MANAGEMENT

優秀な人材が集まる企業に共通する人材育成メソッドとは?

2018.05.02

歯科医院でも取り入れたい!リクルート、マッキンゼーに学ぶマネジメント

歯科クリニックを経営される院長先生方から、スタッフの育成に苦労されているというお話をよくお聞きします。忙しい中で教育がなかなか行き届かないことや、せっかく育てた人材が独立してしまうことなどが課題とされていますが、歯科クリニックへの就職希望者は、その多くが独立志向を持っているのもまた事実です。その中でどのように人材育成をすれば良いのか、実はその育成で有名な企業の取組みの中に課題解決のヒントを見ることができます。

実はメリットが多いスタッフの独立

できれば長く勤めてくれる優秀なスタッフを育てたい、そう思っている歯科クリニックの経営者は少なくありません。せっかく手塩にかけて育て、高い技術を身に付けたのに流出してしまうのは大きな痛手となるからです。一方でそのような人材の独立を、むしろ応援する企業があります。日本ではリクルート、アメリカではマッキンゼーが優秀な人材を輩出していることで知られています。こう聞くと、そのような大手企業だから多少の人材流出は痛手にはならないのだろうと思われるかもしれませんが、これらの企業が何故そのような優秀な人材を輩出しているのかを知れば、クリニックにとっても大きな利点となることが分かるでしょう。

独立心の強いスタッフを育てるメリット

歯科クリニックは全国で見るとコンビニの数よりも多いとされています。それでも独立を目指す人が多いのは、歯科業界において独立が規定路線にあることや上昇志向を持つ人が多いことなどが理由とされています。それを受けて歯科クリニックの開業を支援するサービスが多いのも、ひとつの要因のようです。いずれにしてもそのような上昇志向を持つ人材は、学ぶ意欲も人一倍あるので優秀なスタッフに育ちます。逆に長く勤めてくれるような人材を選んでいると、自発的に仕事に取り組むことを苦手とするスタッフが集まるリスクがあります。つまりいずれ独立することが分かっていても、上昇志向の強い人材を採用し育てることで、クリニックの治療レベルも高まり、口コミでもその評判が広まることにつながります。

独立を支援することが優秀なスタッフを集める

これはリクルートもマッキンゼーでも同じ考え方をしていますが、優秀な人材を輩出する会社には、優秀な人材が集まるという好循環サイクルが生まれます。人材育成に定評があるために、それを求めて自己を高めたいという人材が集まってくるわけです。つまり歯科クリニックでも、このような優秀な人材育成をするメソッドを取り入れることで、流出した人材と入れ替わりにまた優秀な人材となりうる人が集まってくることになります。

リクルートは成長する機会を与える

リクルートの人材育成メソッドは、自ら学んで成長できるような機会を与えることで、「価値の源泉は人」という考えの上に「一人ひとりが起業家精神を持てるようにする」という人材開発方針を定め、教えることではなく「学ばせ方」に力を入れています。

そのために、まず、育成計画を立てています。いつまでにどんな能力を、どの程度まで身に付けるのかを面談による対話で決め、あくまでもスタッフ自身の意思で目標を決めてもらうことを重視しているわけです。

次にその計画をもとに、仕事を割り当てます。歯科クリニックもそうですが、一般的には多くの企業が誰にどの仕事を割り当てれば組織としての目標を達成できるかを考えるものです。いわゆる適材適所の考え方ですが、リクルートの場合には、仕事の割り当てはあくまでも、どの仕事であればどんな学びができるかという視点で行っています。組織目標は人材育成が計画通りに行われた結果、自然と達成できると考えているのです。

人材育成のトレーニングシステムが完成しているマッキンゼー

マッキンゼーの場合、「卒業生の成功はマッキンゼーの成功」の精神で人材育成に取り組んでいます。マッキンゼーは、人材の持つ能力を最大限に引き出して、常に夢中にさせる組織であり続けることを目標に掲げています。自発的に自己向上を楽しめるようにしているわけです。その精神を基盤として、トレーニングシステムが完成していると言われており、日本でもDNAの南場智子氏や評論家の勝間和代氏、大前研一氏などがマッキンゼー出身者として有名です。いずれにしても課題を解決する能力に優れ、時に強いリーダーシップを発揮できるタイプですが、これがマッキンゼーの人材育成を反映させています。自ら徹底して考えること、問題の本質を追求すること、そしてクライアントの課題を見つけ出して解決案を提案することが強みと言えます。

