マネジメント

組織を強くするための「個々の力を最大限発揮させる経営管理手法」

2018.03.14

京セラの創立者稲盛和夫氏が行った「アメーバ経営」とは?

京セラの創立者であり、JALを再生した稲盛和夫氏は、全国に「盛和塾」と呼ばれる経営塾を展開し、大中小問わず様々な経営者が参加しています。その稲盛和夫氏が提唱している経営管理手法が「アメーバ経営」であり、独自の視点から創り上げたこの手法は、多くの企業に「稲盛哲学」として広まっています。それは、日本だけにとどまらず、中国ではピーター・ドラッカーをも超える影響力を持つと言われています。
今回は、このアメーバ経営がどのような経営手法なのか、どのような取入れ方が出来るのか、ご紹介していきます。

アメーバ経営とはどのような経営手法なのか

アメーバ経営では、会社などの組織を小さな集団に分け、それぞれの集団ごとに目標を設定し、その小さな集団ごとに独立採算で運営していきます。この小さな集団を『アメーバ』と呼びます。それによって、従業員一人ひとりが利益を意識し、会社の運営に自ら関わっているという主体性を生み、上層部のみで行う経営ではなく、全員参加の経営を実現させることを狙った経営手法です。
つまり、この経営手法の目的は、「チームごとの採算制度確立」「一人ひとりの人材育成」「全員参加型経営による意識改革」となります。稲盛氏は会社の経営の原理原則は「売上最大、経費最小」で、アメーバごとの採算がとれる組織づくりをするためにもアメーバ経営が必要と考えています。

人は、会社の利益と自身の利益がつながっていないと、どうしても会社の売上や利益に対して他人事として捉えがちになります。それを自分事として考えられるようにするために、アメーバごとにどのくらいの経費がかかり、どのくらいの売上に貢献しているのか、自身の給与原資がどのように生まれているのかを明らかにすることが有効です。それは、アメーバごとの「利益」と「経費」、「時間当たりの生産力」を帳簿につけるなどの簡単な取り組みで自身の給与原資がどのように生み出されているのかを知り、会社の利益と自身の利益がつながると、経営を自分ごととして考えられるようになります。そうなることで、個々が会社の利益を増やすための創意工夫が生まれ、生産性の向上につながっていくのです。

アメーバ経営に欠かせないもの

アメーバ経営を取り入れるために必要な事として、外せないのが「フィロソフィ」です。
組織を小さな集団に分けていくことで懸念されるのは、それぞれの組織で考え方や目指す方向性がバラバラになってしまうことです。稲盛氏はこのフィロソフィを掲げることでアメーバ経営という組織を分散する仕組みを成功させたと考えられています。

京セラの経営理念には「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」と掲げられており、金銭的な欲求を満たすだけではなく、「やりがい」を与え、社会的な使命を明確にしています。このように目指す方向を定め、それを一緒に目指していけるように従業員一人ひとりに伝えることで、それぞれの組織の方向性を統一し、個々の意識を高めることが出来たのです。

組織で働く人間はロボットではありません。個々の考えを尊重しつつも、会社としての経営ビジョンを明確に打ち出し、それらを浸透させていくことで個々の力が最大限に発揮される強い組織になります。

組織を強くするためには組織を形成している一人ひとりの従業員の力を最大限発揮することが必要です。
そして、従業員一人ひとりが主体的に「経営意識」を持って仕事に取り組める状態にするためには、「どのような役割があるのか」「どういう行動が必要なのか」を従業員全員が認識し動けるようにしなければなりません。

もし従業員の方の中に、医院経営を他人事のように感じているスタッフがいる、意識や成長に大きな差が生まれているなどと感じられる方がいらっしゃいましたら、個々の力を最大限発揮するためにも、フィロソフィなどの経営ビジョンや一人ひとりの役割を明確にし、「チームごとの採算制度確立」「一人ひとりの人材育成」「全員参加型経営による意識改革」というアメーバ経営の要素を取り入れられてみてはいかがでしょうか。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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