ファイナンス

ゆとりある老後をおくるために今必要となる準備とは?

確定拠出年金の改正

2017.05.22

2017年確定拠出年金の改正が行われました

<どのような改正が行われた?>

2017年に確定拠出年金の改正が行われました。この改正によって、確定拠出年金が皆様により身近な制度になったことはご存知でしょうか?

2017年に行われた確定拠出年金の制度改正の最大のポイントは、個人型確定拠出年金の加入資格が改正されたことです。今回の改正により、今までは加入資格のなかった公務員(第2号被保険者)と専業主婦・パートタイマー(第3号被保険者)、勤め先に企業年金があって企業型確定拠出年金が導入されていない社員が加入できるようになりました。つまり、制度改正によって「20歳以上60歳未満の国民年金加入者」であれば、ほとんど全ての人が個人型確定拠出年金を利用できるようになったのです。

他にもポータビリティー(異なる制度間の資産の持ち運び)が拡充し、転職先に企業年金があっても、資金を持ち運んで掛け金の追加や運用指図を継続することができるようになりました。これにより、以前のように、転職することで移管も新たな拠出も出来ないのに、手数料のみが取られ続けるという最悪の状態に陥るリスクは減り、転職して資産を移管したとしても加入期間を通算することが可能になりました。

<確定拠出年金はいつからあった?>

確定拠出年金(DC)は、1970年代にアメリカで生まれました。アメリカの内国歳入法の401条k項に記載があることから「401k」と呼ばれています。

確定拠出年金の限度額は、他の企業年金がない企業型確定拠出年金が月55000円、他の企業年金がある企業型確定拠出年金が月27500円、そして個人型確定拠出年金が月68000円となっています。また確定拠出年金は税金対策ともなり、掛金や運用益については非課税となります。

日本に普及したのは2001年で、その背景には、1990年代のバブル崩壊によって運用利回りが上がらなくなったことにより、会社が企業年金において約束している一定の金利の利回りの不足部分を補いきれなくなり、年金退職金の積立額不足が、会社経営を圧迫し、企業年金の解散若しくは予定利率の引き下げ等の企業年金改革が活発になったのが1990年代後半のことです。その中でも「JALの年金破綻」は有名で、JALの年金破綻によって現役社員の年金は50%カット、そして、OB社員は30%カットとなったことは記憶に新しいでしょう。また終身雇用というそれまでの働き方が多様化、流動化していったこともあり、確定給付型のみであった企業年金制度に、確定拠出年金(DC)が加わったのです。

当初は、日本人の資産運用のマイナスイメージがあることから「自分で資金を運用する」という考え方が背景にある確定拠出年金の制度が日本に根付くかどうか疑問視されていましたが、年々確定拠出年金の利用者は増え、2016年4月末の調査結果では企業型確定拠出年金の加入者は約578万人、個人型確定拠出年金の加入者は約262万人まで達しています。

そして、個人型確定拠出年金の利用者を更に増やすための施策として、今回確定拠出年金の制度の改正が行われたのです。

<あなたの老後は?>

今までの時代と比べて、これからの時代は、自身で将来のための準備をしていく必要性が益々高まってくるでしょう。公的年金のみでは、一般的なサラリーマンがゆとりのある老後を過ごす為に必要と言われている生活費(夫婦2人の場合、月額約36万)の確保も容易ではありません。自営業の方であれば、国民年金(夫婦2人で年間約156万)のみである方も多く、その中でも比較的高所得といわれる医師・歯科医師の方であれば、現役時代の生活レベルを維持するために必要な生活費とのギャップは更に大きくなります。

<どのように準備する?>

前述のとおり、バブル期のようにゆとりのある老後を過ごすための準備として、貯金をするだけでお金が増え、それだけでも事足りる時代もありました。しかし、現在は「マイナス金利」という言葉がよく聞かれるように、銀行に預けているだけではお金が増えない時代になったと痛感されている方も多いのではないでしょうか。

きっと多くの方が一度は老後に対して不安を感じられたことがあると思います。そんな将来の資金に対する不安を取り除く為に必要となってくるのが「私的年金」で、私的年金の中でも代表されるのが「確定拠出年金」です。今までの時代は定年まで働けば国が老後の責任を取ってくれていました。しかしこれからの時代は、老後の責任を国に任せっぱなしではなく、自分自身で自分の老後の責任を取っていかなければなりません。確定拠出年金はそうするため、老後資金を確保するための手段の1つです。

この記事を読まれて、「確定拠出年金」が1つの選択肢に加わり、皆様が老後の人生や、将来の資産形成について考えるきっかけとなれば幸いです。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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