FINANCE

AIが医師の仕事を奪う!?医師が人として患者にできる2つのこと

2019.02.21

今年も大流行!~インフルエンザもAI診断の時代へ~

AIを利用してインフルエンザウイルスの型を判定する技術が開発されたニュースは記憶に新しいと思います。今後AIが医療の現場で実用化されるのもいよいよ時間の問題になりました。
将来的にはAIの進化によって医師の仕事は奪われてしまうのでしょうか。今回はこれからますます進んでいくAI時代に、医師が人としてできることは何かをお伝えします。

2019年も猛威を振るうインフルエンザ

今シーズンも、「AH1pdm09」「A香港型」「B型Victoria系統」「B型Yamagata系統」の合計4種類のインフルエンザウイルスが猛威を振るっています。今回は2018年9月頃から発生し、10月末の時点で累計100件もの学級閉鎖が報告されていました。

毎年毎年憎らしいほど進化するウイルスに、医療現場は日々立ち向かっています。今後のインフルエンザ診断はAIが行なうにしても、インフルエンザに対しての知識と予防策は医師が発信していくしかありません。

予防接種の受診

厚生労働省の調査によると、インフルエンザ予防接種率は1979年に67.9%だったものが、1992年には17.8%まで低下しているようです。
直近のデータによると、働く世代の20代から50代で予防接種を受けたのは男性24%、女性28%であったようです。全体と比較すると高めではありますが、それでも3割に満たない受診率の低さです。
インフルエンザ予防接種を受けた理由としては「感染予防のため」「予防接種費用の補助があった」という内容が上位を占めています。
逆に接種を受けなかった理由としては「接種に行く時間がない」「自分はインフルエンザに感染しないと信じている」「予防接種の費用がかかる」「予防接種の効果を信じていない」といった内容があります。
時間がないから行けないという理由は、会社員であればやむを得ないのも理解できますが、インフルエンザを単に風邪の重い症状と捉えている人も多く、インフルエンザ判定の受診をしないまま会社や学校に行ってしまうことで、結果インフルエンザが各地で大流行してしまっている現実があります。

インフルエンザ予防接種は、1976年からは予防接種法に基づいて小中学生には強制的に接種が義務付けられていました。その後、予防接種の副作用や後遺症によりリスクを回避するために1994年の予防接種法改正で、任意で接種を受ける責務接種に変更されています。

インフルエンザが軽視されている背景には、このように強制接種がされなくなったことも一因として考えられています。また、効果が保証されないために接種を受けないという人も多いようです。

AIがインフルエンザを診断する時代

昨今話題になっているAIは「知能型AI」と「特化型AI」に分類することができます。

「知能型AI」とは、人間のように考えて行動できるAIのことです。映画に出てくる知能ロボットなどは知能型AIを表現したものですが、これはまだ研究途中の段階です。
一方「特化型AI」は、人間が行う作業の一部分を人工知能が補うものをいいます。自動運転システム、お掃除ロボットなどがこの代表です。

このAIを使って、インフルエンザウイルスの型を判別する実験が成功しています。AIがインフルエンザウイルスの型それぞれの特徴を理解し、人間の目では判別できないウイルスの違いも発見することができるようになりました。

毎年発生する新型インフルエンザの診断には、迅速検査キットのみでは十分に診断することはできませんので、インフルエンザ診断にAIを導入することにより、診断時間の短縮と判定率アップに貢献することになるでしょう。

AIでできることとできないこと

AIが医療現場でできることは「データに基づいた病状の判定」です。インフルエンザの型を瞬時に判定して提示することにより、経験が浅い医師でも知識を補完することができるという点は大きなメリットと言えるでしょう。

一方、AIにできないことは「患者の病状に対する表現を理解できないこと」です。
体の痛みなどは、曖昧な言い回しや擬音に頼らざるをえず、患者は自分に起きていることをうまく表現することができないものです。患者の言葉から正確な病状を判定することや、客観的で具体的な表現を患者から引き出すことはAIのみによっては難しいでしょう。
また、インフルエンザ患者は、AIを理解している大人だけではありません。小さな子供が機械だけで診断されて薬を投与されることに恐怖を感じてしまうことも十分に想像できます。

これからの時代は、インフルエンザの判定だけであればAIでできるようになるなど、AIによって医師の仕事が奪われてしまうという考え方も一理あります。
しかし、単純に治療という業務だけではなく、「患者が安心して受診できること」がこれからの医療の大きなカギとなるのではないでしょうか。

まとめ

AIの進化は医療現場に診断の革命をもたらします。
一方で「不安を解消したい」「医者としての意見や情報が欲しい」など、コミュニケーションをとることも医療の大切な側面です。
今後のAIと共存していく時代の中では、人間である医師にしかできない医療が更に求められるようになるのではないでしょうか。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部