マネジメント

やる気のない部下には、どう対処すべきか?

堀江貴文に学ぶマネジメントの極意

2017.10.18

堀江貴文に学ぶマネジメントの極意

堀江貴文という人物を知らない経営者の方はほとんどいないのではないでしょうか。

ホリエモンの愛称で知られる彼は、かつてlivedoorというIT企業で一時代を築き、一躍時の人となりました。

その後も彼はニッポン放送を買収しようとしたり、衆議院選挙に出馬したり、実刑判決を受けたり、また今でもロケット開発などの数々の新規事業に取り組むなどして、とにかく話題に事欠かない人物です。

かつてノリに乗っていた上場企業のCEOを務め、現在でも多数のプロジェクトを動かしている堀江氏のマネジメント術には、きっと組織を繁栄させるための手がかりがあるはずです。今回はそんな堀江氏の著書から彼のマネジメントにおける考え方を紹介いたします。

今回取り上げるのは、「99%の会社はいらない」という書籍です。

堀江氏はこの書籍の中で、会社というシステムに潜む非効率性について述べ、新しい時代の組織運営や個人の働き方について述べています。

この書籍の中でマネジメントについて触れている一項を抜粋します。

「部下の士気を上げるにはどうしたらいいのか?」等の質問を受けることもあるが、本人がやる気にならない限りはどうしようもないことだし、わざわざ会社がそこまで面倒を見てやるのもおかしな話だ。どうしても部下に動いて欲しければ、彼が望むものを成果として与えればいいだけのこと。それをやらずに感情マネジメントをして動かそうなどというのはおこがましいし、相手に失礼だ。

マネジメントをする立場になると、「部下を鼓舞してどうにかやる気を出させなければならない」と思ってしまうのは至極当たり前のことのようにも思えます。しかし、堀江氏は上司に部下のご機嫌を取ってあげる義務は存在しないと切り捨てます。そもそも今仕事をしていることは本人の意思であり、好きなことを仕事にしているのであればやる気を出すのは当たり前のことで、しっかりとした報酬を与えずに感情だけをコントロールすることなどもってのほかであると。それよりも会社がすべきことは、彼らに見合った報酬や快適な職場環境を整えてあげることであるといいます。

この考えを踏まえると、もしあなたが現在どれだけ口先で部下を鼓舞しようとしても彼らの士気をあげられないとしたら、部下が何をモチベーションとしているのかを把握できていないからという原因がある可能性があります。

実際堀江氏は、livedoorの社長時代に社員の給料を3ヶ月に一度見直す仕組みを導入しており、出来の悪い社員はどんどん減給していき、会社に貢献してくれる社員にはその仕事に見合う高額な給料を与えていたようです。

その結果会社を離れていく人もいましたが、優秀な人材が残り、livedoorは当時のITブームの中で特異な存在感を放つ企業にまで成長しました。

しかし、現在医院を経営されている方の中には、他の医院との兼ね合いもあり、そう簡単に部下の給料を上げられないし、人材不足の中で看護士や衛生士など有資格者に給与を下げてしまうとすぐ人手が足りなくなることが目に見えているという方もいらっしゃるでしょう。

ここで、金銭的な解決策ではないある取り組みを行った病院の事例をご紹介しましょう。

兵庫県にある県立柏原病院をご存知でしょうか。この病院の小児外科外来の窓口には、患者さんからの医師への感謝の気持ちがつづられた感謝カードがびっしりと掲示されています。

元々は、小児科存続のための取り組みで、コンビニ受診(軽症でも救急外来を利用すること)を減らし医師の負担を軽減する取り組みの一貫で行われたことでしたが、柏原病院の医師たちは、激務の間にこの感謝のメッセージを毎日見て癒されているそうです。

このように、お金以外の方法でも工夫しだいによって部下のモチベーションづくりをすることはできます。大切なのは、部下が何を求めているのかを日頃から観察し、真にモチベーションとなるものを提供してあげることなのです。

「やる気のない部下の気持ちは簡単には変えられない」というのが堀江氏の考えです。
やる気のない部下のモチベーションを上げることに労力を費やすよりも、毎日医院のために尽くしてくれている部下のために自分の時間やリソースを割き、彼らをねぎらい、彼らにとって最適な職場環境を整えてあげるという選択肢も医院の活性化を図るためには必要なのではないでしょうか。

▼参考文献
『99%の会社はいらない』(KKベストセラーズ、2016年7月) 堀江貴文著
執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
458件の開業医を成功に導いた成功事例集