マネジメント

優秀なスタッフと共により良い経営を実現するには

2019.08.15

スタッフの離職や育成に悩む開業医におススメの3冊

医療現場は慢性的な人手不足と言われているため、皆様の中にも、医院の人手不足やスタッフの離職率の高さにお悩みの方も多いのではないでしょうか。
高齢化社会が進み生産人口が減少していく中で、今後さらに人材の確保が難しくなるのは必至で、経営者にとって人材確保・育成は事業を上手く運営し続けるためには避けては通れない課題と言えます。
有能な人材の流出は、サービスの質が低下してしまう上に地域の医院として患者の信用失墜につながる恐れもありますので、今回は定着率が良く、働きやすい職場を目指すリーダーにお勧めの3冊の書籍をご紹介します。

<リーダーとして役立つ書籍3冊>

人を奮い立たせるリーダーの力

ラグビー日本代表の司令塔として活躍し、ドラマ「スクール☆ウォーズ」のモデルとなったラガーマン・平尾誠二氏が組織をまとめるリーダーとしてのあり方を説いた書籍です。
冒頭には、平尾氏と同学年で親交のあった、ノーベル賞受賞の医師・山中伸弥氏からのメッセージが寄せられ、53歳で急逝した平尾氏を偲ぶ集いで読んだ弔辞も全文掲載されています。

人を叱る時の4つの心得
1.プレー(行動)は叱っても人格は攻めない
2.後で必ずフォローする
3.他人とは比較しない
4.長時間叱らない

この「人を叱る時の4つの心得」は平尾氏が生前よく言っていた言葉で、平尾氏がいかにリーダーとして、厳しさと優しさを兼ね備えて部下に接していたかが伝わってきます。
その他にも、強い組織、強いリーダー、強い個人、強い日本人を作るためのヒントが数多く書かれていますので、きっと強固な医院経営を目指される皆様の役に立つはずです。
また、平尾氏がラガーマンであったことから、特にスポーツをするドクターには共感しやすいのではないでしょうか。平尾氏の仕事や部下に対する真摯な姿勢から、リーダーの矜持を学べる一冊です。
山中伸弥氏と平尾氏の逸話は「友情 平尾誠二と山中伸弥最後の一年」という本でも、山中氏と平尾氏の奥様の目線から語られ、「友情」の最後の章では「週刊現代」に掲載された、医療業界とラグビー界を牽引した二人の対談記事も未公開部分や議実弾も含めて掲載されています。ここでも先述の「人を叱る時の4つの心得」が登場していますので、併せて読むことで更なる理解が深まるでしょう。

もしアドラーが上司だったら

医療業界は女性が多い業界ですが、大手求人情報サイト「マイナビニュース」の調査によると女性の86%が職場の人間関係で悩んでいるとのデータがあり、その相手は上司が46%と最も多い結果となってしまいました。
上司との人間関係を「嫌われる勇気」で一躍有名となったアドラー心理学に当てはめ解決しようと試みたのが「もしアドラーが上司だったら」です。
主人公の営業マンが上司ドラさんの出す12の課題を解決し、結果を出すまでの成長を物語形式で分かりやすく紹介されているため、部下への指導やモチベーションの低さに悩む経営者におすすめの一冊です。朗読形式でも出版されていますので、運転中や作業中に聞くこともでき、多忙な開業医の先生方にピッタリです。
本書はアドラー心理学の入門的書物としての位置づけのため、より詳しく知りたい方はアルフレッド・アドラー「生きるために大切なこと」、小倉広「アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉」等を読むことで更なる理解を深めることができます。
部下の教育だけではなく育児にも応用できるエッセンスが詰まっているため、人間関係に幅広く応用することも可能です。

医師として知っておくべき マネジメントとリーダーシップの鉄則 24の訓え

「経営の神様」として現代社会のマネジメントとリーダーシップの基礎を築いたピーター・F・ドラッガーの理論を医師のために落とし込んだ実践的な一冊で、帯には「医師のためのドラッガー本」と記されています。
4部構成になっており、第1部では現場で患者や医療関係者と折衝するための心構えやコミュニケーション方法、第2部ではマネジメントを原則から学び指導者として企画すべき事、更には医療訴訟についても知識を深め、第3部ではリーダーシップを身につけるためのコーチング等の技法やマインド、第4部はキャリアを前進させるための方法を学んでいきます。24節で区切られているため、業務の合間に一節ずつ読み進めることも可能。
「逆境でも折れない心の作り方」から「医療訴訟の背景にある問題」まで多角的に医療経営について学ぶことができ、22人の医師が監修に携わったため、現場でのマネジメントやリーダーシップの取り方などの実例を多く含んだ毎日の経営に取り入れやすい内容となっています。開業したばかりの医師だけではなく、ベテランの医院経営者にもおすすめです。
医院に一冊あると経営や現場の人間関係、キャリア等で困った時の「虎の巻」となることでしょう。

まとめ 

昨今の働き方改革により、従業員の休みを確保しながら、多用な働き方が可能な職場環境が求められており、それを実現するためには、経営者に強いリーダーシップと高度なマネジメント能力が必要不可欠です。
接遇や技術が優れたスタッフが長く勤めていることは、地域の患者の信頼につながり、結果、長く地域に愛される医院経営が可能になりますので、今回ご紹介した書籍を参考にリーダーシップ力とマネジメント力を磨き、有能な人材を育成・確保してください。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
458件の開業医を成功に導いた成功事例集