ファイナンス

将来の計算書類を作成することにより、目標設定を行い、確実に実行できる仕組みを整えましょう!

会計は未来を創造するための大事なツール

2017.08.21

会計は未来を創造するための大事なツールVol.3

■未来貸借対照表、未来損益計算書を作成してみる

現状の貸借対照表、損益計算書を分析することにより、自社の経営戦略上、財務上の問題などを的確に把握することができます。また、会社が進むべき方針を定めておくことにより、投資計画、財務計画なども立てておくことができます。それらは、やはり、概念のままであれば、目標設定としては曖昧であり、達成することが難しくなるでしょう。

計画を確実に実行できるよう、その目標を数値化して落とし込んでおくことをお勧めします。予算作成を的確に行うことにより、目標設定としての未来貸借対照表、未来損益計算書を作成することができます。この表を作成するためには、それなりに深い会計知識を必要としますので、会計をある程度勉強して作成を行うか、顧問税理士にお願いをしてみるとよいでしょう。

未来損益計算書は年次ベースでまずは作成しますが、最低限月次ベースに分割することにより、月次で目標設定を行うことが可能となり、目標の達成の有無の把握、そして改善案を考える機会を見出し、すぐに軌道修正を行うことができるのです。

■バランススコアカードなどの経営学の手法を用いて、確実に未来財務諸表という目標を達成するための社内的な仕組み作りを行う

未来財務諸表を作成したとしても、これを達成するために、従業員が動かなければ、この目標は絵に描いた餅ということになります。このような組織的な目標の場合、ターゲットがあまりにも大きな概念であるため、それを従業員レベルまでに落とし込んだ目標設定を行う必要が出てきます。これをサポートするための強力な経営学の手法がありますので、そちらについて今回はご紹介します。

ご紹介したいツールはバランススコアカードというものです。バランススコアカード(以下BSC)というものは1990年代にアメリカ、ハーバード大学で発表された業績評価管理システムです。当初は、業績評価として用いられることが多かったですが、近年、会社の戦略管理、目標管理などに使用されることが多く、その利用法に関して、有効性が確かめられています

概括的に流れを説明すると、まず医院の戦略と未来財務諸表を決めた上で、どの部分を改善すると、どの部分が良くなるのかという因果を的確に把握する作業を行います。その後、医院の内部を4つの視点、「財務の視点」「顧客の視点」「プロセスの視点」「学習と成長の視点」に分け、それぞれ目標設定を行います。必ずその成果を図る指標をセットにして設定を行い、PLAN→DO→CHECK→ACTIONのサイクルが適切に回るように取り計らいます。原則1ヵ月に1回、進捗状況の確認、問題点の把握、改善案の考案、目標の修正の検討等を行います。それを1週間に1回、1日1回…と簡易的にでも短い間隔で繰り返し行うことにより、PDCAサイクルを高速化させ、さらにBSCの実行性を高めていくのです。

目標があるだけで、実行されないのであれば、せっかく作成した目標も無駄なものになってしまいます。目標設定するだけではなく、それを達成する仕組みを必ずセットで考えることにより、未来財務諸表の達成を目指していきましょう!

BSCに関してはインターネットで検索すれば事例をたくさん見つけることができると思います。ぜひ、一度目を通してみてください。
 
3回にわたって連載してきましたが、いかがだったでしょうか。

中には、少し難しい内容もあったかと思いますので、全部を一度にやろうとする必要はありません。例えば、一度ご自身の計算書類を見てみたり、顧問税理士の方と相談して今回紹介した4つの視点から見た目標とそれを達成する仕組みを考えてみたり、既に目標や計画をお持ちの方は実行性を高めるためにPDCAサイクルを見直してみたり…出来ることから取り入れて行くことで、将来的に大きな差が生まれてくるのです。

会計は未来を創造するための大事なツールVol.1
会計は未来を創造するための大事なツールVol.2

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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