FINANCE

あなたの投信は大丈夫?手数料、運用実績、分配金、投資目的の再確認を

2018.05.14

投資信託について考える

投資信託といえば、近年国をあげて推進しているNISAやiDeCo(確定拠出年金)の登場により注目を集め、少額から始められる上に資金を運用の専門家に運用してもらえるということで投資初心者にとってはとてもありがたい金融商品です。2012年に第二次安部政権が発足し、異次元の量的緩和が進められてきました。以降日本の株式相場は2015年にチャイナショックの煽りを受けるも、2017年には日経平均は20000円代に回復し、日本の株式市場の底固さが伺えます。
リーマンショック以降に投資を始め、大きなリスクを取らずに手堅く運用してきた投資家達は株式市場の恩恵を享受できたのではないでしょうか。株式や債券を組み込んで投資する投資信託についても同じことが言えます。しかし、ここで“資金を預けているだけで専門家がお金を増やしてくれる。自分で考えるよりも専門家に任せておけば安心”と考えることを放棄していないでしょうか。そこで今一度、金融庁が2017年10月に発表した「金融レポート」を元に日本の投資信託について考えてみましょう。

1.販売会社における手数料

投資信託は仕組み上、販売会社を通して販売し、その資金を運用会社が運用します。そのため手数料としては大きく分けて、販売会社から購入する際にかかる販売手数料と運用会社が運用に際して発生する費用分を投資家が負担する信託報酬の2つが存在します。

販売手数料は販売会社の銀行や証券会社にとって収益の源泉となります。この販売手数料について2015年金融庁の森長官が金融機関に手数料を引き下げるように要請しました。国をあげて進めているNISAやiDeCoですが、販売会社が高い手数料を取って、投資家の資本を棄損して収益を上げていたのでは元も子もありません。

商品の販売手数料は引き下げ傾向にありますが、売り上げ上位の投資信託を見てみると販売手数料が3%を越えるものの割合がむしろ増している状態で、販売会社と投資家の利益相反関係が「金融レポート」を通して浮き彫りになっています。銀行や証券会社等の窓口で購入する場合、人件費等の関係で販売手数料が高くなってしまう傾向にあり、近年ではネット証券の台頭により購入手数料がゼロの「ノーロード」と呼ばれるものも増えてきています。購入前に事前によく調べておくことが肝心です。

2.運用会社の運用能力

「金融レポート」の中ではアメリカの運用会社と日本の運用会社の運用能力について考察しています。投資家側からすればより低いリスクでより高いリターンを上げられるに越したことはありません。

日本の規模の大きい投資信託上位100銘柄のリスクとリターンの関係と米国のものを比較すると、結論として米国の投資信託では中程度のリスクで相応のリターンを得られているのに対し、日本の投資信託においてはリスクが高い割にはそれに見合ったリターンを得られていないものが少なからず見受けられます。
2017年1月からiDeCoの適用範囲の拡大、2018年1月には積立てNISAが始まりました。金融庁としても、これらを活用して日本国民の長期的な資産形成を望んでおり、それに資する投資信託の組成と販売が増えていくことに期待しているとして結んでいます。

3.テーマ型投信

テーマ型投信とは要するに話題性のある分野を投資対象とする投資信託です。売れ筋商品であるテーマ型投信では、人気のあるうちは基準価額が堅調であったとしても、ブームが過ぎれば基準価格が下落する恐れがあります。売買のタイミングが重要なテーマ型投信では、適切な売買タイミングを見極められる投資家はプロの中にも少ないと考えられ、個人投資家にとってはさらにハードルの高いものと考えられます。

過去の日経平均株価と投資信託の販売実績を見てみると、ブームに流され株価のピーク時に投資信託が最も売れる傾向が見られますが、個人投資家が安定的な資産形成を行う場合、こうした売買のタイミングを気にする必要のない資金投入の時期を分散する積立投資を行うことが有益であると考えられます。

4.毎月分配型投信

日本の投資信託の残高の過半数を占めている毎月分配型投資信託については複利効果が利きにくいことに加えて、元本を取り崩しながら分配される場合には運用原資が大きく目減りして、運用効率を下げてしまうことが問題として指摘されます。

さらに、金融レポートによれば毎月分配型投資信託を保有する顧客のうち、「分配金として元本の一部が払い戻されることもある」ことを認識していない割合は約5割にも上ることから、販売会社が顧客に十分に情報提供した上で顧客が選択しているのかについては疑問が残ります。

また、毎月分配型を選択し受け取った分配金の使い道について、「特に使わない」、「同じ投資信託を購入する」などの回答が相当数見られることから、顧客ニーズを十分に確認せず販売されている可能性があります。

一方で、再投資型においては投信を売却して換金する際まで税金を繰り延べることができ、税金の繰り延べ効果に加えて複利運用によって資産を効率的に増やすことができます。定期的な分配金を受け取る必要性がなく、長期的に資産形成をしたい場合再投資型を選択する方が賢明です。読者が投信を購入する際には投資する目的をまず定め、その目的に沿うように分配型か再配分型を選ぶようにしましょう。

5.回転売買

回転売買とは、販売会社が投資家に現在投資している投資信託等の損益確定を勧め解約させてキャッシュ化し、新たに他の商品を買ってもらう行為を指します。そうすることで販売会社が収益となる手数料をまた得ることができます。

これを短期間のうちに何度も繰り返して収益を確保しようとする金融機関が存在するのも事実で、日本の投資信託全体の平均保有期間は2016年時点で2.88年、2013年の1.97年に比べると保有期間が延びているとはいえ、依然として回転売買が行われていることが伺えます。投資家側からすれば、売買する回数が増えるとその分手数料も嵩み投資資本を毀損し、長期的に安定した資産形成ができなくなります。
営業マンの甘い言葉に誘われて現在投資しているものを解約してまた新たに購入する前に一度立ち止まって、当初の投資目的、解約するのに十分な合理的理由が存在するか確認するようにしましょう。

以上のことから、日本の投資信託は未だ顧客本位とは言えないことがわかります。プロに任せているから大丈夫と留まるのではなく、この投資信託は本当に大丈夫だろうかと疑問を投げかけ、見極めるための目を養う自分の自助努力が必要であると言えるでしょう。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部