MANAGEMENT

スタッフの産休・育休期間中の人材確保について

2018.12.05

院長のための産休・育休の基礎知識と対応策 vol.2

前回は産休・育休と、それに付随する労働保険や社会保険の制度についてお知らせしました。しかし、スタッフが産休・育休を取得している間の人材確保に悩まれている院長先生も多いのではないでしょうか。

多くのスタッフに仕事をお願いしている大病院であればスタッフの残業や配置転換でカバーできますが、そうでなければ他のスタッフにカバーをお願いしようにも限界があります。今回は、スタッフの産休・育休期間中の人材確保について解説します。

1 アルバイトや契約社員を募集する方法

スタッフが退職するケースとは異なり、産休・育休が終わったら出産したスタッフが復職予定である場合は、安易に新たなスタッフを正社員として雇用するのは避けたほうがよいでしょう。

産休・育休期間中の人材確保にはアルバイトや契約社員の募集が広く行われています。一定期間だけ仕事をお願いしたい医院にも、一定期間だけ仕事をしたいスタッフにも嬉しい制度ですし、特に女性が多い医院スタッフには適している方法です。

過去に医院に勤務していたスタッフに仕事をお願いできるなら、その方の能力も人柄も十分に理解できているでしょうから最良の方法と言えます。しかし、そのようなスタッフがおらず、新たに求人広告での採用をお考えであれば、以下のような懸念があることに注意しましょう。

相手の能力や人柄がわからない

医院スタッフには資格が必要な業務が多く、地域によっては必ずしも応募してくれる有資格者が多いとは言えないことがあります。さらに、資格を有しているだけではなく、専門知識や経験が必要な業務をお願いしたいこともあるでしょう。

また、患者さんの病気の状況を含めたデリケートな個人情報を取り扱いますから、守秘義務をきちんと守れる方にお願いする必要があります。

しかし、アルバイト・契約社員の求人に応募してくれた方の専門知識・経験は自己申告のため、必ずしも期待した能力を発揮してくれるとは限りません。また、面接の際に守秘義務を破りますと申告する方はいませんので、最終的には初対面の方を信頼して雇用するしかありません。

必ずしも必要な期間ずっと勤務してくれるとは限らない

最初は産休・育休期間中ずっと仕事を続けてほしいとお願いし、相手がそれに同意していたとしても、必ずしも約束どおりに仕事を続けてくれるとは限りません。何らかの理由で退職してしまうことも考えられます。

アルバイトであれば、途中で退職することを止めることができません。契約社員の場合には、仕事を始めてから1年以内での退職は正当な理由がない限り認められていませんが、退職したいというスタッフに対して法律を盾にムリヤリ労働させるのは現実的ではないでしょう。

退職してしまう時期によってはスタッフの復職までに1ヶ月もないという事態も考えられるため、その間の人材確保が困難となってしまうことが考えられます。

2 派遣会社を活用する方法

以前は資格を有する医療従事者(※1)の医療機関への派遣が禁止されていましたので、現在でも派遣会社の利用はできないと誤解されている院長先生もいらっしゃるようです。しかし、現在は条件付きで解禁されていますので、積極的に派遣会社を活用されるといいでしょう。

具体的には以下のような場合に派遣労働が解禁されています。
①離島や僻地にある医療機関で働く場合
②医療機関で働く有資格スタッフが産休・育休を取得する間のスタッフとして働く場合
③数カ月後に医療機関で直接雇用されることを前提として派遣される場合

派遣会社を利用するメリット

契約社員・アルバイトのスタッフをお願いする場合のデメリットとして既に挙げた、以下のような問題に対応しやすいことがメリットとして挙げられます。

①能力のミスマッチ
派遣会社はスタッフがどの医院でどのような業務に従事していたのかを把握していますし、業務レベルも熟知しています。万一ミスマッチが生じた場合でも、代わりのスタッフの手配を最後まで責任を持って行ってもらえます。

②守秘義務違反など素行不良の場合の対応
守秘義務違反などのトラブルが発生した場合に相談に乗ってくれることはもちろん、場合によっては派遣会社に損害賠償請求をすることが可能です。

もちろん、契約社員・アルバイトをお願いしている場合であっても、守秘義務違反などのトラブルが発生した場合には本人に損害賠償請求をすることが可能です。しかし、たとえ裁判で勝訴したとしても、そのスタッフに財産がないことが多く、結果的に泣き寝入りになってしまうケースが多く、場合によっては事実無根だとしてスタッフから逆に訴えられてしまうリスクがあります。

そのようなトラブルは本業とは無関係ですから、院長先生が関与するのはマイナスでしかありません。派遣会社を利用していると、万一そのようなトラブルが生じた場合にスタッフとの間に入り、責任をもって解決してくれます。

③産休・育休期間の途中での退職
産休・育休期間の途中に派遣されているスタッフが退職してしまったとしても、派遣会社がすぐに代わりのスタッフを手配してくれますし、労働保険や社会保険などの手続きも代行してくれますので、院長先生の手を煩わせることがありません。

派遣会社を利用するデメリット

派遣社員を利用するデメリットは、契約社員・アルバイトをお願いする場合と比較して、どうしても割高になってしまうことです。可能であれば信頼できる方に契約社員・アルバイトをお願いした方が費用的にも安上がりですし、気心も知れているため安心して仕事をお願いすることが可能です。

まとめ

2004年に医療機関への労働者派遣が解禁されてから、有資格の医療従事者を専門に事業を営んでいる派遣会社が増えており、利用している医院が増えています。特に最近は派遣会社にノウハウが蓄積されていますから、人材確保の面で幅広い相談に乗ってくれることが多いです。いざスタッフが産休・育休を取得する際に慌てることのないように、一度派遣会社のシステムを確認されてみてはいかがでしょうか。

※1 労働者派遣事業を行うことができない業務(厚生労働省作成)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000133886.pdf

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部