成功の陰に不正あり!?~経営破たんした山一證券とリーマンブラーズの共通点とそこから学べる教訓~
2018.09.03
日本も後遺症に悩まされた「バブル」はなぜ起こるのかVol.2
山一證券の破たん原因
日本でも有数の証券会社でもあった山一證券が経営破たんした原因は、現在の証券業法では禁止されている利回りの保証を謳って契約を伸ばしてきたことにありました。
山一證券が最も業績がよかったバブル期には、株価が天井知らずに上がり続けていました。
そのため、ファンドの利回りは確実に支払うことができたため、こうした状況から利回り保証を行い、安心感を与えて契約させる手法を用いていたのです。
しかし、バブルが崩壊し、株価が思うように伸びなくなった時期でも過去の契約で約束した利回り保証は行わなければならず、それによって出た損失は公開しなければならないのですが、それを公開してしまうと解約が殺到するのでは考えた上層部は、損失を子会社に付け替える損失隠しを行ったのです。これは粉飾決算となり、現在の会計基準では御法度の行為です。これを行ったことがマスコミにリークされ、一気に信用を失ってしまったために自主廃業へと追い込まれてしまったというのが山一證券破たんのてん末です。
リーマンブラザーズの破たん原因
リーマンブラザーズ破たんの原因はサブプライムローンによる大きすぎる損失です。
アメリカの低所得者向けの住宅ローンの債権を取り扱うことで成長してきたリーマンブラザーズですが、その売り方が大成功したために巨額の利益をもたらすことになります。
もともと低所得者向けのローンの債権のため、返済が滞るリスクがあり、その分利回りも大きい高リスクで高リターンの債権だったものを、様々な金融商品に分からないレベルにまで比率を下げて忍び込ませて販売することに成功したことで、表向きはサブプライムローン債権など関係のない安全な金融商品が出来上がり、そういった一連の金融商品が世界中で多く販売されました。
それによって住宅ローンの契約をする人も続出し、その後、住宅ローンの返済を滞納する人が出始めても、多くの銀行やFRBなども安全な商品だと言って保証して売り続けたのです。
しかし、そんな状況は長くは続かず、住宅ローン債権市場が返済できない人が多くなったのは皆様ご存知の通りです。債権はお金を返してしてもらう権利ですので、返済ができない人が増えてしまっては債権自体が消滅してしまいます。ここで、住宅ローン債権のみであれば話が早かったのですが、前項のように、関係のないような金融商品にも忍び込ませていたため、世界中で大混乱となったのです。
これによって多くの銀行や投資会社が破たんしましたが、国家予算規模の負債を作ってしまい、アメリカ政府も救済することを諦めたのがリーマンブラザーズの経営破たんでした。
二つの経営破たんの共通点
日本の山一證券も、アメリカのリーマンブラザーズもどちらも経営破たんする前には大きな利益を上げています。そして、成功の陰に行っていた不正やごまかしなどが明るみになり、綱渡りの上に成り立っていたものが成立しなくなったことで、リスクヘッジしきれないほどのリスクに飲み込まれて、破たんしています。
どちらもうまくいっていた時は良かったのですが、一度状況が変わり、取り返しのつかない状況となってしまったことが共通点といえるでしょう。
リーマンショックは世界的な影響を与えた
日本は不況や山一證券の経営破たんなどを過去に経験していることから、諸外国と比べるとリーマンショックの影響は少なかったと言われています。
しかし、サブプライムローンの債権は様々なところに入っていたため、株価下落や海外取引先の破たんなど日本でも多くの影響を与えました。
山一証券の場合と比較すると、その当時と比べてグローバル経済が発展してきたためにリーマンショックがこれほどに世界中に飛び火したと考えられています。
一つの不正が世界中に知れ渡る
山一證券の経営破たんの時は、海外まで影響が広がることはありませんでしたが、リーマンブラザーズの経営破たんの時には、様々な取引が世界で行われるようになったことでその影響が世界に拡散していきました。
経営破たんの理由も同時に世界を駆け巡ります。
この状況は医療業界においても同様で、現代では常に世界とつながっています。お金が入る、患者が多く来るといったプラスの要素があると、つい不正やごまかしを行う誘惑に駆られてしまうこともあるかもしれませんが、そんな時には山一證券やリーマンブラザーズの破たん劇を思い出し、教訓としていただければと思います。