ファイナンス

投資による資産運用

資産を預金だけで運用していると、どんどん目減りしていく!?

2017.01.26

投資による資産運用

「貯蓄から投資へ」。
これは2000年代の初めから使われ始め、いまや金融庁と金融機関のキャッチフレーズとなっている言葉です。

投資への関心は世代によって様々だと思いますが、開業医のみなさまもご自分の資産を増やすためだけではなく、守るために、今回の記事をお役立ていただければと思います。

預金だけの資産運用は危険

今年スタートしたNISA(少額投資非課税制度)も、個人金融資産が投資へ向かう起爆剤として期待されましたが、現時点で活用しているのはこれまでも証券口座を保有し投資をしていた50代以上の層がほとんど。若い世代の投資意欲を喚起するまでには至っていないようです。

確かに90年代のバブル崩壊以降、日本経済は低迷。40代前半以下の世代は、社会人になって以降をデフレ経済下で暮らしてきましたから、投資に関心が低いのもうなずけます。

しかし、アベノミクス効果で時代がインフレへ向かい始めたいま、自分の財産を増やすためでなく守る意味からも資産運用を考える必要が生じています。

というのは、デフレ経済から脱却し日本経済の発展に資する安定した物価として、日本銀行は消費者物価指数の2%上昇を金融政策の柱として掲げました。

事実、2014年6月の全国のコアCPI(=消費者物価指数から天候等の条件によって価格変動が大きい生鮮食品を除いた指数。インフレ、デフレ基調の度合いを見るときはこれを使う)は前年同月比3.3%上昇。3カ月連続で3%を超え、確実にインフレ方向へ向かい始めています。

ところが、長期金利は相変わらず低迷しているため預金金利は低いまま。メガバンクの普通預金は0.02%、300万円以上のスーパー定期でも1年は0.03%、10年でも0.2%。物価上昇率とはケタが違っているのが現状です。

ということは、預金だけで運用していると資産は実質的に目減りしていることになります。
稼ぐ力がある現役世代は資産の目減りを補って余りある収入があるため、資産運用への関心は低いかもしれません。

でも、リタイア後はどうでしょう? 

運用力があれば資産が働いて収入を生んでくれます。ただし、その時になって始めても失敗する人が多いのも事実です。相場環境や税制など、投資をスタートするには好状況といえるいま、投資家デビューを考える必要がありそうです。

「投資」と「投機」の違いを理解しておく

リスクを理解して分散投資

投資というと「よくわからない」「損をしそう」「なんとなく恐い」といった声をよく聞きます。こう考える理由のひとつに、「投資」と「投機」の違いを理解できていないことがあるのではないでしょうか。

ひとことで言うと、投資とは将来の資産を増やすために中・長期にわたって資産を投じることで、投機とは機会をとらえて短期的に資産を売買し、収益を期待するものです。

株式投資を例にすると、投資は企業の成長を期待するため投資先企業のビジネスモデルや経営方針などを分析し、将来、期待できる企業であるかどうかを判断して資産を投じます。

これに対して投機は短期的な価格変動を期待するので、投資先そのものの分析よりも価格変動要因に注目するためギャンブル性が強くなります。

では、ギャンブルのような不安定さを取り除くためにはどうすればいいか。方法論や技術論はさまざまにありますが、その前に必要なことが、“目的意識を持つ”ことです。

将来の夢があり、それを可能にするために必要な資金を理解し、それを得るための手段を講じる。そうやって何のために投資するのかという意識を持つことが、より正確な情報を集め、確かな手段を選んでいくことにつながっていき、結果、ギャンブル性が少なくなっていくのです。

確かに投資商品とひと口にいっても、値動きが大きいものから安定したものまでいろいろあります。その中でどれを選ぶかというとき、目的がしっかりしていれば、それに即したものを選ぶことができます。

また、ポートフォリオを作成し組み合わせて保有することで、資産全体としてのリスクをコントロールすることもできます。

預貯金だけで資産を運用することは「リスクを取らないことがリスク」と言われる今、投資商品を資産運用に組み入れることは必要です。しかし、だからといってリスクの高い株式投資などを始める必要はありません。

投資商品の中には、投資信託のように複数の金融商品を組み合わせたものや、不動産のような実物資産までさまざまなものがあります。それらの中からどれが自分の目的を達成させるものなのかを考え、合ったものを選び、少しずつ始める(時間分散)ことが投資を成功させる秘訣です。

