ファイナンス

医師が資産管理会社を活用するには?

歯科医の資産管理会社活用Vol.1

2016.07.15

医師の資産管理会社活用のすすめ

相続税および所得税のダブル増税によって、資産管理会社の活用が注目を集めています。今回の記事では、医師の方が資産管理会社を使うメリットについて考えてみます。

資産管理会社とは?

資産管理会社とは、オーナーの資産を管理する会社です。オーナーは法人を設立し、自社株や不動産などの資産を移し、株主となります。自社株から得られる配当や不動産から得られる家賃を法人で受け取ることによってさまざまメリットが受けられます。

近年、個人への課税の増加が進んでいる

2015年1月にスタートした相続増税では、基礎控除が縮小され、最高税率が引き上げられました。加えて所得税の税率も平成27年分の所得から最高税率の引上げが行われています。資産家にはダブルパンチともいえる増税です。

一方で、政府は法人税の引き下げを打ち出しています。個人で収入を受け取るよりも、法人で受け取ったほうが有利になるケースがますます増えそうです。

このように資産管理会社を設立するひとつのメリットは、個人よりも法人の方が適用される税率が低いということです。

現在、個人の所得にかかる税率は、所得税・住民税合わせ55%です。

一方で、法人に適用される税率は資本金の額などによりますが所得税・住民税合わせ35%程度です。同じ1,000万円の所得でも個人では550万円が税金として消えてしまうのに対し、法人であれば350万円ですむ計算となります。

法人化することで、さまざまな経費を計上可能に

さらに法人で受け取った所得からは、さまざまな経費を差し引くことができます。

たとえば車の費用。

個人名義の車でも、事業に利用していれば、車両代、駐車場代、ガソリン代などを経費とすることができます。
しかし、どこまでが事業目的なのかプライベートなのかの判定が難しいですし、全額を経費にすることは難しいでしょう。

法人名義であれば、全額を経費にすることができます。

賃貸住宅に住んでいるのであれば、自宅の家賃を経費にすることもできます。個人で家賃を支払っていれば経費にはできませんが、法人が役員の社宅として家を借りることにより、家賃を経費にすることも可能です(一定の制約あり)。

医師の資産管理会社活用

法人の場合、役員報酬も経費にすることが可能

法人の場合、役員報酬も経費とすることができます。

所得税は、所得が上がるほど高い税率が適用される仕組みになっています。ですから1人で高額の所得を受け取るよりも、複数で分散して受け取った方が負担する税額は下がるのです。

たとえば、課税される所得金額が3,000万円だった場合、1人で受け取ると所得税は3,000万円×40%-279万6,000円で約920万円となります。これを3人に分散できれば単純計算で「1,000万円×33%-153万6,000円」×3人となり、約529万円ですむ計算です。

資産管理会社を設立すれば、家族を役員にして役員報酬を支払うことが可能です。それにより所得を分散することで節税効果が期待できるのです。

資産管理会社の役員報酬を使って、相続を有利にできる

役員報酬は、相続税・贈与税の節税効果を期待することもできます。資産管理会社の収益をオーナーが受け取っていれば、相続が発生するまでにその所得は積み上がっていき、相続資産が膨らんでしまいます。結果、高額な相続税がかかることになります。

ところが、資産管理会社の収益を役員である家族に役員報酬として支払えば、相続資産が増えることがありません。結果的に相続税の節税につながるのです。

さらに役員報酬を受け取った家族がその収入を活かして節税をすることも可能です。資産管理会社を設立している場合、相続が発生すると、相続人は資産管理会社の株式を相続することになります。

株式の価値を評価して相続税を計算しますが、場合によっては株式の評価が高くなり、相続税が高額になってしまうこともあります。

そこで、増資を行い被相続人(親)の持ち分を減らす方法があります。この場合、相続人が出資して被相続人の持ち分を減らしますが、相続人には出資する資金がないケースも多いでしょう。

その場合、役員報酬を増資の資金として利用するのです。

以上のように、資産管理会社を活用し、かしこく節税を行いましょう。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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