ファイナンス

中小企業庁・厚生労働省の助成金・補助金により医院経営を改善

医療機関でも使える助成金・補助金

2017.12.25

資金調達に困ったら?〜医療機関でも使える助成金・補助金〜

高い水準の医療を行うためには、先立つ資金が必要なのは言うまでもありません。優秀な人材を雇うための人件費はもちろんのこと、十分な医療を施すための設備投資費用も必要となってきます。

代表的な資金調達の手段のひとつに融資があります。新規開業資金などに向けたビジネスローンなど、医療機関に向けて資金を融資してくれるサービスは増えており、よく利用されています。とはいえ、できることなら返済しなくてもすむ資金を手に入れたいものです。

そこで今回は、医療機関でも申請できる中小企業庁管轄の助成金・補助金について解説します。

助成金・補助金の特徴

助成金と補助金は、いずれも自治体や政府が支給するもので、返済不要という大きなメリットがあります。

助成金と補助金は、厳密には異なるものです。原則的に受給要件さえ満たせば採択されるのが助成金ですが、補助金の場合には審査があり、申請しても必ずしも採択されないという違いがあります。

ただし、自治体によってはそのような区別をしていない場合もありますので、「●●助成金」「●●補助金」といった名称に惑わされずに募集要項を確認してみることをおすすめします。

助成金・補助金の支給額は各助成事業・補助事業によって異なります。補助金の場合には、「補助率」も異なります。必ずしも必要な費用の100パーセントの額面を支給してもらえるわけではありませんが、たとえば費用の2/3を負担してもらえるなど、手厚い支援をしてもらえます。

医院でも毎年申請できる助成金・補助金

中小企業庁や厚生労働省は、多くの中小企業に向けて補助金事業を毎年実施しています。実はこうした補助金は医療機関でも活用することができます。以下に代表的な助成金・補助金をご紹介します。

◎革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金

この補助金は製造業やサービス業の設備投資を支援することを目的とした中小企業庁の補助事業ですが、医療機関の設備導入についても申請できます。特に歯科医院などに人気の補助金となっています。補助率は2/3で、1,000万円が補助金額の上限となります。

◎創業・第二創業促進補助金

この補助金は、開業向けの補助金となります。第二創業の場合は1,000万円が上限ですが、通常の創業では200万円が上限となります。補助率は2/3となっています。この補助金も中小企業庁が交付しています。

◎キャリアアップ助成金

この助成金は、有期契約の従業員を正規雇用・無期雇用に転換したい場合や賃金規定を改定したい場合など、従業員のキャリアアップを支援することを目的とした厚生労働省の助成金です。助成金額は年度ごとに改定されることもありますが、平成29年度では、たとえば有期雇用を正規雇用にする場合には1人当たり57万円、無期雇用を正規雇用にする場合には1人あたり28万5,000円の助成が受けられます。

◎両立支援等助成金

この助成金は、従業員の仕事と家庭のライフワークバランスを支援するために設けられた厚生労働省の助成金です。出産・育児、介護など、家庭でのさまざまな取り組みと仕事の両立をサポートする内容になっています。女性スタッフの多い職場で使える助成金ですし、もちろん家庭をもつ男性従業員もサポートの対象です。

助成金の申請コースとしては、出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育児休業支援コース、再雇用者評価処遇コースのほか、平成27年に成立した女性活躍推進法に基づいて新たに女性活躍加速化コースが設けられました。平成29年度版の女性活躍加速化コースの場合、受給額としては、28万5,000円となります(生産性要件や女性管理職比率によって、支給額はプラスされます)。申請には、女性の活躍推進に関する行動計画と数値目標を策定して提出する必要があります。

申請の際の注意点

補助金や助成金は多くの場合、精算払いになります。精算払いとは、簡単にいうと後払いのことを指します。融資の場合にはすぐに資金を使うことができますが、補助金・助成金の場合には、いったんご自身で費用を工面する必要があります。そして一定の期間が経過した後に費用を自治体や政府から受け取るという流れになっています。

また、中小企業庁が管轄する補助金の場合、申請には事業計画書を提出する必要があります。補助金申請を専門とする社会保険労務士やコンサルティングサービスなども存在しますので、事業計画書の作成に不慣れな場合には、作成方法を相談してみるのもよいでしょう。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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