マネジメント

本当に大切な「リーダーでいるための5カ条」とは

2020.08.05

地方採用からトップへ上り詰めた浅井浩一氏が示すリーダー像

経営者はリーダーであり、リーダーだからこそ「部下たちに尊敬されるよう、優秀でいなければならない」などと、思い込んではいないでしょうか?実は、その思い込みがスタッフとの距離や溝をつくり、「困ったときは、何でも相談して」という声かけが本音を言い難くしているといいます。
今回は、その理由と対策方法について、地方工場での勤務から上場企業を含む1万人以上のリーダー指導をするまでに至った浅井浩一氏の書籍から読み解いていきましょう。

■書籍「はじめてリーダーになる君へ」とは?

今回紹介する「はじめてリーダーになる君へ」は、経済やビジネスに関する雑誌や書籍を出版する、創業100年超えの「ダイヤモンド社」から出版された書籍です。「浅井浩一」氏のリーダーとしての軌跡のほか、リーダーでいるために本当に大切な5カ条が集約された書籍でもあります。

■浅井浩一氏とは?

JT(日本たばこ産業株式会社)の日本一小さな工場に就職した浅井氏は、勤務地域限定の地方採用だったこともあり、出世街道とは無縁の環境下にいました。しかし、スタッフたちとのコミュニケーションを通して職場を激変させます。
その仕事ぶりを評価されて本社に勤務、その後は全国最年少営業所長に就任し、さらに歴代最年少支店長として抜擢されました。そして、31支店中25位と下から順位を数えたほうが早かった支店を、着任して1年後には群を抜いて1位にまで押し上げるなどの偉業を成し遂げます。
この偉業の裏側にあったのが、浅井氏が提唱する「リーダーでいるための5カ条」です。
2001年以降は現場を退き、JTの経営幹部として勤めながら、多くの上場企業幹部を指導し、各地で講演会をおこなうなど、マネジメントケアリストとして精力的に活躍しています。

■リーダーにとって大切なこと

長年リーダーとして現場スタッフたちをまとめ、個々の力を引き出して優秀な成績を収めることに成功した浅井氏は、以下のように言っています。
自分にできることを懸命にやり、困ったときは部下に頼り、正直に弱い部分をさらけ出すことこそが、リーダーにとって本当に大切なことなのだと。
部下に頼ったり弱い部分をさらけ出したり、聞いた瞬間に首を傾げてしまいそうな内容ですが、それには実務に伴う深い裏付けがありました。
ひと節ずつ、詳しくみていきましょう。

自分にできることを懸命にやる

「自分にできることを懸命にやる」ことこそが、「この人のためなら」と、スタッフが思うようなリーダーになるための習慣だと浅井氏は伝えています。
営業に関して素人だった浅井氏は、自転車に乗って販売エリアへの挨拶まわりをするぐらいしかできなかったそうです。スタッフたちは指導者であるリーダーが、自分ができることを一生懸命にこなす姿を見て、「この人は、自分たちと一緒に汗をかいてくれる」と、意識が変化したと言います。

困ったときは部下に頼る

「困ったときは、何でも相談して」と言われても、リーダーとの距離を感じて、遠慮などの気持ちが優先してしまうスタッフが多いようですが、リーダー自らが、スタッフたちの目の前で問い合わせたりスタッフたちに問いかけたりすることで、「自分たちも尋ねていていいのだ」という意識に変化したと言います。また、わからないことをスタッフに投げかけてみることで、自然な形でミーティングへ導き、意見交換など発言しやすい雰囲気づくりのキッカケになったそうです。

正直に弱い部分をさらけ出す

問題があったときは1人で悩まず正直に、今置かれている状況や悩みについてスタッフに相談することも大切だと、浅井氏は伝えています。
弱い部分をみせる上司は、情けなく格好悪いというイメージを持つ方も多いと思いますが、浅井氏は「リーダーが正直に弱みをみせることで組織全体が正直になる」と言います。リーダーが弱みをさらけ出すことで、スタッフが自分の失敗や悩みなどを打ち明けやすくなるのです。

■「リーダーでいるための5カ条」

実際にスタッフたちをまとめながら、「自分にできることを懸命にやり、困ったときは部下に頼り、正直に弱い部分をさらけ出す」という理念を軸に編み出したのが、「リーダーでいるための5カ条」です。

・自分にできることは懸命にやる
・できないことは部下に甘える
・自分の優秀さをアピールしない
・部下に誠実な関心を持つ
・事実に基づく

■「リーダーでいるための5カ条」を読み解く

すでに触れている部分もありますが、浅井氏がリーダーとして君臨した日々のなかで編み出し、効果を裏付けた「リーダーでいるための5カ条」についてみていきましょう。
自分ができることを一生懸命にやることで、スタッフに「一緒に頑張れる人」だと感じてもらうことができ、部下に甘えることで部下も甘えやすくなります。リーダーが優秀であればあるほど、スタッフからしてみれば近寄りがたい存在となるため、わからないことを質問したりスタッフに問いかけたりする姿が距離を縮めてくれるのです。
また、スタッフにも家族や恋人がいること、大切にする時間や趣味などがあることなどを理解し、何か困ったことがあれば助け合えるような関係を築くことも大切です。
そしてときどき、「誰の、何のために働いているのか」を意識してもらい、「自分のはたらきが本当に役立っているのか?」と問いかけてもらうことも必要だと言います。
自分が書いたメモ、作成した資料、患者の緊張や気持ちをやわらげるための絵画の発注や子ども向けDVDの準備などなど、場合によっては関連する人に尋ねてみることも大切です。

■まとめ

「リーダーでいるための5カ条」は、長年リーダーに君臨し続けた浅井氏が、失敗しながらも年月をかけて裏付けたリーダーのための教科書でもあります。「いまいちチームがまとまらない」、「スタッフとの距離が遠い気がする」などと悩んだときには、ぜひ今回紹介した方法を実践されてみてはいかがでしょうか?

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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