名将・野村克也氏の名言から学ぶ経営の極意
2018.05.30
名将・野村克也氏の名言から学ぶ経営の極意
好かれなくても良いから、信頼はされなければならない。
嫌われることを恐れている人に、真のリーダーシップは取れない
まず経営資源として最初に挙げられる「人」に関する野村克也氏の名言です。
スタッフの方に対する心構えのようにも感じられますが、クリニックのオーナーが信頼されなければならないのは、やはり患者様ではないでしょうか。時に厳しいことを言っても、常に患者様の症状の回復や健康維持を第一に考えた言動が出来ていれば自ずと信頼感が醸成され、ひいてはクリニックの発展にも繋がるのです。
人間的な成長なくして、技術的な進歩なし
続いて「物」についての名言です。これはもちろん野村克也氏が良く口にしている「野球人たる前に社会人たれ」と同じく「人」について発せられた名言ですが、「物」つまりクリニックにおいては設備や機器に関して考える時に、非常に示唆に富んだ言葉です。
たとえ性能の良い最新の設備・機器を導入したとしても、それを扱う人間が旧態依然としたままではその効果は十分に発揮できません。この名言は、技術の進歩に対して等しく人間も成長すべきということを教えてくれています。また同時に、新しい設備・機器を肯定することの重要さも示しているとも言えるでしょう。
仕事の三大要素とは、計画・実行・確認や
この名言は、計画・実行に加えて確認が含まれていることに野村克也氏らしさが垣間見えます。経営技源のキーワードの3つ目「金」について、今回はこのフレーズの「仕事」の部分を「資金の使い方」に置き換えて考察してみましょう。
資金調達などの条件が整えば、「病院の規模をさらに大きくする」「設備を充実させる」といった計画を立て、それを実行することはできます。しかし重要なのは、次のステップに進む前に当該の計画の費用対効果をしっかりと確認(検証)することです。これを実施することで費用や時間のムダを省くことができ、クリニックの安定的な継続が望めるようになるでしょう。
「どうするか」を考えない人に、「どうなるか」は見えない
こちらは、従来の経営資源のキーワードに追加して指摘されることの多い「情報」について考えさせてくれる名言です。不確実な未来を自分自身の知識・思考で切り開いていく気概が込められています。
「どうなるか」を予測するために必要なのが「情報」ですが、何の目的もなく目先の情報を追っていたのでは意味がありません。この名言のとおり、最初に「どうするか(どうしたいか)」という将来に向けてのビジョンを明確に持ちましょう。
一流は常に不安と自信が背中合わせにある
一流のクリニックたるには、何よりもまずご自身の理想・信念が重要です。「不安」とは慢心せず不断の努力を積み重ねることで、クリニックがさらに発展できる可能性を表しています。「自信」とは、自分自身への冷静な評価であり、客観性を持てるからこそ周囲がよく見え、常に最善の選択ができるようになるのです。
まとめ
今回は、野村克也氏の著書『野村の流儀 人生の教えとなる257の言葉』から、「人」「物」「金」「情報」「理念」という視点で経営論を考察しました。名将の言葉に改めて気付かされる部分もあったのではないでしょうか。名言にはその意味するところが明確にありますが、解釈が異なる場合も存在します。皆さまそれぞれに思いを巡らせていただき、ぜひご自身のクリニックの発展にお役立てください。
出典:野村克也『野村の流儀 人生の教えとなる257の言葉』(ぴあ株式会社 2008年)