ファイナンス

減らさない資産運用に求められる4つのスタンス

減らさない資産運用

2017.07.24

「増やす資産運用」と「減らさない資産運用」の使い分けをしていますか? Vol.1

お金(資産)はいくらあっても不自由に感じることはなく、あればあるほど良いと考えられる方も多くいらっしゃるかと思います。そのため、「資産運用」というと、増やすことを目的としがちです。しかし、資産運用には、「減らさない資産運用」というスタンスが重要で、特に、高年収で富裕層に属する人にとっては大切な考え方です。

まず、減らさない資産運用に求められる4つの意外に思える運用スタンスについて紹介します。いずれも常識とは少し異なります。

1.絶対的運用目標を設定しない

多くの場合、資産運用を始めるときには、明確に意識する・しないは別にして「いつまでに」「いくらくらい」資産を増やしたいという目標を持ちます。また、多くの書籍やインターネットの情報でも、目標を定めて始めることが重要としています。しかし、目標を設定することでその目標に到達するために無理な運用してしまう可能性があります。特に、途中で運用結果が悪くて損失が出たようなケースでは、その損を取り戻そうとリスクの高い商品に手を出して、さらに傷口を広げてしまったというのはよくある話です。

資産運用を行うにあたって、例えばお子様の学資など、この時期にこれくらいなくてはならない資金を、リスクの高い運用によって準備しようとすることはお勧めできません。これは、「百害あって一利なし」です。目標に届かないと大きな問題となるなら、それは資産運用として行うべきではなく、本業を頑張って元本保証効果の高い貯蓄等の手段で計画的に準備していくことをお勧めします。この貯蓄のようなリスクが低い方法をとる場合は、資産運用を行う場合と反対で、いつまでに、どれくらいという目標設定は重要となり、その着実性から来る安心感が本業や節約などを頑張るモチベーションとなるのです。

2.投資家別に適していると勧められる投資商品に惑わされない

多くの金融機関が、資産家向け、投資初心者向け、高齢者向けなどと謳った金融商品のPRをしています。それなりの理由が付けられていることから、その投資家別に推奨された商品の中から選ぶことも少なくないでしょう。

確かに、どれだけのリスクが取れるのか、どのくらいの規模の投資が可能なのか、どれ位関与できるのかなどで、選ぶべきではない商品があることは事実です。

例えば、忙しくて資産運用に時間をさけないという方に、値動きの激しい投資はお勧めできないなどはありますが、資産運用は結果が最重で、その商品がとてもよい結果が出る商品であれば、資産家にも投資初心者にも高齢者にも向いているはずですよね。単に販売しやすいように装飾された謳い文句に惑わされないようにしなければなりません。

3.金融機関への相談はよいが金融機関任せにしない

資産家であればあるほど、金融機関から魅力的な話が舞い込み投資を勧められます。また、投資先に悩むと金融機関に相談を持ちかけたくなります。投資商品に対して幅広い見方ができることや、自分の知らない新しい商品を知ることは意味があるので金融機関と懇意になったり、金融機関に相談したりすることにはメリットがあります。

しかし、金融機関は、顧客のためを思った情報提供してくれていると思い込んだり、受けたアドバイスがプロのいうことだから最善だと思いこんだりするようであれば危険です。金融機関もビジネスですので、自社の利益を最優先させた販売も見受けられます。また、リーマンショックのような状況は再び起こる可能性は低いかもしれませんが金融機関といえども見通しを大きく見誤る可能性はあるのです。

4.長期投資が確実・有利という幻想を持たない

主に株式投資において、多くの金融機関や、インターネット上でも統計データを用いて長期投資のメリットが述べられていますが、長期投資であれば、資産運用は失敗しないと思い込むのは危険です。ご存じのようにアベノミクスでようやく少し株価は上昇しましたが、バブル崩壊後約20年間株価は下がり続けました。40代以降からの投資では20年間は超長期です。長期投資を始めるタイミングによっては、長期投資が必ずしもよい結果をもたらすとは限りません。長期投資であれば、短期投資を繰り返すより大きな損失を出しにくいというメリットはありますが、損をしないという訳ではありません。長期的な株価のシグナルを見て途中売却するという選択肢も持っておきましょう

資産を数億から数十億円所有している人が、その資産を10倍、100倍にして数百億円から数千億円にしても、物質的、精神的な満足度は、その資産の増え方に比例して高まりません。それにもかかわらず資産運用というとまず大きく増やすことを多くの人が考えます。増やしたいという資産運用では、甘い勧誘に誘われて失敗したり、リスクの高い投資を行って大きな損失を被ったりする可能性が高くなります。これが増やすためではなく減らさないための資産運用の考え方が必要とされる最も大きな理由です。

次回はそんな「減らさない資産運用」で重要となる3つの柱について説明します。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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