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非課税のメリットが突然なくなるかも!?iDeCo、NISAの注意点

2019.03.27

海外勤務や留学予定者は注意!iDeCoやNISAは海外居住では使えない

株式や投資信託に投資する場合、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった税制優遇制度がよく勧められます。
税負担を抑えながら資産形成ができるという魅力があり、多くの人が積極的に利用していますが、もし海外で生活することになった場合、これらの優遇制度は、利用できなくなる可能性があるため、今後、海外勤務の可能性や留学の予定がある人は、注意が必要です。突然、利用できなくなっては、せっかくの税制優遇が受けられないばかりか、資産形成の計画にも影響を及ぼしかねません。

■海外居住となる可能性

現在、様々なビジネスがグローバルに展開されています。勤務医でも急に海外勤務となることも少なくありませんし、さらなるスキルを習得するため海外へ長期間留学する人も増えてきました。このように、自身が海外勤務や留学したり、それに同行したりするなどの理由で海外居住となることは、現代社会ではよくあることです。

では、具体的にどのような条件で海外居住になるとNISAやiDeCoが利用できなくなるのでしょうか。NISAとiDeCoでは、利用できなくなる内容や条件が異なりますので、それぞれを説明していきます。

■「非居住者」はNISAが利用できなくなる

NISA(「つみたてNISA」を含む)は、日本に居住する20歳以上の人だけが利用できる制度です。そのため、日本に居住しない「非居住者」に該当するとNISAを利用できなくなります。

日本から出国して「非居住者」に該当すると、NISA口座は閉鎖となります。NISA口座が閉鎖されると、言うまでもなく以降はNISA口座での新たな購入はできなくなります。また、それ以前にNISAで購入し保有している株式や投資信託があったとしても、それらも非課税の恩恵は受けられなくなり、課税口座(一般口座など)に移管されます。つまり、非居住者となった時点で、NISAの非課税のメリットは全てなくなり、出国後に発生した売却益は全て課税対象になります。

非居住者に該当する条件の詳細や出国に際しての具体的な手続き等は、NISA口座を持っている金融機関に確認しましょう。例えば、海外への転出を市区町村に届け出て1年以上海外で生活する場合は、この非居住者に該当する可能性が高くなります。非居住者に該当するようになった場合は、出国する前日までに「出国届出書」を取引している金融機関に提出しなければなりません。海外勤務や留学の予定がある場合には、早めに確認するようにしましょう。

■国民年金が「任意加入」となるとiDeCoは掛金拠出不可

自営業者などが対象の国民年金加入者の場合、厚生年金保険などの上乗せされる年金が多くないため、iDeCoを利用して老後の資金を自ら確保しようとしている人が多くいらっしゃいます。

国民年金の加入者が海外に居住し、国民年金が「任意加入」となった場合、iDeCoの月々の掛金拠出はできなくなります。

日本の住民票登録がなくなった時に、国民年金は「任意加入」となり加入義務がなくなります。義務がなくなるだけですので、希望して加入することも可能です。しかし、「任意加入」となった場合、たとえ国民年金に加入して保険料を納めていても、iDeCoの掛金を拠出する資格はありません。

住民票登録がなくなりiDeCoの掛金拠出の資格を失った場合は、「加入者資格喪失届(K-015)」を運営管理機関に提出しなければなりません。仮に、この届を提出せずに掛金拠出ができたとしても、その掛金は認められません。後に、掛金から事務手数料が差し引かれて還付されます。

■iDeCoの運用は非課税で継続できる

住民票の登録がなくなるとiDeCoの掛金拠出の資格が失われることを説明しました。iDeCoで拠出した掛金は全額が所得控除となる点は、iDeCoの大きな魅力ですが、住民登録がなくなるとそのメリットがなくなります。一方、iDeCoでこれまで積立てた掛金の運用は継続できます。つまり掛金で購入した投資信託等は引き続きiDeCoで保有でき、運用益も非課税の対象となります。

NISAの場合は、出国したその日からNISA口座が閉鎖され、非課税のメリットは全てなくなりますが、iDeCoの場合はそれまでに積立てた掛金については、引き続き非課税で運用可能であり、NISAとは異なります。

■厚生年金保険加入者のiDeCoは勤務先に確認

病院等に勤務する厚生年金保険の加入者がiDeCoを利用している場合もあるでしょう。また、その被扶養者がiDeCoを利用しているケースもあるかもしれませんし、企業型の確定拠出年金をされている場合も考えられます。これら厚生年金保険加入者が海外赴任となり、本人や被扶養者のiDeCoの掛金拠出資格が失われるか否かは、赴任形態や勤務先の対応などで異なってくることがあります。海外勤務が決まると、短期間で多くの手続きを行う必要がありますが、忘れずにiDeCoの扱いも勤務先に確認するようにしましょう。

■まとめ

全ての投資にはリスクがあると言いますが、ここで考えたように税制優遇制度が突然利用できなくなるリスクも正しく把握しておくことも肝要でしょう。
NISA やiDeCoを検討される際に、もし、近々留学や海外勤務などの予定がある場合は、これらの制度が突然利用できなくなる可能性も念頭において資産形成がスムーズに進められるように努力しましょう。特にNISAは出国と同時に全てが利用できなくなる可能性があるため要注意です。また、出国に際しては、NISA 、iDeCoのどちらも金融機関で煩雑な手続きが必要となり、時間がかかる可能性があることも考慮しておきましょう。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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