FINANCE

法人契約の医療保険に入るメリット・デメリット

2018.03.19

医療法人における上手な医療保険の活用方法

保険は、特約がついていたり、免責事項があったり、補償の対象が細かく決まっていたりと仕組みが複雑で一見して良い商品と悪い商品を見分けることは容易いことではありません。それがゆえに、医療法人の出口戦略を立てる上で保険は切っても切り離せないものですが、保険はよくわからないからと、税理士やFPに任せっぱなしになっているという方も多いのではないでしょうか?今回は医療法人における医療保険の活用法において、押さえておくべきポイントをお伝えします。

医療保険の種類について

医療保険は大きく2つに分けられます。1つは医療保険としての保障が一生涯続く「終身医療保険」、もう1つは期間が限定されている「定期医療保険」です。
終身保険には一生涯保険料を支払い続ける終身払いと定年を目処に払いきる有期払いの2つがあります。払込期間が短い方が、月々の保険料は高くなりますが、支払いが終わっても保障が続くため、長生きすればするほど有期払いの方が得になると言われています。

しかし、医療法人で保険に加入する場合は、法人がこれらの保険に支払った金額は、一部若しくは全部を損金算入することが認められており、税制上での優遇措置を得ることが出来るため、総支払い保険料のみの比較では一概にどちらが良いとは言い切れません。

非常に複雑に感じられますが、対象者を誰にするかという切り口で考えると、非常にスッキリと考えられます。

経営者向けの保険は終身保険がお薦め

経営者の場合には終身医療保険がお薦めです。

何故ならば、在職中病院に入院・手術の場合には、医療保険の支払金を自分の給料等の資金の足しにしたり、入院時の医療費をまかなったりすることに利用でき、退職後は契約人の名義を会社から個人に移すことで、法人では全額損金算入しながら、経営者はそれ以後に保険料を支払うことなく、一生涯の保障を構築することができるためです。経営者という立場だからこそ出来る、会社の資金を上手く活用した医療保険の活用法と言えるでしょう。

従業員向けの保険は定期保険がお薦め

従業員向けの保険は基本的には福利厚生の一環です。経営の面から見ても、離職率の低下と業績の向上につながる可能性があり、会社が準備してくれるという姿勢は、従業員の会社への帰属意識を強めると共に、勤労意欲向上につながることでしょう。

終身医療保険にすると掛け金が上がってしまいますが、従業員にも終身保険を提供し、経営者と同様に退職後にも利用できる保障は、より従業員にとって良い福利厚生になります。これは、経営者向けの活用方法のところで述べた様に、在職中は入院・手術の場合に見舞金が受け取れるようにし、退職時に退職金代わりとして名義変更することで、その後一生涯保険を受けられるようにする活用法もあります。

この方法は、社員に対する福利厚生としては最高の方法ですが、いくつかの問題点があります。それは、従業員は経営者と異なり、定年までずっとその会社で働いてくれるとは限らない点です。途中で退職・転職する可能施も考慮すると、定期医療保険で十分だと言えるでしょう。

法人で医療保険に加入する際の注意点

一般的に個人が、入院や手術給付金を受け取った場合は非課税ですが、保険金受取人が法人である場合には税務リスクがあります

例えば理事長が入院し、法人契約の保険から300万円の保険金が下りたとします。その保険金は法人に全額支払われ、その一部を法人がお見舞い金として理事長本人に支払われます。そのお見舞金の金額に明確な規定はありませんが、1回の入院に月5万円が相当という判決例も存在します。

5万円をお見舞金として理事長に渡したものは福利厚生費として損金算入されますが、残りの295万円は法人の益金に算入されます。300万円全額を理事長本人に支払った場合には、役員賞与とみなされ所得税・住民税の課税対象となります。

前者は、法人の実効税率が30%であれば、88.5万円を法人税として持っていかれること、後者は、最高税率の方であれば165万円の所得税・住民税が発生するという税務リスクを伴う計算です。

まとめ

医療法人にとって、医療保険は保険料を損金計上できるだけでなく、事業保障、退職金代わり、福利厚生と様々な活用方法があります。それぞれにメリット・デメリットが存在するため、目的に合わせた保険活用が必須です。何のための保険であるのかを明確にし、ご自身に合った保険を見つけていただければとお思います。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部