ファイナンス

アメリカの利上げが金融市場の転換点になる

ギリシャショック

2015.08.03

ギリシャ・ショックVol.2

今回は、前回に続き、ギリシャ危機について考えてみます。前回は、ギリシャ危機の現状について、簡単に解説しました。今回はその状況を受けて、今後の金融市場がどうなるのかを考えてみましょう。
 
今回のギリシャ危機が世界的なバブルにつながる可能性があると見る専門家もいます。ギリシャ危機によって世界的な金融緩和が実施されています。低金利でダブついた資金は株式市場に流れ込み、株高を演出しています。このままギリシャ危機が落ち着かなければ、金融緩和はさらに続き、バブルが膨らむ可能性があるというのです。バブルはいつか弾けることになりますが、現状では株高に取り残されないよう、多くのプロも株式市場に資金を投入しています。
 
その流れを止める要因として注目されているのがアメリカの利上げです。年内にも利上げに踏み切るとの見方が強まっています。金利の引上げは、基本的に株安、通貨高につながります。

低金利で借り入れて株式市場に投資されているマネーは、金利が上昇すれば利息負担が膨らむため、株式市場から引き揚げられます。よって株式市場は弱含みとなります。この影響は新興国にも広がります。これまで金融緩和によってあふれ出た資金は新興国にも流れ込み、株式や債券が買われていました。しかし、利上げはこの流れを逆行させることになります。新興国の株式や債券が売られる可能性が高くなります。

一方で為替市場では金利の高い国に資金が集まることからドル高傾向が強まる可能性があります。ギリシャ危機の出口が見えない中、通貨としての信認が再びドルに集中することになるでしょう。

利上げ観測がすでに通貨高につながっているケースがあります。英ポンドです。イギリスはアメリカに次いで利上げを実施するとの予測が強まり、英ポンドは14年末以降上昇を続けています。現在は対ユーロで07年以来の高値圏にあります。

とはいえ、アメリカが実際に利上げに踏み切るかどうかは、ギリシャ危機の今後の状況も関わっています。世界経済がバブルに向かうかどうかはアメリカの利上げに大きく影響されますが、そのアメリカの利上げを左右するのはギリシャ危機の動向ということになるのです。

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執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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