マネジメント

異業種からの転身がもたらした新しいトヨタの経営戦略とは!?

2018.10.10

豊田章男に学ぶ経営論

誰もがその名を知っている大企業、トヨタ自動車は同族経営の企業として知られています。
その豊田家にあって、異端児とも言えるのが、2009年に社長に昇格した豊田章男氏です。彼は、慶應大学で法学を学んだ後、渡米し、1982年にはMBAを取得。その後、アメリカの投資銀行に勤務し、1984年にトヨタ自動車に入社した異色の経歴の持ち主です。
クリニックも同族経営が非常に多く、なかなか異業種の視点が入ることは少ないかと思いますが、今回は異業種出身者だからこそ持ち得た「ものの見方」を経営に取り入れることによって可能となったトヨタ自動車の成功事例を紐解いていきましょう。

現場を知る努力

創業者の一族ながら、自ら各地のディーラーに足を運び、飛び込み営業までこなした章男氏は、「車のことを知らないひとに口出しをされたくない」との現場の声を聞き、開発ドライバーのトップであるマスタードライバーに頭を下げて、急ブレーキだけで2年も学ぶほど現場を知る努力を欠かさなかったといいます。現在は自らマスタードライバーの地位まで上り詰め、レクサス車の乗り味をチェックするほど、現場での地位を揺るぎないものにしています。

リーマンショックの痛手から業績をV字回復させた数々の戦略

●積極的な提携と原価、コストの削減
積極的な提携は自前主義に強いこだわりを持っていた当時のトヨタには革命的なことでした。スズキ、マツダなどの国内メーカーのみならず、BMW、フォード、などとも提携を結び、全くの異業種であるマイクロソフトとも提携したのです。
これは結果的に部品メーカーのトヨタ依存を解消し、業績の向上にもつながりました。

またトヨタ自動車とダイハツ工業で開発した新プラットフォームを軸として、原価削減だけで、商品の性能の飛躍的向上までも達成しています。

●エコカー政策とハイブリッドカーの販売価格の引き下げ
2017年に「2025年までにエンジン車のみの車種をゼロにする」と発言しましたが、これはすべての車種にハイブリッドモデルを追加するという意味です。2009年に本田技研工業が「インサイト(二代目)」を発売。トヨタ自動車も「プリウス(三代目)」を発売しましたが、二代目より性能を向上させたにも関わらず、間口を広げるために価格を下げたのです。これはまさに英断でした。

●情報通信技術の活用
ウェブサイト「GAZOO.com」を立ち上げ、トヨタ車だけではなく、自動車に関するあらゆる情報を提供しようと、その拡大に注力しました。
これらの戦略が実を結び、2012年には業績が上がり始め、2014年3月の決算では6年ぶりの最高益となったのです。

まとめ

豊田章男氏は金融業界という別世界から転身して、数々の斬新な視点によるアイディアで経営を上向かせています。別世界にいたからこそ、何が必要で何が不要かを見極められたのです。
一人で判断せずに、異業種の人間に自分とは違う視点から経営を見てもらってはいかがでしょうか?

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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