FINANCE

節税か脱税か?! 納税者と国税庁の仁義なき闘いの記録

2018.06.11

毎年の税制改正は租税回避行為との攻防戦!

毎年、税率等の改正を行う財務省の税制改正は、富裕層や庶民と国税庁との租税回避行為をめぐる攻防戦の記録と言っても過言ではありません。
過去を振り返ると様々な手段を使っての「節税」を誰かが思い付いて、それを財務省が「租税回避行為」だと言って規制を強化する、を繰り返しています。
過去の財務省の毎年の税制改正の記録から、その攻防戦の歴史を紐解くことができます。
多くの場合は、難解で複雑なルートで資産を分散させ、意図的に所得税や相続税を低く見積もる行為を租税回避行為と見なし、財務省と国税庁は目を光らせています。その歴史を振り返ってみましょう。

過大支払利子税制による租税回避行為(平成24年)

会社を経営していると、子会社を設立し、そこへ出資や資金の貸し付けを行うことがよくあります。出資する場合は返済する必要が無いため、子会社は返済利息などを支払う必要がありません。しかし、債権のある貸付である場合、貸付金に支払利息を会社間の契約で明記することができます。

支払利息は、毎年の税金でも経費に計上できることから、親会社と子会社の身内同士の間で利息を定めることで、利息として所得が内部を循環しているとみなされます。
これは貸付金が1000万円以上の取引で、子会社の所得に対して一定の割合(総支払い利子の50%)以上の支払利息となっている場合に関して、当期の損金として認めないとされたのです。

法人税の少ない国(タックスヘイブン)に会社だけを設立することへの課税(平成29年)

パナマ文書が流出したことにより、世界中の富裕層が活動実態のない会社を法人税の少ない国に設立していた事実が明らかになりました。
この騒動が起こる前は、外国法人を設立した場合の課税基準も外国法人の税負担率が20%以上であれば、活動実態があるかないかを調査する必要はありませんでした。

また、税負担率が20%以下の国であっても、利息や使用料等の所得がある、若しくは外国で法人が能動的に活動していれば、会社が動いているとみなされ、特に怪しまれることがありませんでした。
タックスヘイブンはこうした国際課税の抜け穴を利用したものです。
今後は外国法人を設立した際には、その国の税負担率によらずに、外国法人の営業実態に応じて、日本で課税されることになります。

自社株にかかる相続税対策に国税庁がNO(平成27年度頃)

主に中小企業の経営者は、株式会社などの自社株を保有しています。開業医の方も、知り合いの会社の未公開株式などを保有していて、共同経営などを行っている方もいらっしゃるでしょう。
自社株を持っている会社の業績が良ければ、上場していなくても株式の評価額が高くなります。そのため、自分が死亡した場合や自分の子供に代表権を譲る場合などの相続を行う場合、株式に対しての多くの相続税がかかります。

その相続税の節税目的で、自社株を自分で保有するのではなく、自社株を別の代表者が経営する会社に売却し、別会社が株式を保有する形(持ち株会社)とし、代表者は自分のままにする節税スキームがありました。そうすることで、株式は別会社が保有する形となり、相続時の株式への課税はなくなるというからくりです。
これは、売却時に現金も入り、相続対策と収入を得られて一石二鳥というもので銀行が各顧客に提案したのが始まりでした。これは、まだ税制改正に明文化されてはいませんが、相続対策でなく租税回避行為として国税庁は注意する傾向にあります。

まとめ:税制改正の傾向は高所得者に厳しい

財務省の税制改正は毎年行われていますが、昨今の傾向としては、高所得者に対する課税の強化が著しいと言われています。平成30年度の税制改正でも、給与所得者であっても850万円以上の人への課税強化が大きなニュースになっていましたが、それ以前からも日本の富裕層と国税庁は、節税か租税回避行為かを激しく議論してきた歴史があります。

税制改正の歴史やその傾向を知り、事前に対策を打てるかどうかが鍵となり、今だけでなく将来ご子息に残せる資産にも大きな差が生じます。この記事が、税制改正によってどのような影響をもたらされ、どのように対応していくのかを考えるきっかけとなれば幸いです。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部