マネジメント

競争との決別~0から1を生み出すために必要なこと~

2018.03.21

ピーター・ティールに学ぶマネジメント

PayPalの創業者で、投資家でもあるピーター・ティールのビジネスに関する考え方は、これまでのビジネスの考え方とはかなり違います。日本語版として2014年に出版された「ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか」を読むと、彼の考え方がよくわかり、これまでビジネスの常識だと思っていたことが間違っていたと気付くでしょう。
そこで、今回はどの業種でも生かすことができる、ピーター・ティールの考え方を紹介します。

Pay Palの創業者

PayPalとはインターネットを利用した決済システムです。インターネットでの決済といえばクレジットカードが有名ですが、PayPalもクレジットカードを使います。では何が違うかというと、PayPalアカウントにクレジットカードを登録しておけば、常にクレジットカード情報を入力しなくても簡単に決済できるというサービスです。

このPayPalには優秀な人材が集まり、「ペイパル・マフィア」などとも呼ばれています。イーロンマスクをはじめ、様々な企業を成功に導いているのです。なぜ彼らが成功できているかといえば優秀だというだけでなく、人と違ったことをしていることに大きな原因があります。

競争はイデオロギー

生きていく中で人間は常に競争を強いられています。特にほとんどの人が経験している受験などは競争そのものです。競争を勝ち抜かなければ合格することはできません。そうした競争をしていく中で、いつの間にが「競争は必要なもの」と思いがちですが、実際は競争をしないほうが良いというのがピーター・ティールの考えです。彼は「競争はイデオロギー」とまで主張し、競争をせず独占をすべきだとしています。「競争」は必ず消耗します。

よくあるのが価格競争で、価格競争によって利益が下がっていき、中小企業など体力がない企業は真っ先につぶれていきます。そこで、競争をしないで独占できるサービスを考える必要があるのです。独占することができれば、ライバルのことなど考える必要がありません。しかも独占することができれば、日々の利益に追われることもないので、余裕が出てきます。余裕が出てくれば次のビジネスのことも考えることや、長期的な視野でビジネスを考えることもできるのです。

その違いに意味があるか

サービスを独占するためには、自分の強みを生かすだけでなく、他のサービスとの違いを考える必要があります。しかし、その違いに意味があるかどうかを考えなければなりません。ピーター・ティールはよくレストランを例に出しますが、競争を避けるために「○○料理」など出す料理を限定するレストランがあります。確かにその料理を出しているレストランは周りにはありません。しかし、その料理を出すレストランが周りにない理由はなぜなのでしょうか。その理由はお客さんがいないからです。

周りのレストランとの違いを意識するのはいいのですが、そこにお客さんが来なければ意味がありません。違いを出すことで、多くのお客さんが来てくれるようなビジネスを考える必要があるのです。ただし、いきなり大きな市場が目の前に現れるわけではありませんし、お客さんがたくさん来てくれるわけでもありません。最初はどの企業も小さくはじめ、その市場を独占し、さらに大きな市場がその先に存在し、その市場を独占する道筋を考える必要があるといえます。

強みと違いを生かす

医療の世界ではなかなか強みや違いを生かすのは難しいかもしれません。しかし、医療の世界でも、競争をしないという意味では対象を絞るということがまず考えられます。例えば小児対象やシルバー対象の歯科医院にしたり、矯正歯科などの専門性に特化したり、別のサービス、例えばリラクゼーションなども取り入れたりと、対象を絞り、得意分野を生かしつつ、他院との違いを明確にし、独自性を打ち出すのです。

あなたの医院の強みと違いは何ですか?

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
458件の開業医を成功に導いた成功事例集