ファイナンス

税制改正の流れを知り、長期的な節税計画を立てよう!

2021.01.10

令和3年度税制改正の概要と重要な変更点について

税制改正は毎年1回行われていますが、その変更内容によっては、皆様の納税額に大きな影響を及ぼします。今回は令和3年度(2021年度)税制改正の重要な改正事項および留意すべき事項の中から、特に皆様の資産形成に及ぼす影響の大きいものをピックアップしてお伝えしましょう。

【相続税・贈与税】

今回の改正で重要なポイントは、今後の日本経済を支えるであろう高度外国人材の登用を促進する観点から、当該外国人のうち日本に居住する者にかかる相続は、居住期間に関わらず国外に住んでいる外国人や、国内に短期間滞在している外国人が取得する海外の財産を相続財産の課税対象にしないことになりました。
上記の他にも、教育資金・結婚・子育て資金の一括贈与に関する贈与税の非課税措置は、適用期限の延長措置が取られました。延長になる期間は2年とされましたが、当該措置は利用件数が少ないことを踏まえ、次の適用期限到来時に、制度の廃止を含め改めて検討がなされる点に注意が必要です。
このように贈与税の非課税措置延長の背景には、高齢者に資産の偏りが認められることがあり、眠っている資産を有効活用し、経済の活性化を図るために、早期に若年世代に資産が移転するように税制を改定する流れにあります。
制度の改定については世代間で不公平が無いように、諸外国の贈与税の規定を参考にしながら今後も議論が行われるとのことです。

その他、相続税・贈与税の改定事項

相続税や贈与税については以下のような変更点があります

①特定の美術品にかかる相続税の納税猶予制度については(登録有形文化財登録基準の改正を前提にしたうえで)、適用対象となる特定美術品の範囲に「制作後50年を経過していない美術品のうち一定のもの」を加えるとのこととされました。

②非上場株式にかかる相続税の納税猶予制度について、被相続人が70歳未満で死亡した場合でも税務上有利な特例措置を受けることができるようになりました。

【住宅ローン控除】

新型コロナによる将来の経済の不確実性等を鑑みて、住宅ローン控除の制度にも変更が加わりました。
もともと、消費税増税に伴う住宅の需要減少に対する施策であった、住宅ローンの控除期間が通常の10年+特例期間3年の計13年となる特例が、今年末で終了となる予定でしたが、2年間延長されることになったのです。
具体的には、新築住宅は2021年9月末までに、それ以外の住宅は2021年11年末までに契約をし、2022年末までに入居した方が控除の対象になります。
さらに、追加的な経済的な措置として、合計所得1000万円以下の方限定ではありますが、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅も本措置の適用対象に加わります。

まとめ

令和3年度での税制改正では、今までの日本の経済状況に加えて、コロナウイルスによる国民経済への影響や所得に考慮して様々な改正が行われていることが分かります。医師の方々においても自らの資産形成に影響を及ぼす税制改正について概要を知っておくことは自身の資産を守ることにもつながります。
今回の税制改正では、①教育資金等に関する贈与税の非課税措置は廃止も含め今後変更がある可能性があること、②相続税・贈与税は美術品や非上場株式の相続に関して有利な改定を行われたこと、③住宅ローン控除についてはコロナの影響により控除期間13年の特例が延長されること、を押さえておくと良いでしょう。
また、その他の個人所得課税についても、コロナ後の日本国内における経済状況の大きな変化を踏まえ、配偶者控除・給与所得控除・公的年金控除・基礎控除の一体的な見直しが進められています。
今回お伝えしたように税制改正は毎年行われるものの、昨今の経済状況を反映していくことが多く、自身の資産防衛のためにも有利な相続や住宅ローンの組み方等を考えていくことで、資産形成をより有利に進めることが可能になります。税制改正の流れを理解した上で節税を考えることにより、より大きな効果が期待できるでしょう。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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