ファイナンス

クラウドファンディングが資金調達の世界にもたらしたものとは?

2017.07.17

Fintechが「資金調達」の民間化に与えた影響と、今後のレンディングを巡る動き

2013年、「半沢直樹」というドラマが大流行したことを覚えていらっしゃいますか?
このドラマの主役は銀行職員でしたが、このドラマの中に、銀行の考え方を表す以下のような言葉がありました。

「銀行は晴れているときに傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる」

当然これは、中小企業の倒産リスクを回避したい銀行が、リスクをコントロールするために必要な考え方ですが、銀行の顧客である経営者、特に中小企業のオーナーにとっては、銀行からの事業資金借入が出来るか否かは死活問題となります。お金が必要な「雨の日」に借入が出来ないことによって、倒産の憂き目を見る経営者が多く生まれているのも事実です。そうならないための手段として、本当に資金が必要な時に銀行以外から資金援助を受けられる仕組みが求められてきたのです。

その1つとして、先頃登場してきたのが、「クラウドファンディング」です。

■クラウドファンディングとは?

銀行からの借入は銀行そのものが貸付をするという意味でプロパー融資といいます。当然その原資は顧客の預金です。それに対して、クラウドファンディングは銀行を介さず、顧客が主にインターネットを経由して個人や企業から直接資金調達をするモデルを指します。もちろん中小企業のオーナーも利用することができますが、漫然と事業資金を求めるだけで、資金調達ができるわけではありません。どのような事業を生み出すための資金で、どういった「目的」でその資金を必要としているのか、その資金があれば何が出来るのかを明確にすることが、クラウドファンディングを通じて資金を集める上での大切なポイントとなります。その「目的」に共感した不特定多数から支援を受けることができるのがこのクラウドファンディングなのです。

2017年現在、クラウドファンディングを行う代表的な企業を3社ご紹介しましょう。

レディーフォ― 

2011年にオープンした日本で初めてのクラウドファンディングサイトです。これまでの累計は約6500プロジェクト、支援金額は42億円に達します。他社より社会性の強いプロジェクトが多く、手数料が達成金額の17%と低いことも特徴です。

Makuake 

サイバーエージェントグループでクラウドファンディングビジネスを運営しているMakuake。同社を代表するアメーバブログと同様、有名人の参画が多いことが特徴です。アメーバとの連携による情報発信力や手厚いサポートが魅力で、注目を集めるキャッチ―なプロジェクトは資金を集めやすい傾向があります。

キャンプファイア 

Makuake同様、有名人発信のプロジェクトの多さでは負けていないキャンプファイア。大分県別府市に遊園地を作るという壮大なプロジェクトが多くの資金を集めたニュースも記憶に新しいところです。現在、日本最大の規模と言われており、若いユーザーが多いのも特徴です。

■台風の目となりそうなMF KESSAI

資金調達はクラウドファンディングだけではありません。先日、サービス開始イベントを行った家計簿アプリPFM(個人財務管理)サービスの大手、マネーフォーワードが子会社を設立し、6月20日より企業間後払い決済サービスの「MF KESSAI」の提供を始めると発表しました。

現在の同社のサービスは売掛金を回収して資金調達ニーズに応えるファクタリングですが、今後は同社自身が資金移動業の免許を取得し、中小企業をサポートするポジションを確立したいと表明しています。クラウドファインディングの次段階としての資金調達として、数年後には確固たる存在感を示している可能性も考えられるでしょう。

昨今、資金調達といえば銀行の専売特許だった時代から、インターネットを通じてより多くの人とつながれる時代が到来し、金融の世界も大きな変革期を迎えています。今後の動きに注目したいものですね。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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