開業医のミカタ

自分の仕事がどこにどのように繋がっているのか実感を持てることは大事なポイント

2018.05.24

人材育成・人材投資について

季節は春、多くの人が新生活をスタートさせるシーズンです。
弊社においても4名の新入社員が、社会人としての新たな一歩を踏み出しました。
一般的に5月は「5月病」という言葉もあるように人材の定着率において大きな分岐点と考えられています。
せっかく採用した人材が活躍できずに辞めてしまうのは、医院にとっても従業員にとってもあまり喜ばしいことではないですよね?
今回はそんな季節に改めて、「人材育成・人材投資」について皆様と一緒に考えていきたいと思います。

Q1 言わないと動かないスタッフに困っています。自発的に動いてくれず、受けた指示以上の仕事をしないのです。積極的に働いてくれるようにするには、どうしたら良いでしょうか?

A 人材育成においては、働く動機そのものを引き上げていくようなアプローチが大切です。

人が何か行動を起こす時、必ず何らかの動機があります。職場においてはその動機が「お金のため」「患者様、お客様のため」「共に働く職場の人・職場のため」「自分の夢のため」など、人によって様々です。

どれも、個人の価値観ですので、間違いというものはありません。しかしその動機の差が、成長の差、働き方の差となり、今回のような問題を引き起こすこともあります。例えば、長く働いていると、時には失敗し、お客様からの信頼を失ったり、損失を出してしまったりすることもあるでしょう。そんな時に、働く動機が「誰かのため」、「自身のキャリアアップのため」などお金以外の動機があればその失敗から学び自己成長へと繋げる強さも持てるのではないでしょうか?

働く時間は人生の中でも多くの時間を割くものです。せっかく働くのであれば、その目的(=動機)がお金や生活の為だけでなく、自分のしたいことや周りの人の喜びに繋がっている方が、人生の時間の使い方として有意義ではないでしょうか? また仕事によって得られる充実感や達成感も違うのではないでしょうか?

人材育成においては、働く動機そのものを引き上げていくようなアプローチが大切です。働く動機がレベルアップすれば、仕事に対する学びや業務改善に対する提案、後輩への指導など自発的な行動が自然と増えていきます。働き方が「やらされ」ではなく「自分がやりたいからやっている」という状態へと変化していくのです。

こうなると非常に頼もしい人材、様々なことに積極的に取り組むハイパフォーマーとなります。このような人材をいかに多く育成していくのかが経営の視点から考えた人材育成成功の鍵となります。ではどうすれば働く動機そのものが引き上がっていくのか? 様々なアプローチが考えられますが、自分の仕事がどこにどのように繋がっているのか実感を持てることは大事なポイントです。

実際の事例として、「グッジョブカード」という取り組みを紹介します。
具体的にある人の行動(=日々の業務)から取り上げて、感謝の気持ちを従業員間で伝え合うという取り組みです。これによって伝える側も受け取る側も、自分の業務が周りの人にどのように繋がっているのか? そしてその業務がどのような貢献をしているのか? などの自覚が持てるようになります。

また感謝の気持ちを伝え合うことで職場の雰囲気を前向きにし、個人の集まりではなく同じ目的を持ち、その目的達成のために一丸となれる組織へと成長していく原動力ともなり得ます。
取り組みとしては、比較的実践しやすくプライスレスなので是非挑戦してみて下さい。

Q2 従業員の仕事に対する熱量に差があり、まとまりがないと感じています。どうすれば、従業員の意識を統一させることができるでしょうか?

A まずは多様な価値観を束ねていくことが成功の鍵となります。

多くの医院では、経営者である院長先生と正社員採用の衛生士さんや代診の先生、そしてパート採用の方と、様々な立場の方が働かれていることと思います。立場が違えば考え方や同じ光景でも受け取り方が違います。場合によっては見えている光景さえも違うのではないでしょうか?

そんな状態でコミュニケーションを取ろうと思うと、お互いの考え方がすれ違ったり、期待値がすれ違っていたりも往々にして想定されますよね。まずは多様な価値観を束ねていくことが成功の鍵となります。

どこを軸に束ねていくのか? これは経営者が示さなくてはいけません。ご自身の医院経営において大切にしていきたいことは何ですか? 患者さんにとって、従業員さんにとって、地域の方にとってどんな医院でありたいですか? 院長先生自身は仕事においてどんなことを大切にし、どのような働き方をしていきたいですか?

忙しくてあまり考えたことがなかった、すごく漠然としている、という方も多いのではないでしょうか。それらの目的・目標を見つける手法の一つに「ライフウェイク」というものがあります。

「ライフウェイク」とは、これまでのご自身の経験を振り返り、今お持ちの考え方や価値観がどのような出来事で、いつ形成されたのか? ご自身で発見していくワークです。

過去に起こった出来事は変えられません。しかし、解釈が変われば同じ出来事でも見え方に変化が出てきます。過去の出来事は全て、今のご自身を形作る大切な経験です。

一方未来はこれから形作るもの。どのような未来を実現できれば豊かな人生、キャリアになるでしょうか? 何が満たされていたら幸せと感じるのでしょうか? 何が実現できれば、働いている意味、意義が満たされるのでしょうか?

ライフウェイクを通してご自身の大切にしていきたい価値観を自覚し、経営やキャリアのゴール、つまり未来へと繋げていくことで「経営理念」、そして経営の軸が出来上がるのです。是非ご自身の理想の生き方に繋がる、理想の働き方を発見して「経営理念」へと落とし込んでみてください。多様な価値観を持つ職場において、価値観を束ねる軸を作るためにも、一番に着手して頂きたいです。

既に軸となるお考えが明確な方や「経営理念」をお持ちの方は、その思いを、従業員さんと共有できているでしょうか? ケースとして多いのは、思いはあっても共有まではできていないというお答えです。せっかく思いをお持ちなのであれば是非共有し、組織を作っていきましょう。人が集まるだけでは組織にはなり得ません。同じ思いを共有できて初めて組織となれるのです。

では、どうすれば形のないものを共有できるのか? 方法としては二つ。「見える化」、そして「感じられる化」。

リッツカールトンの事例が非常に有名で、クレドを活用して理念を常に見える化し、行動レベルまで落とし込むことで全従業員の思いと行動の軸として活用されています。「感じられる化」については、例えば始業時や終業時に、「理念」について今日どうするのか? どうだったのか? を考えさせる習慣を構築する方法や、「理念」を評価軸に落とし込み、体現者については「社内表彰」する方法などがあげられます。

医院の持つ習慣(行事)の中で理念を感じられるような取り組みを実施することで、経営者も従業員も「理念」に触れられる、大切にする、評価させるというサイクルを構築してみるのも効果的です。

まとめ

今回は「人材育成・人材投資」をテーマに書かせて頂きました。多くの医院で人材へかける経費(人件費・福利厚生費など)は少なくないはずです。

だからこそ、大切に考えたいテーマですよね。そして何より、経営者、従業員双方にとって、大切な時間の多くを仕事に使います。

たくさんの時間を使う仕事がよりやりがいを感じられ、自己の成長に積極的になることができたり、周囲の人への貢献に繋がりを感じられればより充実感を感じられる人生になるのではないかと考え今回取り上げました。皆様の職場にやりがいや笑顔が溢れることを願います。

■プロフィール
上領 亜代(かみりょうあよ)

33歳 島根県出雲市出身
[ ●上級コンサルタント]
コンサルタント以外にも、採用・育成・セミナー講師などを担当しております。多方面でクライアント様のお力になれるコンサルタントでいたいと考えております!