柳井正に学ぶ「チームの作り方」~部下との向き合い方~
2018.01.17
柳井正はなぜ最強のチームを作ることができたのかVol.1
昨年10月、ユニクロは2017年夏の決算が過去最高の売上高である1兆8千億円超だったと発表しました。
ユニクロといえば、株式会社ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏が創設した日本発祥のブランドですが、その売り上げは現在世界第3位と言われています。
ユニクロはなぜここまで大きく世界的なグローバルブランドに成長することができたのでしょうか。
柳井氏の著書『経営者になるためのノート』の中で、彼は『経営者とは、一言でいえば「成果をあげる人」である』と述べています。
さらに成果をあげる経営者になるためには、【変革する力】【儲ける力】【チームを作る力】【理想を追求する力】の4つの力が必要であるとも語っています。
今回は医院経営においても必須の力である、3つ目の【チームを作る力】について、2回に渡って柳井氏の考えをご紹介します。
リーダーとは何か?
柳井氏は、リーダーとは「チームを勝利に導く人」であり、リーダーとしてうまくいかない人は、自分だけが勝とうとする人だ、と本書の中で語っています。
チームの勝利とは、何も売り上げに限った話ではありません。チームのメンバーで目標を共有し、達成感や自己実現、自己成長を実感させること、それこそがリーダーの役割であり、チームの勝利だと言います。
また経営は一人で行うものではなく、チームで行うものだというのが、柳井氏の持論です。
確かにいくら有能な経営者がいたとしても、一人でできることには限りがあります。チームを作り、チームを動かす能力を持っている人こそ、真のリーダーなのです。
リーダーに最も大切なこと
それでは、真のリーダーがチームを作り、動かし、勝利へ導いていく際に最も大切にしなければならない事は一体何なのでしょうか?
それは「信頼」です。柳井氏によれば、リーダーである自分がチームのメンバーから信頼を得られていない限り、どんなに立派な経歴や考えがあっても、メンバーは自分の言うことを心から受け入れることはない、と断言しています。
例えば、自分の利己のためにメンバー、つまり部下を目標達成の道具のように扱ってしまうと、部下は自分が大事にされていないと思い、またリーダーである先生方も、部下は自分の言うことだけを黙って聞いてくれるものと思い込み、大切な役割を与えない、ということがあるかもしれません。それでは人間同士の信頼関係が生まれるはずがありませんよね。
この「信頼」を築くには、どのような心構えが必要なのでしょうか。
柳井氏によれば、「言語一致で首尾一貫した人間であるかどうか」が、信頼を得るために絶対に欠かせない基本姿勢であると述べています。
部下はリーダーである自分自身が言ったこと、約束したことを言った後の背中に信頼性を見出すものです。
そして、部下はリーダーの人間の芯やブレない考えに、人としての誠実さを感じるものではないでしょうか。
部下との向き合い方
これまで部下との信頼関係を築くことこそが、チームの勝利に繋がるとお伝えしてきました。
それでは自分のチームのメンバーである部下には、どの程度関わっていけば良いのでしょうか。
柳井氏は、一人ひとりの部下に対して、常に100%全力で向き合っているそうです。
100%と聞くと少し仰々しく聞こえるかもしれませんが、相手に100%向き合うとは、相手の立場に立って、相手の感情、相手の思考や論理で話を聞くことです。
そして、その人のためにどういうアドバイスをしたら一番いいのか、「本当に相手を思って向き合うこと」が最も大切なことだと柳井氏は言います。
リーダーが相手の立場に立つという姿勢を見せれば、部下は「この人は自分のことを分かってくれるかもしれない」と思うようになります。
例えば、部下から相談された時に、「時間がないから」「言いたいことは分かっているから」と話を遮って自分のペースで話を進めた経験はありませんか?
これでは相手の感情を考えず、相手にもきちんと向き合っていないため、部下は納得することもなく、本当の気持ちを伝えてくることもなくなってしまいます。
本物の信頼関係を作るためには、相手の心を本気で動かし、変えていくことが必要です。
そのためには、まずはアドバイスする経営者側が、全力で相手のことを考えていかなければならないのではないでしょうか。
次回は、信頼関係を築いたリーダーとメンバーの仕事の進め方について、お伝えしていきます。