開業医のミカタ

〜投資の恐さを軽減させる3つの心掛け〜

2019.06.12

投資のリスクをコントロールする方法

 今リタイアを迎えている世代は、20~40代の働き盛りの時期に、郵便局で定期預金をしているだけで、10年で資産が倍になった時代を経験しています。そのように考えると、その世代の方が投資は不要だと考えるのも理解できます。しかし、近年投資を取り巻く環境は大きく変化し、だれもが検討すべきものになりつつあります。今回は私個人の事例を交えて、投資のリスクを最小限にするための方法をご紹介します。

安心して投資をするための3つの心掛けとは?

私たちの生活はリスクと隣り合わせです。家を一歩出ると、交通事故に遭うかもしれませんし、ウイルスを持ち帰ってしまうこともあるでしょう。かといって、家から出ないという選択をするわけにもいかないため、私たちは、無意識の内にリスクを取捨選択しながら日々の生活を送っています。しかし、それが投資など、数十年前まであまり一般的ではなかった分野に及ぶと、たちまちリスク許容度が低くなってしまうという方のお話をよくお聞きすることがあります。巷には株やFXなどに失敗し、借金を背負ってしまったといった情報も流れているため、『投資は恐い』というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。
 私個人は投資を恐いものだと感じた経験がほとんどないのですが、その理由はローリスクなもののみでポートフォリオを組んでいるからではありません(実際に、私が現在行っている投資は、比較的値動きが激しく、ミドル~ハイリスクに位置付けられている株式投資や為替取引などが中心です)。あまり不安なく続けられている背景には、投資そのものが好きで趣味の延長線上で楽しみながら行っていることや、10年近く投資を続けてきた経験などもありますが、1番大きいのは許容可能なリスクの範囲内で投資を行えているという自信から来る安心感です。ハイリスクと言われる投資でも、リスクをコントロールし、安心して投資を続けるために私が行っているのが、次の3つの心掛けです。

①自分で設定したルールをしっかり守る

 これはどの投資の本にも書かれているような当たり前のことですが、実際に投資を行っていると、これを遂行することがすごく難しいと感じることがあります。というのも、値動きの激しいものに投資していると、1日にして数か月分の給与ほどの利益が上がることが稀にあります。私も過去に数回そのような経験をしたことがありましたが、これは人の心を動かすのには十分すぎる経験です。しかし、そこで自分自身の実力を過信してしまったり、油断から自己研鑽を怠ったりしてしまうと、その後にはそれ以上の大損失が待っていることも珍しくありません。
 そうならないために、私はその金額がなくなってしまったとしても日々の生活に支障を来たさない範囲と決めて投資を行っており、具体的には、株は日本株の現物のみ、FXは国内口座でレバレッジ5倍まで、ハイリスクな投資(個別株やFX)はローリスクな資産(現金や債券など)の半分以下にするとルールを守って投資するようにしています。
 先述の巷の噂に聞く投資で借金をしてしまう人は、このリスク管理やメンタルの制御のどちらか、若しくは両方に失敗している傾向にあります。それは、株や為替においてレバレッジを利かせると、てこの原理のように手持ちの何倍もの大きな資金を動かすことができるため、その倍率の分だけ利益も損失も多くなることが理由の1つにあります。どんなに堅実に投資しようと思っていても、高いレバレッジをかけると得られるかもしれない大きな利益が非常に魅力的に映り、正常な判断ができなくなることがあるのです。これが投資はメンタルが大切だと言われる所以でもあるのですが、そんな誘惑にかられそうになった時私は、『利益は運、損失は実力不足』だと考えて調子に乗らないよう自制するようにしています。大きな利益がちらついた時には、その背景にある大きな損失は自身のリスク許容度の範囲内に収まるのか、立ち止まって考えてみましょう。

②投資対象は身近なものにする

 全く興味関心も持てないものの情報を毎日収集する作業はかなり大変なものですが、投資対象を自身の身近なものにしておくことで、その負担を減らし楽に必要な情報を集めることができます。
 私はできる限り情報は楽に集めたいと考えているため、投資対象を日常生活でよく使うものやダウや日経平均などメジャーな指数に絞り、FXは日本語で情報が得やすい円×ポンドまたはユーロなどの主軸通貨中心の運用に落ち着きました。この程度であれば、日々の生活の中や、証券会社のTOPページに載っている情報を確認する程度で事足りますので、特段手間はかからず、1日10~15分程度で済むことがほとんどです。過去には四季報を読んでみたり、投資に関する書籍をたくさん買ってみたり、トランプ大統領のTwitterをフォローしてみたり…とかなり迷走していたこともあり、今の何倍も情報収集に手間と時間をかけていた時期もありましたが、入れる情報が多すぎると逆に迷ってしまうことが多く、楽に情報収集できる範囲でないと継続は難しいと気付き、今の手法に落ち着いたのです。
 もちろん、人によって適切な投資関与度は違ってきますので、私にとってのちょうどいい状態が皆様にも当てはまるとは限りません。ご自身にとって、ご本業を主とした場合でも負担を感じない程度でできることから逆算して、皆様それぞれの最適解を見つけてください。

③少なすぎる資金は逆にハイリスク

 私は投資を始めたばかりの頃、投資資金は預貯金の10%までというルールを設定していたため、かなりの少額で投資を行っていました。当時は銀行員でしたので、個別株の取引には制限があり、投資信託やETFなどを中心に運用していました。意外に感じられるかもしれませんが、過去に最も資産が目減りしたのは、資産の25~30%程度でハイリスクな運用を始めてからではなく、少額かつ比較的ローリスクといわれる金融商品で運用していた時期でした。少なすぎる資金ではリスクを分散ができていなかったことや、利益も少なくなるため無意識のうちに1年で倍にするような無理な計画になっていたことなどが原因でした。
 分散投資に関しては、お金を守るための手段であって、運用するために最適な手段とは言えませんが、ある程度リスクを抑えつつ、安定的に運用していくためには、ある程度まとまった運用資金が必要だと気付いたのです。

まとめ

 今回は私個人が普段どのように考えて投資を行っているのかをご紹介させていただきました。これは私個人の持論ですが、投資はやってみないとわからないことが多く、実践していく中でしか学べないこともたくさんあると考えています。
 投資の必要性は感じているがやっぱり恐いと二の足を踏まれていた方の、最初の一歩が多少なりとも軽くなればという想いで書かせていただきましたが、皆様にとって少しでも参考にしていただける部分があれば幸いです。

■プロフィール
吉田 奈央(よしだなお)

兵庫県出身
[ ●2級ファイナンシャルプランニング技能士 ●宅地建物取引士]
大学卒業後、某地方銀行に5年勤務した後、2014年インベストメントパートナーズ入社。星の数ほどある金融商品の中から、将来ビジョンの実現のために必要なものが選択できる「資産形成の検討環境」を提供したいという想いを持って仕事をしています。

 

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