ファイナンス

助成金制度や融資を賢く併用して困難を乗り越えよう

2020.07.10

開業医も利用可能!コロナ関連の助成金・融資まとめ

新型コロナウイルスの影響は、開業医の方の経営状態にも重大な悪影響をもたらし、直接的にはコロナと関係のない医療機関であっても、受診を控える患者が増えたことにより、来院者数が大幅に減少したケースが多く見られます。こうしたケースでは、従業員の雇用の維持を含めて、固定費の支払いが重くのしかかっていることでしょう。
コロナ禍で売り上げが落ち込んでしまった場合には、国の助成金制度や、政府系金融機関などからの融資を利用することができます。この記事では、開業医の方も利用できるコロナ関連の助成金・融資について紹介します。

<雇用調整助成金>

雇用調整助成金は、休業に伴って売り上げが減少した事業主が、従業員の雇用を維持することを支援するための助成金制度です。休業期間中に従業員に対して支払った給料や休業手当の金額について、国から助成を受けることができます。
新型コロナウイルスの影響拡大を受けて、従来からあった雇用調整助成金の制度が大幅に拡充されました。2020年6月12日付の発表では、特に中小企業に対する助成内容が大きく拡大されています。具体的な内容は以下のとおりです。

①助成額の上限の引き上げ
1人あたり日額15,000円
②解雇等をせず雇用の維持に努めた中小企業に対する助成率の拡充
一律100%

上記のとおり助成内容が拡大される前に雇用調整助成金の申請を行った事業主に対しては、労働局・ハローワークの側で差額を計算の上、申請不要で追加支給が行われます。
なお、上記の拡充された内容の助成を受けられるのは、以下の条件を満たす場合に限られます。

・最近1か月間の売上高が前年同月比5%以上減少していること
・緊急対応期間(2020年4月1日~9月30日まで)における休業に対応して休業手当等を支払ったこと

最近では申請に対する処理のスピードも向上しているため、雇用調整助成金の制度は、事業主の方にとって非常に使いやすい制度になっています。休業手当の支払いを行った開業医の方は、ぜひ利用を検討してみてください。

<持続化給付金>

持続化給付金は、新型コロナウイルスの影響を特に大きく受けてしまった事業主の経営再建をサポートするための助成金制度です。
持続化給付金の給付要件は以下のとおりです。

①新型コロナウイルスの影響により、1か月間の売り上げが前年同月比で50%以上減少したこと
②2019年以前から事業収入を得ており、今後も事業を継続する意思があること
③法人の場合、(i)資本金の額または出資の総額が10億円未満、または(ii)常時使用する従業員の数が2000人以下であること

持続化給付金の売上減少の要件は比較的厳しいですが、上記を満たす場合には無条件で受け取ることができます。該当する開業医の方は、漏れなく申請を行ってください。

<日本政策金融公庫の特別貸付>

助成金だけでは経営維持が厳しいという場合には、まとまった運転資金を得られる特別融資の活用も検討しましょう。日本政策金融公庫では、通常の融資枠とは別枠で、6,000万円を上限として特別貸付を提供しています。
この特別貸付には、当初3年間に限り優遇金利が適用され、かなり低利子で運転資金を借り入れることができます。また、売り上げが一定以上減少するなどの要件を満たす事業主には利子補給が行われ、当初3年間は実質的に無利子での借り入れが可能となっています。
まとまった運転資金を得る必要がある開業医の方は、利用を検討してみてください。

<商工中金の特別貸付>

商工中金(商工組合中央金庫)でも、日本政策金融公庫とほぼ同じ条件で特別貸付を行っています。
商工中金による特別貸付のメリットとしては、貸出限度額としてかなり大きな金額が認められていることが挙げられます(中小企業の場合、貸出額の累計20億円以内、残高3億円以内)。日本政策金融公庫による貸付だけでは運転資金が不足するという場合には、商工中金の特別貸付も併せて利用することをおすすめします。

まとめ

これまで紹介した各助成金や融資は、目的や金額規模がそれぞれ異なります。
雇用調整助成金・持続化給付金については、要件を満たす場合には無条件で行われる現金給付ですので、要件を満たしている場合には必ず申請しましょう。
一方で、医療機関の売り上げは規模が大きいことも多く、助成金の金額規模では賄いきれないケースも多く想定されます。
そのような場合には、日本政策金融公庫や商工中金の特別貸付は、通常時では考えにくいほどの好条件で提供されていますので、助成金との併用を検討されることをお勧めします。
借金を負担することにマイナスイメージを持つ方もいらっしゃると思いますが、まとまった運転資金を得られることは、コロナの影響を度外視しても、医療機関の経営上プラスといえます。今回ご紹介した、助成金や特別融資を活用して、100年に一度とも言われる困難を乗り越えていただければ幸いです。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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