ファイナンス

バブルに翻弄されないために知っておきたい!バブルの対処法

2018.08.27

日本も後遺症に悩まされた「バブル」はなぜ起こるのかVol.1

「バブルの頃はよかった。」
そんな話を聞いたのはだいぶ昔となってしまう程、日本でのバブルの時代は遠い過去のものとなってしまいました。
バブルがはじけたから長い不況に突入したという話をされていますが、そもそもバブルとは何であって、なぜバブルが起こってしまうのでしょうか?
日本も長いバブルの後遺症に悩まされていますが、歴史を紐解くと、世界中の各地で同様の現象は起こっています。バブルの歴史を学べば、バブルが起こった時やはじけた時の対処法が見つかります。

バブルとは、大きな集団が、お金があると錯覚して使いすぎること

バブルが起こるのには様々な条件がありますが、表題にある通り、大きな集団がお金を使いすぎることがバブルを引き起こすと言えます。この「大きな集団」は国であったりある地域であったり、個人レベルではない大きな集まりです。
お金があると「錯覚する」という意味は、例えば先物取引などのように未来の価格を担保に今お金を借りることで、大金を手にします。
しかし、未来は分からないというのは言うまでもありません。ある時、実はお金がないんじゃないかと多くの人が気付き始めて、お金を使うことを一斉にやめます。これがバブル崩壊です。バブルの起こる原因はこうした集団心理にあると言ってもよいでしょう。

オランダのチューリップバブル

17世紀のオランダではチューリップの価格が常軌を逸するほどに高騰したチューリップバブルが有名です。
当時スペインの一部だったオランダですが、独立戦争に勝ってスペインから独立します。また、港町のアムステルダムは諸外国との交易により繁栄しました。独立戦争が終結して平和が訪れたことと、交易により国外から富が流入したことがバブルのきっかけとなります。
国全体が豊かになったことで、ぜいたく品であるチューリップに投資しようという機運が高まります。また病気などにより花の色が変わることも、ギャンブル性があり良い模様になる可能性が計れないため、一攫千金を夢見る人が盛んに投資しました。
また、チューリップの価格が高止まりすると先物取引市場が開かれます。ここでも、チューリップの球根価格は上がり続けると目論んで、借金をしても投資しようとする人が後を絶ちませんでした。
しかし、ある時球根価格は一気に下落します。多くの人がお金を使いすぎたことに気づいた瞬間でした。ここでもバブル崩壊が起きています。

江戸時代の元禄文化はバブルの象徴

江戸中期の華やかな町人文化を象徴する元禄文化も、実はバブルの象徴であったことはご存知でしょうか?
戦国時代が終わり、徳川幕府が治めた江戸は、天下太平の安定した時代が続いていました。当時江戸は世界でも有数の人口を有する街へと発展しています。商工業が発達し、諸外国との取引はなかったものの、国内経済だけでも十分な規模の富が江戸に流れます。
これだけでも十分バブルが起こりそうなのですが、江戸幕府は自身の所有する金銀を確保するために、小判に占める金銀の割合を減らします。(元禄の改鋳)
これにより、江戸幕府は金銀を保有することができるようになりましたが、市場には質の悪い通貨が出回ることになります。これに加えて、幕府は公共工事を行い、質の悪い小判で支払いを行うことで、経済を安定させようと試みました。幕府の仕事をして、質は悪いですが多くのお金を手にした人たちは小説や絵画などを買い漁ります。こうして元禄文化と共に江戸時代のバブルは加速したのです。
この時も質の悪い通貨を多くのお金を手にしたと錯覚することでバブルが起きます。しかし、江戸幕府の財政が悪化し公共工事を行えなくなったことでバブルが崩壊し、質の悪い通貨も一斉に価値をなくし、徳川吉宗の財政改革へと繋がっていくことになります。

バブルは身近にも起こりうる

国レベルで起こったバブルを紹介しましたが、個人レベルでもこうしたことは起こりえます。例えば、ある検査を始めたことが大当たりして多くの患者が訪れたとします。そうして大金が入ると、検査を続けている限り、患者は途切れないという神話に似た感覚を持ってしまいます。これによって様々なものに投資をしたり新しい事業を始めたりすると、気付かないうちに、財務状況を悪化させるほどの資金を使ってしまっているという状況に陥ってしまうことがあります。そんな時に新しい検査方法が考案されたり、法改正などがあると今まで医院に訪れていた患者がぱったりと来なくなり、狼狽してしまうこともありえます。
これもバブルに似た現象と言えるでしょう。

バブルに翻弄されないためには!?

こうした国レベルや個人レベルでのバブルに翻弄されないためにはどのようにすればよいのでしょうか?
当たり前のことではありますが、未来永劫価値が上がり続けるもの、何もしなくても仕事が途切れない状態というものは存在しません。こうした現実を認識し、目の前の成功に酔いしれて判断を誤らないということが重要になってくると考えられます。
実際にその状況になってしまうと正常な判断をするのが難しいため、多くのバブルの失敗例があるにも関わらず、またバブルは繰り返されるのですが、この当たり前のことを意識し、過去の失敗事例を学んでおくことこそが、バブルに翻弄されないための近道と言えるでしょう。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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