インスパイア型リーダーに必要な「ゴールデン・サークル」の思考法とは?
2021.01.05
WHATではなくWHYを軸に考えよう~なぜ理念が必要なのか?~
チームや組織を牽引するリーダーには、リーダーシップや責任感が必要だという考え方は昔からありますが、人が誰かに従う理由はリーダーや経営者のリーダーシップだけではないはずです。
今回は、サイモン・シネックの『WHYから始めよ!』という書籍を基に、スタッフの方が自ら従いたいと望むようなリーダーとなるために必要な考え方について解説しましょう。
操作するか鼓舞するか
まず、本書の冒頭に以下の言葉があります。
世の中には、「形式上のリーダー」と「本物のリーダー」がいる。
「形式上のリーダー」は、権力のある座に就いていたり、影響力をもっていたりする。
いっぽう「本物のリーダー」は、私たちを奮い立たせる。
これを医院の事例に当てはめると、前者は、スタッフに自身の思うように動いてもらうために、恐怖心を利用したり、同調圧力をかけたりといった方法で人を操作する院長(リーダー)であり、後者は、目的や理由、理念をきちんと伝えるといった方法で人を鼓舞する院長(リーダー)です。
前者のようなリーダーに対して、スタッフは怒られたくないといった理由で従うことはあっても、後者のようなリーダーの下で働いているスタッフのように納得して行動したり、やる気を出して動くことは少ないため、どうしても後者よりパフォーマンスが見劣りしてしまいます。
では、前者のような「本物のリーダー」となるために必要となる考え方はどのようなものなのでしょうか。
インスパイア型リーダー
「インスパイア型リーダー」という言葉を聞かれたことはありますか?
インスパイア型リーダーとは、次のような特徴が当てはまるリーダーを指します。
・組織の中外の人たちに感銘を与える
・組織の中外の人たちのやる気を引き起こす
・アイディアやビジョンを発展させる手助けができる
今経営をされている方も、過去に従業員や生徒といった従う側の立場を経験されていると思いますが、その相手によって、尊敬・信頼・共感などの感情を抱き、自発的に従っていた場合もあれば、相手の方が立場が上なので仕方なく従っていたこともあったのではないでしょうか。そして、自ら従いたいと思った相手は上記のインスパイア型リーダーの特徴を持っていたのではないでしょうか。
次に、そんなインスパイア型のリーダーになるための大切な考え方「ゴールデン・サークル」についてお伝えしましょう。
ゴールデン・サークル
ゴールデン・サークルとは、WHYを明確にし、それを軸にしてすべてを始める考え方のことです。
WHY:大義・理想(なぜ)
HOW:手法(どのように)
WHAT:成果(何を)
ゴールデン・サークルは、大義や理由から考えるため、あなたがとっている行動の理由を知る手助けになります。また、優れたリーダーは「WHY → HOW → WHAT」の順に考えて行動し、コミュニケーションをとっているとわかっています。
一方で、多くの企業・組織はWHATから考えて行動します。そのように、信念や理想が明確でないまま、何をするかを軸に動いてしまうと、自分の進むべき道やすべき行動がわからなくなってしまうのです。
例えば、スポーツ選手を主に診る整形外科医のWHATの1つに、怪我を治すことがありますが、その先にはその選手が怪我から回復して活躍し、より豊かな人生をおくれるようサポートするというWHYがあるかもしれませんし、また、歯科医師の方のWHATの1つは歯を治療することですが、その先に、よりおいしくご飯が食べられるように、より良い笑顔になるようにといったWHYをお持ちの方も多くいらっしゃいます。そして、そのWHYを明確にお持ちの方は、そのために何をすべきかに迷うことはなく、それはスタッフの方も同じです。院長先生に怒られないようにと仕事をするスタッフよりも、患者様にこうなってもらいたいと前向きに働くスタッフの方が、患者様にも信頼され、自ずと医院の評判や業績につながるのです。
このように、スタッフの方と共通のWHYの認識を持てればその組織はより強固なものになるでしょう。
まとめ
ゴールデン・サークルは、最初に「なぜ?」と自問することですべて始めようと肝に銘じていれば、大きなことを達成できるという結果が出ています。また、この考え方は周りのやる気を引き起こしたり、アイディアを発展させたりといった副作用もありますので、積極的にスタッフの方とWHYを共有するようにしましょう。
ぜひ、『WHYから始めよ!』で紹介されているゴールデン・サークルの思考法を、取り入れてより強固な医院経営を目指してみてはいかがでしょうか。