マネジメント

他業種の事例に学ぶマルチチャネル戦略

2018.01.10

医院経営における多チャネル展開を考える

マルチチャネル戦略という言葉をご存知でしょうか?
マルチチャネルとは、リアルの店舗とネットによるマーケティングを融合させることで、セブンイレブンやイオン、ルイ・ヴィトンといった流通・販売業でよく用いられている手法です。
インターネットで、実店舗と同じものを注文・購入できたり、ネット上で注文した商品を最寄りのコンビニで受け取ったりと、近年私たちの生活にとても身近な存在になっています。
医院の役割の中には、何かを流通させたり、販売したりといった要素はごく一部であるため、どのように医院経営にマルチチャネルの考えを取り入れるのかイメージしにくいかもしれませんが、例えば、集患の導線1つとっても、
■ホームページ
■インターネット予約システム
■電車や路線バスの中で流れるアナウンス
■看板
■口コミサイト
など多くの接点が考えられます。
特にこの20年は、インターネットやスマートフォンの普及によって、年々新しいものが出てきており、それらは複雑に絡み合っています。
それらのネットとリアルの接点をどのように融合させるかがマルチチャネル戦略の肝となります。1つの事例を見てみましょう。
病院に行きたいと考えていながらも、忙しいとか混雑しているなどの事情で、なかなか病院に足が向かない人がいるとします。
そうした人も、駅のホームなどで病院の看板を見ることがあるかと思います。
そしてスマートフォンで病院の情報を検索し、そこで空き状況がわかり、予約できれば忙しくても通院してみようかなと考えるかもしれません。
看板だけでなく、口コミサイトやGoogleプレイスなどを使ってのロケーション紹介、そしてバスやローカル電車などで流れるスポットCMを通じて、潜在顧客に接するチャネルを増やすのです。
そうした地道な活動がマルチチャネル化につながります。また集患だけではなく管理の部分でも複数のチャネルを融合させることによって、更に患者様の利便性や満足度を向上させることが出来ます。

例えば、既に各患者のデータベースを作ったり、カルテを電子化したり、電子予約システムを導入したりしているクリニックも多くあるかと思います。

このようなICT化が発展すると、欧米等では既に導入されているインターネットを利用した医師による簡易診断なども可能になるでしょう。

このように、看板、口コミ、スマホに表示される情報、予約システムから診断システムまでの複数のチャネルの動きが1つの統合した振る舞いをした結果、サービスの満足度を高め、顧客、すなわち患者を逃さないことにつながります。

このように患者様と接するチャネルを増やし、トータル的なサービスを向上させることが多チャネル化の真髄です。

ICT化を含め、多チャネル化は意外と効果が高く、病院との接触が増えることで、より親しみを持ち通いやすいと感じてもらえるようになります。

集患や患者様の満足度向上を図る上で、医院で行っている取り組みがマンネリ化していると感じていたり、新しいことに挑戦したいと考えられていたり、リピート率や評判などで何らかのハードルを感じている方など、他業種のマルチチャネル戦略から学べるものは多くあるのではないでしょうか。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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