FINANCE

FinTechで変わる資産運用のスタンダード

ロボアド

2017.10.23

安い手数料が魅力の「ロボアド」を富裕層も使う理由

資産運用の世界で「ロボアド」という言葉が脚光を浴びています。資産運用の判断をファンドマネージャーなど人間ではなく、コンピュータが行うものです。金融とITの融合である「FinTech」の代表的なサービスと言われています。

顧客に合わせて最適なポートフォリオを提供

国内でも「ロボアド」による資産運用サービスを提供する会社が増えています。独立系ベンチャー企業から大手金融機関まで、参入する企業は後を絶ちません。

ロボアドは投資一任契約を結び、資産の売買やリバランスをコンピュータに任せるサービスです。利用者は、投資目的や投資に対する考え方の質問にいくつか答えるだけで、コンピュータが利用者にあったリスク許容度から、最適と思われるポートフォリオを提案してくれるのです。実際の買い付けやリバランスまでしてくれるサービスもあります。

米国を中心に海外で広がる「ロボアド」 富裕層の利用も増加傾向

ロボアドは、米国を中心とした海外で活用が広がりました。米シンクタンクのA.T.カーニーの推計によると、米国におけるロボアドの運用資産は2016年末の0.3兆ドル(約33兆円)から2020年には2.2兆ドル(約240兆円)にまで増加すると予測されています。

これほどまでに注目を集めるのは、その合理的な運用理論と安価な手数料率が背景にあります。

ロボアドの原点となっているのは、「現代ポートフォリオ理論」と呼ばれる考え方。投資家のリスク許容度に合わせ、期待リターンを最大に、想定リスクを最小にする為のポートフォリオの組み方を指し、各資産の過去のデータと複雑な計算式によって導かれます。

複雑な計算やリバランスなどに掛かるコストの関係上、従来は主に機関投資家や富裕層の運用に用いられてきました。しかし、コンピュータの活用でコストダウンが可能となった事により普及が進んだのです。

国内のロボアドサービスを見てみると、投資一任契約の運用に係る手数料は年率1%を下回るサービスも出ています。別途、投資商品の信託報酬が掛かるサービスも多いですが、コストの低い海外ETFに投資しているサービスだと、それを加味して年率1.5%以内に収まるケースもあります。米国の老舗ロボアドのWealthfrontは、年率0.25%という脅威の運用手数料率を誇ります。

コスト革命を背景にロボアドは普及しており、海外ではミレニアル世代を中心とした若い世代の富裕層の利用も増加していると言います。多忙を極め、資産運用に割く時間の少ない富裕層にとって、ロボアドは非常に魅力的なサービスであり、今後も利用は増加する可能性が高いと見られます。

「ロボアド」の目的は標準偏差内の運用

資産運用の世界では運用成績が重要視されており、ロボアドの場合、総合的なデータはありませんが、現時点ではおおむね標準偏差内での運用が行われているようです。設定したリスク許容度に基づき、想定されるリターンの振れ幅の範囲内に収まる運用が行われているということです。

ロボアドはリスク許容度に合わせ、期待リターンを最大に、想定リスクを最小にする分散投資を行う為、個別株を掘り当て、一財産を築くような爆発的なリターンは期待できません。過去の経験則の積み上げで標準偏差内の運用を行う事に意義があり、現在はその運用手法に概ね高評価が下っていると言えます。

注意すべき点は、現在ある多くのロボアドサービスがリーマンショック後など近年登場した事です。運用が標準偏差から逸脱する要因として、市場の著しい変動が挙げられます。今後、リーマンショックのような事態が起きたとき、標準偏差内に留まる運用ができるか、機敏なリバランスを行えるかにはまだ疑問が残っている状態です。

国内「ロボアド」サービスは草創期 今後の普及に期待大?

海外では富裕層を取り込み、大きな旋風を巻き起こすロボアドですが、国内では今ひとつ盛り上がりに欠ける事も事実です。参入企業こそ増加しているものの、国内最大手と見られるウェルスナビでも運用資産は200億円を突破した程度。 業界全体でも推計で1,000億円程度とされ、米国の規模とは大きな開きがあります

低コストと理論に基づく運用という武器を持つ「ロボアド」は今後、国内でも大きく普及する可能性を秘めています。しかし、その為には、投資教育の発展と「ロボアド」の認知向上が不可欠でしょう。また精緻なポートフォリオモデルの組み立ても普及のカギと言えます。

海外では広がりを続け、富裕層にも支持されているロボアドサービス。ご自身の資産運用を考える上で、ポートフォリオに組み込む手法の1つとして検討する価値はあるのではないでしょうか。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部