これだけ押さえておけば大丈夫!節税の極意とは!?
2020.06.15
節税を検討中の方がまず知っておきたい4つのこと
多くの医師・歯科医師の方々が「税金の負担が重いな」「可処分所得を増やす方法はないだろうか」といった課題感をお持ちであるため、私たちのもとに届くお問い合わせの中で、圧倒的な割合を占めるのも「税金」に関する内容です。今回は税金対策を始めたいと考えられている方に、まず押さえておいていただきたい4つのポイントについてお伝えします。
①これからも高いままの税金と、安くなる税金とは!?
今や節税を考える人にとって当たり前となったNISAや確定拠出年金、ふるさと納税などは、どれもこの10年のうちに制度が拡充される中で広まってきたものです。このように、税金の減免制度が新しく生まれているのと同時に、毎年の税制改正で課税が強化されているものもあります。
例えば、消費税が8%から10%に引き上げられたことや、合計所得金額が1,000万円を超える場合は配偶者控除を受けることができなくなったこと、所得税と相続税の最高税率がそれぞれ45%と55%に引き上げられたことなどは皆様の記憶に新しいのではないでしょうか。
このように、所得税や消費税、相続税が増税傾向にあるのとは対照的に、法人税は国際競争力を増すために年々引き下げられていますし、子や孫に贈与を行った際の非課税制度も拡充されています。
どの税金が今後も増税される可能性が高いのかを把握したうえで、長期的な節税計画を立て始めることでより節税効果を実感しやすくなるでしょう。
②税理士に経費を否認されることはよくありますか?
開業医の方であれば、医院を経営していくうえで必要となる人や物にかかる費用を経費として計上されていることと思います。診療科や保有されている設備によって基準となる経費率は変わってきますが、特に接待交際費や福利厚生費、減価償却費には、税務顧問の方の考えが大きく反映され、同じような条件の医院においても、数百万円単位の差が生まれていることも珍しくありません。
もちろん、架空の経費を計上することは犯罪ですが、実際に医院経営をしていくうえで必要となったものを、きちんと経費計上できている状態を作ることが税金対策の第一歩となります。
勤務医の方の場合は、経費は自分とは無関係だと感じられている方も多いかもしれませんが、勤務医の方でも経費枠を持つ方法はいくつか存在します(ちなみに、これからご紹介する方法は開業医の方にも経費枠を増やす効果をもたらします)。
例えば、法人を使う方法と投資用の不動産を活用する方法などは多くの勤務医の方が実践されています。その他に、太陽光発電事業や医療機器、コンテナ、最近ではドローンなどの償却資産を用いたリース業をされる方も増えてきています。これら全てに共通するのは、何らかの事業を行って、その事業に必要となる費用を経費として計上することを可能にするというスキームです。
もともと経費枠のない勤務医の方や、なかなか本業の方で経費が認められにくい傾向の強い開業医の方々は、医業とは関係のない事業を取り入れて経費枠を増設することができれば、税金をコントロールすることが非常にやりやすくなるでしょう。
この経費計上において、もう1点押さえておいていただきたいのは、所得が高い時により多くの経費を計上できるようにすることが節税の鍵になるということです。
特に減価償却費は、その年に経費計上できる金額と、支出する金額が異なりますので、より短期間で課税所得が高い年により多く経費計上できるもの( 例えば償却期間が短いものや、少額資産の即時償却の対象となるもの)を取り入れることで、税金をコントロールすることができるのです。
しかし、いくら経費になるからといって、必要のないものを買うのは本末転倒ですので、長期的にみて今医院や自身のためにどのような投資を行うべきかを考えていきましょう。
③同じ世帯年収でも500万円以上納税額が違うことも!?
一人で4,000万円稼ぐ場合と、夫婦二人で2,000万円ずつ稼ぐ場合を比較すると、後者の方が、約500万円納めるべき税金は少なくなります。これが、累進課税制度がもたらす現実です。
収入が世帯主一人に偏っているというご家庭では、その所得を分けることができれば、百万円単位で節税することも夢ではありません。
また、所得を分ける相手は、家族でなくても構いません。医業収入以外に、執筆や講演等から一定以上の収入がある方であれば、法人でそれらの収益を受け取ることによって節税効果を狙うことも十分可能です。①でもご紹介したように、法人税は所得税より圧倒的に低く、今後も低く抑えられると予想できるため、医業以外の収入源をお持ちの方、最高税率の方などは特に導入を検討される価値があるでしょう。
④対策をしたのに節税効果を感じない…その原因とは?
『いろいろ節税策を行ってみたものの、あまり可処分所得が増えたように思えず、効果を感じない… 』というお声を最近よく耳にしますが、これはその節税方法のメリットばかりに目が行って、節税に仕組みを作って、運用していくための費用などを含めて正確な事前シミュレーションができていなかったことが原因と思われます。
税理士に経費を認めてもらう交渉をするなどの手法を除き、全く支出を伴わない節税手法はほとんどありません。節税できた額以上に、その対策をするための費用がかかってしまっては、当然可処分所得は減ります。
最近よく聞かれるのが、節税のために会社を創って失敗したというお声です。
会社を創るためには最低でも数十万円のイニシャルコストと、毎年数十万円のランニングコストが必要です。どちらもその会社の経費にはなりますが、お金が出て行っていることには違いありません。そのため、元々の納税額があまり高くない方に向く方法ではないことは明らかです( 課税所得が1,800万円を超えているかどうかが1つのラインと考えられています)。節税には様々な手法が存在しますが、その効果だけではなく、どの程度の負担があるのかどうかも踏まえて比較検討されることをお勧めします。
節税は基本を押さえるだけでも効果絶大!
節税の秘訣と聞くと、特別な何かが存在するように感じられる方も多いですが、その鍵となる考え方はいたってシンプルです。
①国の動向を読み取って公的制度を正しく活用すること
②経費を漏れなく計上すること
③所得を分散させること
④費用対効果を正確に見積もること
現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、新しい取り組みを始めることに不安を感じられる方も多くいらっしゃるかもしれませんが、この4点を押さえて行動していただくと、大きな効果を実感できるはずです。ぜひ実践してみてください。