歯科クリニックで取り組める人材育成メソッドとは

それでは翻って、歯科クリニックではどのようにして人材育成に取り組めばよいのでしょうか。個人クリニックではスタッフそれぞれが自分の仕事をこなすことで手一杯で、なかなか育成にまで手が回らないという経営者が多いのも事実です。そのような中でもまず大事なことはコミュニケーションを取るということです。優れた組織は阿吽の呼吸でスタッフ同士が連携し、仕事をするというスタイルが理想にも思えます。それぞれの得意とする分野で、得意とする技術を最大限に発揮すれば効率良く業務を進めることができますが、リクルートもマッキンゼーも、共にスタッフと徹底的に話をすることを重視しています。そしてそれぞれがどのような目標を掲げるのかを考えさせています。

歯科クリニックでも、独立心を持った人材は実のところ、何を目指せば良いのか分からないというケースが多いものです。そして毎日の忙しさに埋没されて、次第に自分が何を目標にしているのか、あるいは目標を持っていたのかを見失うことにもつながります。そこで少しでも時間を取って、継続的に目標を語らせることが必要になります。指導者として何かをアドバイスするような必要はありません。あくまでも本人に考えさせることが大事です。そのように考える時間を作ることで、日々の業務の中で何を習得すれば良いのかを自分で考えてくれるようになるのです。

そしてできれば、スタッフそれぞれに対して少しだけ先輩になるスタッフをつけると良いでしょう。かつての自分がどのように考えていたのかを振り返れば、教育係となったスタッフは自分が担当するスタッフの悩みなども理解できるものです。何かあれば相談に乗ることができ、うまくいったことに対してもきちんと評価することにつながります。人は誰かに自分を評価してもらうことで、満足感を得ることができます。そしてその満足感が、次の頑張りにつながっていくのです。

経営者として大切なことはクリニックの方針を語ること

実際の教育をスタッフに任せるとすれば、経営者として人材育成にどのように関われば良いのでしょうか。

実は最も重要な経営者の役割があります。リクルートもマッキンゼーも、人材育成に関する明確なビジョンを持っています。それを掲げることで、優秀な人材も集まるようになります。ビジョンとはクリニックの売上や利益に直結するものではありません。売上や利益は、ビジョンの実現の上に達成できる結果に過ぎず、先に売上や利益を求めるのは、順序が逆というわけです。

クリニックの経営を通して、どんなことを実現したいのかを指し示すことが大事と言えます。そのビジョンがスタッフの価値観とうまく噛み合うことで、スタッフ自身のモチベーションの維持にも結びつきます。

まずはどのような人材を育成したいのか、明確なビジョンを作ることから始めてみましょう。その人材像に近づくためにはどのような技術が必要なのか、あるいは技術以外のスキルを必要とするのかがはっきりとします。その結果、スタッフそれぞれの目標も見えるようになるわけです。

まとめ

以上のことから、歯科クリニックにおける人材流出が医院にとってマイナスの影響を与えるのみではなく、むしろ優秀な人材を輩出することで、その評判が優れた人材を呼び込むというプラスの影響をも見込むことが出来ることがわかります。そしてそのような人材を育成するためには、まずスタッフに目標を意識させることが大事です。仕事の割り振りを得意とすることを基準にするのではなく、目標とする技術やスキルを習得できるかどうかを基準にするといった考え方も導入してみる価値があるのではないでしょうか。

クリニックの売上はスタッフをいかに教育するかによって決まると言っても過言ではありません。つまり売上ありきではなく、人材ありきの視点で仕事を割り振り、それぞれの目標を叶えることができるような医院作りにすることが大事と言えるでしょう。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部