経済的な影響を最小限に抑え、大切な資産を守るために、どのような取り組みが有効なのか
2020.07.15
世界恐慌レベルのショックが起こっても安心!?~理想的な資産ポートフォリオのつくり方~
コロナショックの影響で、多くの開業医の方から『売上が下がってしまった…』『やはり追加融資を申し込んだほうが良いのでしょうか?』などといったお声が最近よく聞こえて来るようになりました。
緊急事態宣言は解除されましたが、まだ完全に元通りとは行かず、依然としてテレビで毎日感染者数が報じられる日々が続いています。今回は、このような時期に、経済的な影響を最小限に抑え、大切な資産を守るために、どのような取り組みが有効なのかについて考えてみましょう。
先行きが不透明なこの時代
資産を守るために有効な取り組みとは?
世界恐慌以来最大の経済危機『コロナショック』
ニューヨーカー憩いの地セントラルパークに野営病院が設営されたり、世界中の都市から人がいなくなっていたり…コロナに関するショッキングなニュースが世間をにぎわせたのはつい数ヶ月前のこと。緊急事態宣言が解除された今は、大阪の街にも徐々に人が戻ってきているように感じますが、この数ヶ月で受けた経済的ダメージは計り知れません。
日本は世界的に見ても失業率が2%台と非常に低いと言われていますが、現在雇用調整助成金を受け取って休業中の人(全就業者の約10%)の中に隠れ失業者が多くいると言われており、今後リーマンショック以上の雇用悪化が起こるのではとも言われています。コロナショックと呼ばれる今回の危機を乗り越えるためには、どのような備えが必要なのか、過去の事例を見ていくと、そのヒントが見えてきます。
金融緩和政策の代償『ハイパーインフレ』
景気を回復させるための王道パターンは、インフレを目指して資金供給量を増やし、公共事業(インフラ系事業)を行って雇用を確保することで、世界恐慌後のニューディール政策などもその一例です。現在も、コロナショックに対する政策として、世界各国は様々な給付金や休業補償を用意するなど、大規模な金融緩和政策や財政支出を行っています。そうしてお金をたくさん刷り、市場に流通する資金量が増えると心配なのが、お金の価値が暴落する『ハイパーインフレ』です。日本でも、戦後の復興期にハイパーインフレが起こり、株価が10倍、物価は100倍になった過去があります。預金封鎖及び新券切り替えが行われたことで、銀行やたんすにお金を貯め込んでいた人々の資産の価値が大幅に減ってしまったのです。
もし、現在これと同じことが起こると、例えば、法人保険に貯まっている退職金原資が3億円あっても、その資金が1年分の生活費にも満たない状態になってしまいます。
もちろん戦後の復興期の政策と比較すると、そこまでのハイパーインフレは起こらないのではないかと思われますが、回復期に物価が数倍になったような事例は過去に何度もありましたので、そう安心もしていられません。では、どのような対策を打っておけば万が一ハイパーインフレが起こったとしても安心できるのでしょうか?
世界恐慌レベルのショックに耐え得る『理想的な資産ポートフォリオ』とは!?
そもそも、大半の日本人の資産は現預金や保険など、インフレに弱い資産に偏っています。その反対のインフレに強い資産には、金や不動産などの実物資産や、株式などがあります。初心者の方は、まず、インフレに強い資産と弱い資産をバランスよく持つことを意識して、資産形成を考えられることをお勧めします。
それに加えて知っておきたいのは、相場が荒れている時期でも、ほとんど値動きのない資産をポートフォリオに組み込むということです。
直近のリーマンショックの際に特に変動が少なかった資産の1つに、平均的な所得の方向けの住居が挙げられます。その時期に賃貸物件にお住まいだった方であれば、リーマンショックの前後で家賃が変わるなどしていなかったことを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。この数ヶ月も同様で、テレワークの増加によってオフィスビルの需要が低くなったり、企業の経営悪化から高級賃貸物件の空室が目立つようになったりして、J-REITの価格が一時期の半値近くまで下落したといった話はよく聞こえてきていますが、平均年収程度の人をターゲットとした物件にそのような動きはほとんど見られません。たとえ、現在の住人が経済難によって退去したとしても、次の住人候補となる人が多数控えているためです。
このように同じグループにある資産でも、景気の影響を受けやすいものとそうでないものがありますので、各商品群の大まかな特性を理解しバランスよく資産配分するだけでなく、特に投資経験の浅い方は、値動きの少ない金融商品の比率を高くしておくことをお勧めします。
こんな時だからこそ始めたい定額積立
株式や投資信託などは、景気回復局面で、景気の回復と共に価値が上がりやすい資産と言われていますので、比較的割安と言われている時期にドルコスト平均法を用いた定額積立を始められることは非常に効果的だとされています。
中には、今割安なのであれば、積立ではなくまとめて買ったほうが良いのではと考えられる方もいらっしゃるかと思いますが、どこが底なのかはプロでも判断が難しく、底だと思って買ったら更に値下がりしたといった話も珍しくありません。タイミングをはかっていたら買い時を逃したといった話も然りです。
自動的に積み立てていく投資手法は、比較的単調であまり面白くないかもしれませんが、リーマンショックの時期に大きく資産を増やした投資家の多くはこの手法を使っていたと言われていますし、今であればつみたてNISAや確定拠出年金などを活用して手軽に行うことも可能です。まずは公的な制度を活用して節税効果を得ながら、資産ポートフォリオの中に投資信託等を組み入れてみてはいかがでしょうか。
なぜ人は右往左往するのか?マネープラン・ライフプランを考えてみませんか?
なぜ人は右往左往するのでしょうか?
恐らく本来の目的を忘れてしまっている、そもそも目的を設定していない、計画がしっかり立てられていないため軌道修正ができない…などが主な理由ではないでしょうか。
右往左往してしまうような大きな情勢の変化は思いもよらないタイミングで私たちの目の前に現れます。
そんな時に必要以上に慌てたりしてしまうことが一番危ない行為です。取り返しのつかない判断をしてしまうかもしれません。
そうならないように、ご自身で今一度「ライフプラン」「キャリアプラン」「マネープラン」を考えてみてはいかがでしょうか?
しっかりとしたプランさえ立案していれば、そこから逆算した最善の判断を自信を持って行えるはずです。
まとめ
コロナウイルス感染症がもたらした危機的状況は、このまま収束するかもしれませんし、100年前のスペイン風邪の時のように第二波、第三波が来るかもしれません。
今後どのような状況となっても、慌てることなく、適切に立ち回れるよう、感染拡大が落ち着いている今のうちに、ご自身の資産内容を確認し、偏りがあるようであれば見直しをされることをお勧めします。弊社コンサルティングを過去に受けられた方の場合は、現在無料のリプランニングサービスを行っておりますので、ぜひご活用ください。
- ■プロフィール
- 上領 亜代(かみりょうあよ)
島根県出雲市出身
[ ●上級コンサルタント]
コンサルタント以外にも、採用・育成・セミナー講師などを担当しております。多方面でクライアント様のお力になれるコンサルタントでいたいと考えております!