開業医のミカタ

何のために投資するのかといった目的を設定しましょう

2018.12.03

貯蓄から投資の世の中へ

今や若い女性向けの雑誌にも「投資」という言葉が並んでいるのを、見かけることが増えてきました。
人生100年時代と言われるようになり、年金破たんも想定され、そのために預金したとしてもマイナス金利政策の影響でほとんど増えることが期待できないという時代背景は理解できますが、いきなり国に頼らず自己責任で運用してくださいと言われても困ると感じられた方も多いのではないでしょうか?
今回は、これから投資を始めようとされる方が、まず検討されることの多い公的な制度のメリット・デメリットなどを交えつつ、投資を始めるにあたって押さえておきたいポイントをお伝えします。

 

子供の頃に、お年玉やお小遣いをきちんと貯金していると、親に褒められたといったご経験はありませんか?
「投資≒ギャンブル」といった認識を持ったことはありませんか?
これは、どちらも私自身の経験に基づいたものなのですが、このようなことからも、日本のお金に関する認識や教育の課題点が見えてきます。

子供の前でお金の話をするのはタブー!?

お金をどう稼ぐのか?
その稼いだお金をどう使うのか?
それは私たちが生きていく上で必要不可欠な能力ですが、日本の義務教育や家庭では、大人が子供にそのような教育をする習慣がほとんどありません。
親も教わっていないのだから、子に教えることができないといった理由もあるでしょうし、子供の前でお金の話をするのはタブーといった考え方も依然として残っています。

例えば、村上ファンド事件で世間の注目を浴びた村上世彰氏のように、幼い頃から投資を始めることは稀で、十数年前にその話題がニュースで取り上げられていた際には、幼い子供にまとまったお金を渡すなんてどうかしているという見方をされていたのを覚えています。
ただ、すでに貯蓄から投資へという動きは始まっています。本当にこのままでいいのでしょうか?

 

公的制度=低リスクとは言い切れない

公的な制度も比較的低リスクになるように設計されている場合が多く、まず何らかの投資や資産形成を始めたいといった方にとって取り組みやすいものではありますが、あまりよく考えずに始めてしまうと、後々こんなはずではなかったと後悔してしまう可能性も考えられます。
次に、よく先生方から質問をいただくことの多い、確定拠出年金とNISAを検討する上で知っておきたいポイントをお伝えします。

 

確定拠出年金(通称:iDeCo / 401K)

 

節税を考える際の選択肢として、所得控除が受けられるためまず最初に検討されることが多いのがこの確定拠出年金です。
まず、確定拠出年金の大きなデメリットは60歳まで引き出せないということと、いくら支払えばいくらの年金がもらえるかが決まっていないことです。
また、定期預金という選択肢もありますが、運用と維持にかかる手数料や、投資信託等で運用する場合の評価減の可能性を考慮しておかなければなりません。
比較的高所得でいらっしゃる皆様は、満額を拠出し続けても全く問題が発生しないことが多く、節税のメリットと天秤にかけると、拠出した方が良いという結論に至ることがほとんどなのですが、中には、もう少し慎重に検討されることをお勧めするケースもあります。

もし以下の四項目の中で二項目以上に該当するようであれば、リスクが高くなる傾向にありますので注意が必要です。

①今後学費やマイホームの購入等、まとまった資金を準備する必要がある
②所得税率が23%以下である(課税所得900万円以下)
③厚生年金に加入している
④40歳未満である

お子様の学資やマイホームの購入等でまとまった資金が必要になっても引き出せないため、最低限の資金は換金できる資産として手元に残しておかなければなりません。
また、掛け金は所得控除となるため、所得が低くなるにつれて節税のメリットが少なくなり、本来の金融商品のリスクを緩和させることが難しくなります。
さらに、将来的に厚生年金が減額になる可能性と年金や退職金として受け取る際には課税されることを加味して、投資判断を行われることをお勧めします。

 

NISA

ジュニアNISAや積立NISAなども始まり、紙面で特集されているのもよく見かけます。
全く投資をしたことがないという人にとっては、少額から始めることができ、運用益も非課税となり、資産分散にもなりますので、メリットの大きい制度ですが、取り入れる商品によっては、大きく資産が減ってしまう可能性もあるため、学資など将来的に絶対に必要になる資金の運用を目的とされる場合など、個人的にお勧めできないとお伝えすることもあります。
また、利益に対して非課税である反面、他の証券口座との損益通算ができないため、例えばNISA口座で50万円の損を出し、他の証券口座で合計50万円の利益を出した場合、総合口座同士であれば損益通算し税金はゼロになりますが、この場合は約10万円の税金が発生してしまうことや、移管することで本来発生しないはずの税金が発生する可能性があることなど、あまり言及されることのないリスクも存在します。

また、「ロールオーバーすれば含み損のまま繰越ができるので、損切りしなければ大丈夫ですよ」「損失の出そうなものは総合口座で運用しましょう」などときちんと戦略を立てて出口まで導いてくれる金融機関が少ないことも、私がNISAを強く勧めない理由のひとつです。
あまり投資経験はないという方がNISAを検討される場合は、ご自身の資産のポートフォリオを意識して、リスクの高い商品で保有する割合が高くなり過ぎないよう注意しましょう。
※NISAや確定拠出年金に関する記述は私の個人的な考えに基くもので、正直弊社コンサルタントの中でも見解が分かれている点があります。(私がどちらかというと保守的で、その対極がここにもよく登場する原田でしょうか)。
皆様にも是非、ご自身の投資基準をもって投資を行っていただければと思います。

投資を始める前にすべきこと

まず、何のために投資するのかといった目的を設定しましょう。
そして、その目的に合った商品を選び、バランスよく投資することで、失敗する可能性を大きく下げることができます。
また、投資とは直接関係ないと考えられるかもしれませんが、資産形成の基本は貯蓄です。十分な預貯金がなければ余裕を持って資産形成していくことはできませんし、預貯金があるからこそ得られる信用もあるなど、より好条件の投資案件を選択できるようになる場合もあるためです。
(例えば同じように月々10万円の収入を得たいと考えた場合、原資が1200万円であれば、年利10%が見込めるリスクの高い商品を組み込む必要が出てきますが、6000万円の原資があれば、年利2%の安定運用でそれを得ることが可能になります)。

 

まとめ

世の中が変化しているように、私たちも今までの固定概念を捨て去り、柔軟に対応していかなければならないときがやってきています。
私たちの世代が知って変えていくことをしなければ、それは負の遺産として後の世代に受け継がれてしまします。
私たちは十分なお金の教育を受けることができませんでしたが、後の世代の子供たちが、お金について知らないことで損をするようなことがないような世の中を創っていきたいですね。

■プロフィール
吉田 奈央(よしだなお)

31歳 兵庫県出身
[ ●2級ファイナンシャルプランニング技能士 ●宅地建物取引士]
大学卒業後、某地方銀行に5年勤務した後、2014年インベストメントパートナーズ入社。星の数ほどある金融商品の中から、将来ビジョンの実現のために必要なものが選択できる「資産形成の検討環境」を提供したいという想いを持って仕事をしています。