ファイナンス

どこにでもある物質から大きな可能性を秘めた素材を生成した日本ならではの発想

2019.06.15

炭素に無限の可能性!カーボンナノチューブ その可能性と課題

炭素は元素記号「C」で知られているごく一般的なものに多く含まれているありふれた元素です。
木炭やガソリンといった燃料、鉛筆やダイヤモンドに至るまで様々なものを構成するのに欠かせないものです。
そんな炭素ですが、まだまだ知られていない特性が存在します。その一つとして炭素を使った新素材として有名なカーボンナノチューブが挙げられます。
20世紀中盤からナノテクノロジーの先駆けとして、研究が積み重ねられてきました分野で、ごく普通に存在する元素である炭素を使って、大きな可能性を探るナノテクノロジーは未来の技術として多くの研究者を魅了しました。
今回はそんなナノテクノロジーの代名詞「カーボンナノチューブ」について、その可能性と課題について考えます。

カーボンナノチューブって何?

カーボンナノチューブという言葉を初めて聞かれる方もいらっしゃるのではと思います。
炭素は他の元素や炭素同士と結合しやすい特性を持っています。そのため、炭素は多くの化合物を構成するために重要な役割を持っています。
例えば、ダイヤモンドも炭素で構成されていますが、同じ炭素で構成されている木炭などと比べると見た目も硬さも全く異なります。
こうした炭素の構成を変える化合の仕組みを研究すれば、炭素を使った全く新しい素材ができるのではないかと考えられ、その研究の中で発見されたのがカーボンナノチューブです。
カーボンナノチューブは、微小な炭素同士が結合してチューブのような形を構成した物質で、チューブのような形をしていても目に見えないほどの大きさのものです。
しかし、この小さなカーボンナノチューブがとても大きな可能性を発揮する特性を示しています。

伸縮性があり、引っ張りに強い

極めて小さなチューブ状の物質ですが、これをつかんで引っ張ると、非常に大きく伸び、引きちぎれるようなことがありません。つまり、引っ張っても伸びてちぎれないような強さを持っています。この強さが金属素材をも凌駕するということで、非常に強い素材としての期待が寄せられています。
カーボンナノチューブが目に見えるような大きさにまで生成する技術が確立した場合、その強度を生かして、宇宙にまで続くエレベータのロープとして使用できるのでは、とまで考えられているほどの驚きの素材なのです。

機械的強度以外にも熱伝導率や電気的特性の良さにも注目

こうした強い素材ということ以外にも、多くの期待できる特性をもっているのもカーボンナノチューブが注目される理由です。
熱伝導率が高く、放熱を必要とするフィンなどへ導入できるため、コンピュータや自動車の放熱器の小型化などといったことも期待できます。
電気的な特性の良さも大きな注目すべき点で、太陽光発電設備の発電効率の改善や、蓄電設備として期待されている電気二重層キャパシタへの応用、トランジスタなどの電子機器の小型化などへも活用できると考えられています。これは、電気を通した際の電子を放出しやすく、今まで電極に使用されている素材に代わる素材としても期待が寄せられています。

期待が高まる一方で、カーボンナノチューブの毒性が指摘されている

様々な分野で革新的な素材として使用される可能性を持っているカーボンナノチューブですが、人体に入った際の毒性や発がん性などは、発見された当初から指摘されてきました。
マウスを使った実験なども多く実施され、生物の体内での影響なども、応用研究と合わせて実施され、その効果もあって、カーボンナノチューブを利用する際には体内への影響を考慮することを合わせて検討されています。

カーボンナノチューブは日本で量産化が進められている

カーボンナノチューブは日本の研究者によって発見されたため、日本での研究が盛んで、多くの研究機関が日々研究を進めています。
2015年に日本ゼオンと産業技術総合研究所が、共同で世界初のカーボンナノチューブの量産工場を建設し稼働させるなど、発見当時は夢の新素材だったカーボンナノチューブも量産できる体制が整いつつあるのです。
炭素というどこにでもある物質から大きな可能性を秘めた素材を生成することができるというのは、今までモノづくりで世界をリードしてきた日本ならではの発想と言えるでしょう。

ごくありふれたものを構成する炭素 まだまだ知らない可能性がある!?

炭素はそこまで希少価値の高いものではありませんが、カーボンナノチューブなど生成の仕方によっては高い能力を発揮することもあります。
これは医療や経営の分野でも同じようなことが言え、今まで何の価値もなく、ただただ捨てていたような情報や物に対しても、見方を変えるだけで大きな価値をもつ可能性があるのではないでしょうか。
炭素と同様に、そこまで珍しいものではないものも、その使い方次第で大きな価値を発揮するということをカーボンナノチューブが教えてくれています。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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