将来をイメージして資産運用方針を決める

自分の将来をイメージすると 資産運用の方針が見えてくる

資産運用を考えるとき、投資先によってリスク・リターンが異なることを正しく理解するのと並んで重要なことがあります。

それは、運用の目的やプランをきちんと描くことです。

というのも資産運用に関心が高まるあまりに、お金を貯めたり増やしたりすることばかりに熱心になって“使う”ことを忘れてしまう人がいるからです。

お金は自分や家族の人生を豊かにしたり、楽しむために必要なものであって、数字を積み重ねることが目的ではありません。

自分にとって有意義にお金を活用するためには、「いつ」「いくら」「何のために」お金が必要なのかを明確にすることがポイントです。

そのためには、ライフプラン表を作ってみるとわかりやすくなります。

ファイナンシャル・プランナーが作成するキャッシュフロー表の簡易版をイメージして、横軸に年号、縦軸に家族の名前を書き、年齢を記入していきます。

それをもとに、下に子どもの進学時期、家族のライフイベント、住宅や車購入など年間の収入で負担しきれない高額な消費などを書き出してみましょう。

これを記入していくことで、子どもたちにはどのような教育、進学先を考えているのか、家族旅行や住宅購入など生活スタイルはどんなイメージなのか、リタイア時期はいつにするのか、老後はどんな暮らし方をするのか・・・といった、自分のこれからをプランニングすることができます。

人生の設計図が見えてくると、自動的に必要なお金がわかりますから、あとはそれに向かって準備していけばいいのです。

子どもの教育費のように必要な時期や金額が具体的にわかっているものや、10年以内に使う予定が決まっているものはリスクの小さい商品、老後資金のように時間をかけて準備できるものは値動きの異なる商品を組み合わせてリスクを軽減しながらも大きく増やすなど、目的が明確だと運用方針も考えやすくなります。

お金だけでは充実した人生を過ごすことはできませんが、お金がないと夢を実現したり豊かな人生を送ることができないのも現実。

資産を運用することは、いまや人生において欠かせないことといえそうです。

資産運用のアドバイザーを持つことが常識の時代へ

日本でも資産運用のアドバイザー を持つことが常識の時代に!?

本業以外のことに使える時間が少ない現役世代にとって、資産運用の必要性はわかっても実行に移すのは簡単ではありません。

では日本よりも投資商品で資産を運用する人が多い、世界の人々はどのように対応しているのでしょう。

資産の運用管理といえば、多くの人がプライベートバンクを思い浮かべるのではないでしょうか。

日本ではマネーロンダリングや租税回避といったややブラックなイメージもありますが、そもそもヨーロッパで留守家族のためにお金を保全、管理する必要から生まれた事業で、現在の顧客は王族や貴族をはじめ世界中の富裕層。

口座を開設するには、預かり資産100万ドル(日本円なら1億円)以上がひとつの目安といわれます。

たとえばスイスのプライベートバンクの場合、日本などの商業銀行とは違い、銀行自身のリスクがほぼない業務しか取り扱わず、規模もこじんまりしているのが一般的。

守秘義務など倫理観が高く資産運用に対する考え方も保守的で、資産の運用・保全から個人的な相談まで受ける財務コンサルタント的存在。

それゆえ担当者との結びつきが深く、ひとつのファミリーと長年にわたって信頼関係を築いていることが多いようです。

紹介者がいないと口座開設できないといった都市伝説もありますが、そのようなことはありません。現在では日本に事務所を開設している銀行もありますし、日本人にも口座保有者が増えているといわれています。

富裕層が資産運用のアドバイザーを持つことは当たり前と思うでしょうが、アメリカでは個人の生活に欠かすことができない三大アドバイザーの一人がファイナンシャル・プランナー(FP)といわれるくらい、ごく普通の会社員でも家計や資産についての相談相手を持つことが当然になっています。

投資などの資産運用はもちろん、家計管理、保険、税金、年金など様々な分野についての相談に対応してくれるFPは、多忙なビジネスマンによって必要不可欠な存在のようです。

資産運用の必要性が、ますます高まっていくであろう今後の日本。健康管理にホームドクターが必要なように、お金にもマイコンサルタントが欠かせない時代になるはずです。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
458件の開業医を成功に導いた成功事例集