マネジメント

世界を注目させたイメージ戦略~患者を引き寄せるホームページの作り方~

2018.07.04

大賀典雄に学ぶ経営論~「自院のメインコンテンツ」を生かすクリニック運営~

ソニー“第3の男”として社長や初代最高責任者を歴任した大賀典雄氏。バリトン歌手活動後の1959年にソニーに入社。製造部部長、広告部長やデザイン室長を兼任し「SONY」デザインロゴの刷新やCBS・ソニーレコードの設立、そして90年代には家庭用ゲーム機のプレイステーションを販売するためにソニー・コンピュータエンターテインメントを新設するなど、「コンテンツのソニー」の名を確立した人物として知られています。

今回は、大賀氏が採った経営戦略とはいかなるものだったのか、そして、彼がどのように「コンテンツ企業」の屋台骨を作り上げたのかを実際のホームページ作りに絡めながらご紹介します。

世界を注目させた「イメージ戦略」

一般的にはソニーは技術屋の井深大氏と営業マンの盛田昭夫氏が作り上げた企業として認識されています。しかし、ソニーはもう一人のキーマン、“演出家”の大賀典雄氏の存在を抜きに同社の歴史を語ることはできません。

大賀氏は59年の入社以降、自社製品に黒と銀(ソニーブラック&シルバー)を基調としたインダストリアルデザインを取り入れるなど、「SONYブランドを前面に打ち出す手法」によって売り上げを伸ばし、同社の地位を名実ともに世界企業へと押し上げました。60年代初頭までは良くも悪くも“伝統的な町工場の職人気質が残る企業”だったソニーを緻密かつ大胆なイメージ戦略により、「世界のSONY」へと飛躍させたのです。

「なんでもできます」は患者の目をそらす

では、大賀氏の経営手腕はどのような教訓をもたらしてくれるのでしょうか。かつて、大賀氏はインタビューの中で「ウチにとって一番大切なものは工場でも建物でもない。「SONY」という4文字のロゴ、これをいかにイメージアップさせるかに力を注いできた」と語っており、イメージ戦略の重要性を説いていました。この「顧客を獲得したいのであれば、1つのアピールポイントを持つ」、という彼の主義には、クリニック運営に役立つ大きなヒントが隠されています。

現在の医院・歯科医院は「オールマイティになんでもできます」というアピールをホームページ上で行っているクリニックが少なくありません。たとえば、親知らずの抜歯をしてくれる歯科医院を探しているのに検索結果からたどりついたクリニックが「虫歯治療を始めインプラントや矯正などにも対応可能、しかし親知らずについての情報はごくわずか」というホームページであれば、「このクリニックで親知らずを抜いてもらおう!」と思う人は少ないでしょう。この例からも、「なんでもできる」というアピールはかえって患者の目をそらすおそれがあることがわかります。

「1つの芯」を持つことが重要

患者がインターネットを使ってクリニックを探しているときには、「その道のプロフェッショナル」を求めているケースがほとんどです。

であれば、患者を治療する立場にあるクリニックのホームページは「これが私たちの得意分野です」という「1つの芯」をユーザーに示してあげることが真のホスピタリティではないでしょうか。

「自院ならではの強み」を生かすクリニック運営を心がける

もし、既存でさまざまな治療を行っている場合には、その多様なコンテンツを生かしつつもやはり1つの大きなアピールポイントを作ることで、より集患がしやすくなります。この点については、大賀氏がソニー在任中に家電のほか、保険や金融、エンターテイメントなどの各分野に挑戦しつつも、最終的には音楽やゲームソフトなどのコンテンツ、つまり「企業のソフトウェア」を前面にだす経営を一貫して行い業績を伸ばしていった、という姿勢にクリニック運営の極意を見出すことができます。

日本の家電メーカーの一つに過ぎなかったソニーを大賀氏は自身のイメージ戦略によって、「音楽、CD、プレイステーションのソニー」と人々に認識させることに成功したのです。もちろん、治療・診療科目が多く、「なんでもできる」でもかまいません。各種の治療に対応できるというのは素晴らしい強みとなります。ただし、ホームページを公開するのであれば「○○なら当院におまかせください」というクリニックの『強み』をきちんと目立たせることが大切です。ソニーの陰の立役者、大賀典雄氏の「1つのソフトウェアを生かす経営戦略」。ぜひ、ホームページ作りのご参考になさってみてください。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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