マネジメント

天才を生かすも殺すも凡人次第!?

2020.12.25

天才と凡人が共存する組織の強さとは

優れた頭脳で、周りには見えない希望ある未来が見える人のことを天才と呼ぶことがあります。天才と呼ばれる人が事業を始めると瞬く間に大衆の心を掴み、起業した会社が急成長することもあります。しかし、一度事業が軌道に乗ると、天才は伸び悩むことが多いことに気が付きます。
北野唯我氏の著書「天才を殺す凡人」では、人は天才と秀才、そして凡人という三種類に分けられると提唱しています。この考え方は、職場における人間関係や医療における患者との関係など、様々な人間関係に応用することができます。

孤高の天才、それに憧れる秀才、天才をもてはやす凡人

仙人のような知識をたくさん持った人は様々な物事の行く末が分かってしまい、俗世間との関係を断ち、山にこもります。
しかし、自分の得意なものの知識は誰にも負けません。このような人は天才と呼ばれる人で、世間一般からはあまり理解されないことが多くあります。
また、一方で理論を重んじ、仕事などを一般化し勝ちパターンなどを編み出し、事象の再現性を見つけ出すような理論派は秀才と呼ばれる人がいます。理論で考えられないことは苦手で、天才の人が、理論確立していないようなことで成果をあげることが理解できません。
天才でも秀才でもなく、周りの様子によって自分の考えを変える凡人という人は、人の気持ちに共感する力を持っています。この凡人が人数に占める数が圧倒的多数となります。天才と秀才の数よりも、凡人の人数が圧倒的多数となるため、多数決などの際には凡人に有利に働くのです。

天才は凡人から賞賛を集め、簡単に手のひらを返される

天才と呼ばれる人は、うまくいっているときには多くの凡人からの賞賛を集めます。カリスマ経営者と呼ばれるような人は、その会社を起業した際にはその経営者に憧れる人が入社してきて、その人の賞賛一色となります。しかし、事業がうまくいかなくなり始めると、あの人はもう終わったなどと無責任とも感じるようなことを言い始め、社内の別の人を社長にふさわしい等と言い始めます。こうした場合に名前が挙がってくる人が秀才であることが多くあります。秀才は天才の理論では説明できない不思議な能力に嫉妬を抱いて、天才を追い出そうと躍起になる場合があります。
凡人は何もしていないように見えますが、こうした動きに賛同するかどうかという重要なカギを握っています。つまり、天才も秀才も生かすこともできれば殺すこともできるのは、多数決で大多数を占める凡人なのです。
これは、ナチスドイツや日本の太平洋戦争など、後から考えるとなぜそんな過激な思想の人たちが政権を取ったのかという部分にもつながります。一人の天才(ナチスではヒトラーなど)が凡人の支持を多く集めたため、通常では考えられないような主義主張が通ったと考えられるのです。
しかし、裏を返せばこうした天才が思い通りにできないように抑えることも凡人にはできると言えます。

凡人には共感する能力がある

凡人という名前からして、本当に凡人は平々凡々とした人がそういわれるのかというとそうではありません。
凡人は他人と共感する能力があります。大衆の動きを機敏に察知してヒットする可能性を共感する力で探るというマーケティング部などで必要な能力を凡人は持っています。また、先が見えすぎてしまい、苦悩する天才の悩みにも共感し、天才の一番の理解者となる可能性も秘めているのです。
北野唯我氏はこの凡人の共感する力を使って多くの人を動かす人のことを「共感の神」と著書の中で呼び、凡人の能力しかないと思っている人はここを目指すべきだと主張しています。
天才でもなく、秀才でもない凡人だからこそわかる相手の気持ちが、様々な人の心を動かすことができるのです。

天才を生かすも殺すも凡人次第!? 天才、秀才、凡人がバランスよく配置される職場に

天才や秀才だけのチームがとても強いかと言えば決してそうではありません。そうした人たちは、優秀であるが故に他者との衝突が多くなる傾向が高いのです。
手術に関しては天才的な才能を発揮するが、人の気持ちが分からずに患者とトラブルを起こしてしまう天才肌の医師もいれば、一方で、医療技術に関してはあまり突出したものを持っていなくても、患者の気持ちに寄り添った治療で評判を集める医師もいるでしょう。
これらの医師達は、方向性は違いますが同じ病院で働けば病院としては強いものになると考えることができます。
天才と秀才、凡人は何もせずに同じ環境に放り込まれるとそれぞれが排除し始める可能性があります。つまり、天才や秀才、凡人同士で殺しあってしまうのです。
「天才を殺す凡人」の中では、こうしたそれぞれの立場に立った気持ちを理解できる「共感の神」の存在が職場の環境をよくするためには必要不可欠であると主張します。
凡人という名前に冴えない印象を持ってしまいますが、天才や秀才を世に出すかどうかのカギを握っていたり、職場環境をよくすることができるなど、天才や秀才を生かすも殺すも凡人次第ということになるのです。
新しい人を雇ったり、新しいチーム編成に組み替える際には、今回お伝えした考えを基に、天才、秀才、凡人がバランスよく配置し、組織がより強固なものになるようお役立てください。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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