投資信託には保有中や換金時にも発生する手数料があることをご存知でしたか?
2019.02.15
「投資信託を始める際に注意したい!購入時手数料とその他の手数料」
投資信託を利用すれば、投資未経験者でも手軽に資産運用を始めることができます。まず投資信託は比較的少額から投資を始めることができます。また、運用をプロに任せられるという安心感もありますし、様々な投資対象に分散投資しやすいというメリットもあります。
メリットの多い投資信託ですが、投資家が負担しなければならない様々なコストがかかります。これらのコスト負担が大き過ぎると、せっかく投資を始めて、資産を増やそうとしても、手数料のせいで資産を減らす結果になりかねません。ここでは、投資信託を始めるに際して、しっかりとしたコスト意識を持てるように、「購入時手数料」、「信託報酬」、「信託財産留保額」という3つの主なコストについてご説明します。
■最初に支払う「購入時手数料」
「購入時手数料」とは、投資信託を購入するときに販売会社である銀行や証券会社などに支払う手数料のことです。「買付手数料」や「販売手数料」などと呼ばれていることもあります。投資信託を始めるのに最初に支払うものですが、このコストが大きくなり過ぎないように注意しましょう。
例えば、購入時手数料が4%の投資信託を100万円分購入したとします。この場合、投資家は購入時手数料として約4万円を販売会社に支払います。100万の投資信託を購入するのに約4万円のコストを要したので、実質的に約96万円からの運用スタートとなります。購入時のコストが大き過ぎると、このように購入しただけで大きく資産を減らしてしまいます。
■「購入時手数料」は販売経路でも異なる
同じ投資信託であれば、どこで購入しても同じ購入時手数料かというと、そうとも限りません。販売会社や販売経路によって、購入時手数料が異なることもよくあります。
例えば、A証券で購入時手数料が3%の投資信託が、B銀行では1%で購入できるケースもあります。また、インターネットで購入する場合、店舗窓口で購入するよりも安い購入時手数料を設定している金融機関もあります。この数%の差が後々響いてくることも少なくないため、購入したい投資信託を見つけた場合には、購入時手数料が安い他の金融機関がないかを確認されることをお勧めします。
なお、近年は「ノーロード投資信託」と呼ばれる購入時手数料が全くかからない投資信託も増えつつあります。初めて投資信託を購入する場合は、このノーロード投資信託の中から選択するのも良いでしょう。
■保有中に負担する「信託報酬」
投資信託を保有している間は、運用・管理の対価として「信託報酬」というコストが継続的にかかります。投資家が直接支払う手数料ではありませんが、日割計算で日々、信託財産から少しずつ差し引かれていくため、間接的に投資家が負担していることになります。継続的にかかる費用なので、投資信託を長期間保有すればするほど影響を受けやすくなります。そのため、「信託報酬」も投資信託を選ぶ際に十分に注意したいコストです。
しかしながら、信託報酬ができるだけ安い投資信託を選べば良いかというと、そうとも言い切れません。投資信託によって運用手法は様々で、かかってくるコストも異なるからです。信託報酬を低く抑えて平均的な運用成績が出れば良いとしている投資信託もあれば、信託報酬を高めに設定し専門家による調査・分析に力を入れて平均を上回る運用成績を目指す投資信託もあります。
■換金時に発生する「信託財産留保額」
換金するときに「信託財産留保額」が発生する投資信託もあります。信託財産留保額は、換金時に差し引かれて投資家が負担するため、換金手数料と見なすこともできます。しかし、厳密には手数料ではありません。中途解約のペナルティ料のような位置づけで信託財産留保額は徴収されますが、金融機関が受け取るわけではなく、引き続き投資信託を保有し続ける投資家のために信託財産に残されるものです。
なぜこのような仕組みがあるのかというと、信託財産留保額が設定されている投資信託は、換金する都度ペナルティが課せられるので、長期間保有する方が有利になり、短期間での投資信託の換金を抑制する効果があるからです。また、資金の流出が抑えられるので安定した運用を期待できるという効果もあります。
投資信託を長期間保有する目的であれば、信託財産留保額が設定されている投資信託を選ぶのも一つの方法です。反対に、購入しようとしている投資信託を短期間で換金する可能性が高いのであれば、信託財産留保額が設定されていない投資信託を選択した方がいいかもしれません。
■まとめ
投資信託を始めるに際して意識しておきたい3つのコストについてお伝えしました。これらのコストはすべて、投資信託の内容を説明する「交付目論見書(もくろみしょ)」に記載されています。この交付目論見書は、投資信託を購入する際に必ず投資家に渡されるものです。まずは、購入前に交付目論見書をよく確認して、その投資信託にどのようなコストが発生するのかを把握しましょう。また、不明な点は購入前に販売を担当する銀行や証券会社に問い合わせて確認することができます。
現在、日本には6000本以上の投資信託があります。この中から投資したいと思える投資信託を見つけるのは容易なことではありません。もちろん、運用対象や運用方法で納得できることは重要です。しかし、これらに加えて高いコスト意識を持って投資信託を選別できれば、本当にご自身に合った投資信託を見つけられるはずです。