FINANCE

医院の売り上げがいくらあれば、法人化で有利になる?節税の方法は?

どの程度の売り上げがあれば、法人化で有利になる?

2016.07.05

医院の法人化は売上いくらから?節税をするには?

医院を開業し、売上げが増えてきた場合には、医療法人化した方が節税になるといわれるが、実際にどの程度の収入があれば有利になるのだろうか。

最終的には、ケース・バイ・ケースということになるが、おおよその判断をする際には、税率の構造の違いを見極める方法がある。

この記事では、医院を法人化した場合の節税方法と合わせてご紹介していく。

個人事業と医療法人での課税の差

まず医院を個人事業で運営している場合には、所得税と住民税を支払うことになる。

所得税は、収入から給与所得控除や所得控除を差し引いた課税所得の額が多くなるほど、税率が上がる仕組みになっている。現在5%~40%の5段階だ。

一方で、住民税は一律10%となるので、所得税と住民税の合計の税率をまとめると以下のようになる。

<課税所得別の個人事業の税金>
 195万円以下の部分=15%
 330万円以下の部分=20%
 695万円以下の部分=30%
 900万円以下の部分=33%
 1,800万円以下の部分=43%
 1,800万円超の部分=50%

医院が医療法人の場合には、法人税のほか、法人住民税や事業税などがかかる。

合計の税率は、課税所得によって3段階に分かれ、以下のようになっている(中小企業の場合)。

<課税所得別の法人の税金>
 400万円以下の部分=約23%
 800万円以下の部分=約25%
 800万円超の部分=約38%

これを見ればわかる通り、医院が個人事業の場合には、課税所得が900万円を超えると税率が43%になるが、医院が医療法人の場合は38%で済むため法人化した方が有利といえる。

さらに2015年以降は所得税の増税が決まっており、最高税率は所得税と住民税を合わせて55%になる。

一方で法人税の減税が検討されているので、税率の格差はさらに広がる可能性が高い。今後、医院の法人化が増える可能性がある。

法人化すると、どんな節税効果がある?

医療法人が利用できる経費

次に、医院を法人化することで経費面でどのようなメリットがあるかを紹介する。

医院の法人化による経費面のメリットの一つは、支払った給料を経費にできるということだ。
本人はもちろん、実際に仕事を分担していれば、配偶者や子どもなどにも給料を支払うことが可能だ。

上記で説明した通り、所得税は収入が増えるほど、税率が高くなる仕組みになっている。同じ金額であれば、1人で受け取るよりも分散して受け取った方が合計の税額は低くなるわけだ。

例えば、課税所得1,000万円を受け取る場合で考えてみよう。

これを1人で受け取ったとすると、所得税と住民税を合わせ、43%の税率が適用される。

実際には1,000万円すべてに43%が適用されるわけではなく、195万円以下の部分は15%、330万円以下の部分は20%……と段階的に計算していくため、税額にすると約276万円となる。

では、1,000万円を400万円、300万円、300万円で3人に分けるとどうなるか。

400万円に適用される税率は30%、300万円に適用される税率は20%で、合計の税額は約178万円となる。

1人で受け取る場合と、3人で受け取る場合では、約100万円の所得税の差が出るわけだ。
ちなみに住民税は一律10%なので、給与を分散する効果はない。

また個人事業の場合は、収入から経費を差し引いた金額が税金の対象となるが、法人の場合は、まず給料を支払った時点で、その金額が経費になる。

さらに給料の税金を計算する際には、給与所得控除を差し引いて計算することができるので、個人事業の場合よりもトータルの税額を低くできる可能性が高くなる。

法人名義で保険に加入して節税する

さらに、法人名義で生命保険に加入して節税する方法もある。

医療法人の場合には、支払う保険料の一定割合は経費にできるので、利益を圧縮することができる。

中途解約したときに解約返戻金が受け取れる保険であれば、それを退職金に充てることもできる。
節税をしながら自分の退職金を準備することも可能になるわけだ。

医院の法人化で消費税も節税できる?

最大4年間、消費税をゼロにするには?

個人事業にしても、医院を法人化しても1年間の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税を支払わなくてはならない。

ところが、個人事業と法人化を上手に組み合わせれば、最大4年間、消費税をゼロにすることができる。

では、その仕組みを紹介しよう。

消費税が免除されるかどうかは、前述のように課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで判断する。

このときの課税売上高は、2年前のものを利用する。2年前の課税売上高が1,000万円を超えていれば、今年は消費税の納税義務が生じるということになるわけだ。

では、昨年までは課税売上高が1,000万円以下だったが、今年から1,000万円を超えたという場合にはどうなるのか。この場合には、2年後に消費税を納める義務が発生することになる。

つまり課税売上高が1,000万円を超えても、2年間は消費税が免除されることになる。
これは資本金が1,000万円未満の法人も同じだ。

ということは個人事業をスタートし、課税売上高が1000万円を超えても2年間は、個人事業のままで消費税の免除を受けたほうが有利になる。

そして3年目に法人化をすれば、2年間は消費税が免除されるので、最大4年間は消費税を支払わなくてよいということになる。

課税所得が2,000万円だと仮定すれば、消費税は160万円。
4年間にすれば640万円の負担が減ることになる。

法人化を焦らず、消費税の免除期間を目いっぱいに活用した方が有利になるケースが多いだろう。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部