高額療養費制度のしくみと概要について
2016.06.27
医療費の高額療養費制度Vol.1
高額療養費制度とは、月の1日から月末までの1ヶ月間に、医療機関で支払った医療費が年齢と所得により決められている自己負担の限度額を超えたときに、超えた分が戻ってくるというものです。
この高額療養費のひと月あたりの自己負担限度額は所得と年齢によって異なり、以下のようになっています。
次に、高額療養費制度の注意点をみていきましょう。
●1日から月末までの1ヶ月間で計算をするので、例えば4月20日に入院をして5月5日に退院をした場合、入院期間中の医療費が高額療養費制度の自己負担限度額を超えていても、実際の計算は4月20日から4月30日までの金額と5月1日から5月5日までの金額とに分けて、月別に計算をすることになります。
●高額療養費制度は、個人ごと、医療機関ごとに計算をします。さらに、同じ医療機関でも外来・入院、歯科・医科は別々に計算をします。
●入院をしたときの差額ベッド代や食事代、先進医療などの保険適用外の自己負担分は高額療養費制度の対象にはなりません。
●自己申告の制度のため、自身で申告を行わなければ、払い戻しはされません。
では、実際にどのような計算をするのか、事例で説明します。
70歳未満で所得区分が年収約1,160円以上の人が、100万円の医療費を窓口負担(3割)で30万円支払った場合
ひと月あたりの自己負担限度額は、「252,600円+(総医療費-842,000円)×1% 」で計算しますので、252,600円+(100万円-842,000円)×1%=25万4,180円
つまり、高額療養費制度を利用すると実際に支払う金額は25万4,180円になります。
今回の事例では、窓口ですでに30万円を支払っているので、後日、加入している医療保険に高額療養費の申請をすることで、差額の45,820円が戻ってくることになります。
差額が戻ってくるとはいえ、窓口での負担は大きくなるため、予め医療機関の窓口での支払いを自己負担限度額までにする方法があります。
70歳未満の人は、健康保険証とともに「限度額適用認定証」を、70歳から75歳未満の人は、健康保険証とともに「高齢受給者証」の提示をすると窓口での支払いが自己負担限度額までになります。
これらの認定証などは、加入している健康保険組合などの医療保険に、事前に申請して、交付してもらうことができます。これは、入院以外の外来でも使うことができます。
あらかじめ入院の時期を自分で決めることができるようであれば、月初めから入院して月をまたがないように退院することができれば、医療費をおさえることができます。
健康保険組合の中には、高額療養費のほかに組合独自の付加給付制度があるところがありますので、医療費が高額になったときは問い合わせてみることをオススメします。
そして、高額療養費の支給には時効があります。診療を受けた月の翌月の初日から2年です。さかのぼってみて、自分や家族が高額療養費にあてはまっているようであれば、早めに支給の申請を行いましょう。