利益だけに着目するのではなく、お金の流れも計画に入れましょう!
2017.08.14
会計は未来を創造するための大事なツールVol.2
■会計上、利益が上がっているからといって、必ずしも会社のお金が増えているわけではない
会計で用いられている基準は、「現金主義」ではなく、「発生主義」と呼ばれるものであり、経済的利益の増減に着目したものです。つまり、実際のお金の出入りとは関係のない基準で測定されています。例えば、借入を行った時や返済をした時などに関しては、損益計算書には反映されません。
これによって、「黒字倒産」といって、会計上「利益」を出しながら、倒産する会社もあるのです。会計上の「利益」と会社内の現金の増減は、まったく異なる動きをすることもあるため要注意です。
資金計画を緻密に行うことは、経営を行う際に大切なことです。資金計画を立てるならば、必要以上に支払が出来なくなることを恐れることはなくなり、余剰に資金を保有していることにより、投資するチャンスを逸するといったこともなくなります。
では、具体的にどのように資金計画を立てることができるのでしょうか。
■資金繰り表を作成する
会計がお金の流れとは異なる「利益」に着目するものである以上、別に資金に関する表を作成しておくことはとても有益です。
一番良いのは「資金繰り表」を作成することです。資金繰り表というものは基本的に年ベースで作成するものですが、月毎に前月末残高から当月に資金の「入」、資金の「出」の項目を入れ、当月末残高を算出します。
このようにすることにより、月毎のお金の出入りの項目を明確にし、資金がショートにしないように管理することができます。この資金繰り表ですが、「貸借対照表」「損益計算書」とその他種々の情報から作成することができます。
会計の知識がある程度ないと作成は難しいですが、経営を行う上で、お金の流れを把握しておくことは非常に大切ですので、チャレンジしてみる価値はあるでしょう。
インターネット等にも書式や作成方法の解説はありますが、よくわからない場合は、顧問税理士に相談すると、アドバイスやサポートが得られるかと思いますので、一度聞いてみることをお勧めします。
■貸借対照表の状態から資金繰りの状況を判断する
資金繰り表の作成が難しい場合は、貸借対照表の状態からも、ある程度資金繰りの状況が良好かを判断することができます。
前回もお伝えしたように、貸借対照表の項目には「資産」「負債」という項目がありますが、「資産」の中には「流動資産」という項目があり、「負債」の中には「流動負債」という項目があります。
これら「流動資産」「流動負債」は1年以内に決済する予定がある項目が入ります。したがって、「流動資産」>「流動負債」となっている状況が望ましいと言えます。流動資産÷流動負債を流動比率といいます。目安は120%以上、目標は150%以上と考えてください。
皆様の医院の流動比率はどのような数値を示していますか?
もし、この目安より悪い状況であれば、この指標を良くするような計画を立ててください。
売上を短期的に増やせば、現金預金、売掛金等が増加するので、流動比率は良くなります。逆に債務の支払を延期する交渉を行うことでも、流動負債が減ることになりますので、流動比率は良くなります。
その他、将来の利益を生み出さない資産などは売却予定とすることで、固定資産から流動資産に振替計上を行うことができますので、流動資産が増加し、流動比率がよくなります。
資金繰りの状況というのは、ある意味「利益」より大事になってくることが多くあります。資金繰りを意識した経営を行うことにより、倒産リスクを減少させ、資金の効率的運用を目指していきましょう!