AIの浸透で業績をあげそうな企業とは?
2017.04.03
医療にも進出、AI(人工知能)の浸透で伸びる企業・投資先はどこ?
実際に、チェスや将棋、囲碁の世界ではAIがプロ棋士に勝利するようになっています。接客業では、エイチ・アイ・エスがハウステンボス内にロボットがメインスタッフとして働くホテルを開業し話題になりました。自動車などの自動運転にもAIの活用が徐々に始まっています。
医療業界はどうかというと、医療の現場でもAIの進出がみられます。IBMが開発した「Watson」を活用したシステムが2016年、患者の白血病のタイプを約10分で見抜き命を救ったというニュースが報道され話題となりました。Watsonは精神科医療の分野で電子カルテの分析に活用しようと、大塚製薬と日本IBMが合弁会社を設立するといった出来事もありました。
冒頭に紹介した共同研究でも、AIが代替できる可能性が高い職業としては、特別な知識やスキルが求められない職業に加え、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業などが挙げられています。「49%」の中には医療事務なども含まれています。
■AIの浸透で業績をあげそうな企業とは?
医療でもAIが存在感を見せつつある今、医師としての仕事がAIの進出でどう変わるかということだけでなく、「投資」という視点からこの事象を考えるとまた違った世界が見えてきます。
AIと投資というと、「投資先をAIが決めてくれる」というロボアドバイザーなどが思い浮かびますが、今回は「AIの開発やサービスを提供している企業」について検討してみたいと思います。医療に限らず、AIが使われれば使われるようになるほど、こうした企業の業績がよくなると期待できます。国内の企業と、海外企業に投資する投資信託を挙げてみましょう。
● データセクション 東証マザーズ <3905>
ビッグデータ処理や解析を手掛け、ソーシャルメディアにも強みがあるデータセクションは、AIのディープラーニング(深層学習)などの技術を活かし、不適切画像の自動判定やSNSに投稿された画像から消費者の消費行動などをおこなう画像解析技術を提供しています。
● テクノスジャパン 東証1部 <3666>
ビッグデータの活用やERPソフトの導入を支援しているテクノスジャパンの関連会社に、テクノスデータサイエンス・エンジニアリングがあります。リアルタイムに膨大なソーシャルメディアデータを分析することができる「NetBase」や複数の対象(人・モノなど)から購買する人、成約する企業、故障する部品などを見つけ出す、人工知能搭載予測システム「scorobo」などAIを活用した製品が多数有しています。
● CYBERDYNE 東証マザーズ <7779>
筑波大学発のベンチャー企業であるCYBERDYNEは、ロボットスーツ「HAL」の開発を手掛けています。「HAL」は身体機能を改善・補助・拡張・再生することができる、世界初のサイボーグ型ロボットとして注目を集めています。
● FRONTEO 東証マザーズ <2158>
法的紛争や訴訟の際の証拠保全など、電子データ収集や分析についてのコンピュータ解析事業を行うFRONTEOでは、人工知能「KIBIT」を開発しています。「KIBIT」は国際訴訟の分野で弁護士の専門的な判断をサポートする目的に開発され、人間の機微(暗黙知、判断の仕組み、感覚)など言葉では伝えることができない事柄を理解し、さまざまなシーンで人間の判断をサポートすることができます。
個別銘柄だけでなく、投資信託でもAIへの投資が始まっています。AIを駆使して業績を伸ばしている企業に投資するファンドで、その多くはアメリカへの投資が中心のようです。
● グローバルAIファンド(三井住友アセットマネジメント)
2月のレポートによると、組み入れ上位にはテスラ・モーターズやセールスフォース・ドットコム、クリテオやイェルプなどが名を連ねています。国・地域別では9割弱がアメリカで、次がフランスですが、これはクリテオの影響と見られます。同社はFacebookの広告収入ビジネスを支えるAI広告代理店です。
● ニッセイAI関連株式ファンド(ニッセイアセットマネジメント)
2月のレポートによると、上位10銘柄はFacebookやインテル、マイクロソフトなどのほか、エヌビディア、ゴールドマン・サックスグループ、そしてワトソンのIBMなどです。投資先の国・地域別割合では9割弱がアメリカで、その他イスラエルや英国などとなっています。株式の運用はTCWアセット・マネジメント・カンパニーが行っています。
ここで挙げた企業や投信はごくごく一部ですので、今回の記事が皆様ご自身の視点で注目企業や商品を探すヒントやきっかけとなれば幸いです。
普段の生活の中、例えば職場である病院の中にも投資のヒントは隠れています。日々接しているとなかなか気付かないかもしれませんが、医療の現場入ってきているAIを開発・提供している企業を単なる業者としてではなく「投資先」として考えてみるのもおもしろいのではないでしょうか。