ、ムーディーズはBa2からBa3へそれぞれ引き下げました。
特筆すべき事項はS&Pグローバル・レーティングの見解では「7・4%だった実質経済成長率は19年にマイナス0・5%と大幅に悪化する」としていることです。

*参考:ロイターニュース
https://jp.reuters.com/article/turkey-currency-ratings-sp-idJPKBN1L22BB

トルコリラは買い時なのか?

金利17.75%と高金利のトルコリラですが今は買い時なのでしょうか?
前述のとおり、ファンダメンタル(政治的側面)からは「買い」と言い切れないケースですが、テクニカルではフィボ値から半円傾向にあるため、市場見解では「買い」の判断がなされていることからも、以下のことに留意して投資するのであれば、トルコリラへの投資でリターンを得ることは一般的に可能であると考えられます。

① 資金配分に注意すること

政情不安が続くトルコの通貨ですので、資産の一部を投資するように心がけましょう。基本的に投資では、資金管理が重要になっています。

② レバレッジをかけないこと

FXの利点は高いレバレッジ(25倍)をかけることができる点にありますが、トルコリラのようなハイボラ通貨の場合、今回の暴落で退場者が続出したことからもわかるように、レバレッジをかけることで一発退場することになりかねません。
現状18円前後ですから10,000通貨購入しても約18万円です。18万円を年利17.75%の複利で回すと、1年で31,950円、5年で227,453円の金利収入が入る計算となります。このように、レバレッジを敢えてかけずに、リスクを抑えながら、ハイリターンを狙うといった選択肢もあるのです。

③ 分散投資をしていくこと

直近底値15.25円が割れた時のことも想定しておきましょう。レバレッジをかけなければ、退場はありません。しかし、トルコリラのようなケースの場合一般的に10円・5円と大きな幅で買い下がりの価格を想定しておくのが無難です。

④ 40円のゾーンに重いシコリがある
テクニカル的に見ると、トルコリラは7年間の長期にわたって40円以上のシコリが貯まっています。この重いシコリ(出来高)があるため、40円近くまで相場が戻した際には、それ以上の利益追求をしない方が賢明だという考え方が一般的です。

まとめ

年利17.75%のトルコリラは魅力的な投資先です。しかし、政情不安など、リスクも多く存在します。資金配分に十分留意して計画的に投資に取り組みましょう。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部