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外貨預金のメリット・デメリット~ニーズを明確にすれば必要なサービスが見える~

2019.04.06

主要なネット銀行の外貨預金サービスの特徴

円が低金利ということもあり、相対的に高金利である米ドルや豪ドルなどの外貨での預金を考えていたり、リスクヘッジの観点から外貨への分散投資を視野に入れていたりする方も多いのではないでしょうか。今回は、主要なネット銀行の外貨預金サービスの特徴を外貨預金のメリット・デメリットをふまえてご紹介します。

<外貨預金のメリットとデメリット>

外貨預金のメリットとしては高金利というだけでなく、為替差益で利益を得られることがあります。為替レートが1ドル=100円のときにドルを預け入れ、1ドル=110円のときにドルを払い戻せば、単純計算で1ドルにつき10円の利益が得られることになります。デメリットとしては円預金と違い預金保険の対象外ということと、為替レートが下がった場合、元本割れになる可能性があることなどが挙げられます。

<先進国通貨と新興国通貨>

外貨預金を取り扱っているネット銀行は数多くありますが、提供しているサービスの種類や内容は各金融機関で差異があります。ちなみにコンビニ系ネット銀行のセブン銀行やローソン銀行では外貨を取り扱っていません。

通貨は大きな括りで、米ドルやユーロ、日本円、英ポンドなどの先進国通貨と、中国の人民元や南アフリカ共和国のランド、ブラジルレアルなどの新興国通貨の2種類に分類されます。新興国通貨は高い経済成長が続いているなど、潜在的な可能性のあるエマージング(新興国)市場で流通する通貨の名称です。高い経済成長が期待できるので高金利な半面、通貨の市場規模が小さく巨額の資金の流出入で為替レートが大きく変動するため、先進国通貨よりは相対的にリスクが高いといえます。また政治・社会・経済情勢の不安定さも高リスクの要因として看過できません。

<為替手数料>

取り扱っている外貨は、主要ネット銀行で最多の新生銀行で13通貨と、FXの取り扱い外貨数には及びませんが、多くの外貨を取引することができます。円での預金と異なり、預入時(円→外貨)と払戻時(外貨→円)に手数料がかかります。米ドルの場合、最安値のGMOあおぞらネット銀行は1米ドルあたり往復4銭、最高値の楽天銀行とイオン銀行でも往復50銭と、かなり安い水準です(表1参照)。参考までに4大銀行(三菱東京UFJ、三井住友、みずほ、りそな)のネットバンキングでの取引を除いた米ドルの為替手数料は往復2円です。

[表1]主要ネット銀行の取扱外貨数と主要外貨の為替手数料(往復、1通貨単位あたり)

注1)外貨数は普通預金の取扱外貨数
注2)じぶん銀行、イオン銀行は預入時の手数料は0円
注3)ソニー銀行、新生銀行は基準手数料(利用者のステージによる手数料の優遇あり)
注4)「-」は取り扱っていない

<米ドルの普通預金と定期預金の金利>

米ドルの普通預金の金利はもっとも高い住信SBI銀行やイオン銀行、ソニー銀行、GMOあおぞらネット銀行は0.7%(表2参照)。最も低い楽天銀行や新生銀行は0.01%。1ヵ月定期預金の金利はもっとも高い楽天銀行で2.0%、最も低いじぶん銀行で1.05%です。定期預金の最低預入額や預入期間も銀行間でかなり差があります(表2は主な預入期間のみ掲載)。

[表2]米ドルの普通預金と定期預金の主な金利)

注1)金利は年利率・税引前
注2)ジャパンネット銀行、ソニー銀行は1万ドル未満。住信SBIは30万ドル未満
注3)2019年4月1日からGMOあおぞらネット銀行の普通預金の金利は1.5%に変更されます
注4)「-」は取り扱っていない

<AIを使った取引支援ツール>

昨今はどの分野でもAI(人工知能)が積極的に活用されていますが、無料で利用できる外貨取引支援ツールに力を入れている銀行もあります。

じぶん銀行では過去の為替の変動をもとに数時間後~数日後の為替変動をAIが予想するスマートフォンアプリを提供しています。気になる的中率は、為替レートが高確率で上がると予測する「AI外貨予測アラート」が76.2%、1時間後~5営業日後の為替相場を予測する「AI外貨予測」が67.5%と、高い数字が出ています。加えて「AIによる外貨自動積み立て」という商品もラインナップされています。AI がその月でより安値(円高)で購入できると判断した日に外貨を自動的に積み立てます。取引するタイミングがわからないといった理由で外貨取引を敬遠していた方には強力なサポートとなり、外貨取引が身近になるツールです。

ジャパンネット銀行には外貨取引が初めての方も簡単に使え、かつ高度なテクニカル分析の結果を確認できる外貨取引支援アプリ「テクニカるナビ」があります。「形状予測チャート」は過去のチャートから、現在の値動きと類似した形状を見付け、一致率の高い形状を未来の値動きとして自動的に表示します。「テクニカルパネル」は主要な複数のテクニカル分析をもとに買いか売りのどちらが優勢かを数値で示すので、一目で傾向の強さを判断することができます。

<その他の特色>

外貨預金はリアルタイムで注文する方法と指値・逆指値で注文する方法があります。前者は現在の為替レートで預金する方法で、後者は預金したい為替レートを指定する方法です。たとえば、1米ドル=100円と希望のレートを指定すれば、そのレートに達したときに自動的に約定が成立します。ジャパンネット銀行やソニー銀行、住信SBI銀行でサービスが提供されています。

海外出張や海外旅行などによく行かれる方は外貨普通預金を海外での支払いに充てられるサービスを利用できる銀行があります。事前にチャージするプリペイドカード方式と預金口座から即座に引き落とされるデビットカード方式があり、前者は新生銀行や住信SBI銀行、後者は住信SBI銀行やソニー銀行、楽天銀行で提供されています。

<自分のニーズを明確に>

前述のように、外貨預金と一口にいっても、提供されるサービスは銀行により多種多様です。外貨預金をするにあたっては最初に自分のニーズを明確にすることが大切です。そうすることにより、どの銀行のどのサービスを利用すれば良いのかが見えてきて、銀行に使われるのではなく“銀行を使うこと”ができます。

<世界情勢を映し出す為替レート>

為替レートは世界情勢を映し出します。円安になれば日経平均株価が上がる傾向にあるのは、より多くの世界の投資マネーが日本株に向かうためです。ユーロの金利の低さは、ユーロ圏の政治の不安定や財政不安に起因する人気のなさを表しています。英国のブレグジットに関しては、合意なき離脱のリスクが高まればポンド安に、合意なき離脱を回避するとの見方が強まればポンド高になると予想されています。為替レートから世界情勢を読み取ることができ、それも外貨取引をする大きな利点だといえるでしょう。

(※数値は2019年3月30日時点のものを掲載しております)

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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