まず始めにやるべき事は「仕事の意義・楽しさ・遣り甲斐を教える」こと
2018.02.07
スティーブ・ジョブズに学ぶ人材育成
はじめに
経営者の重要な仕事の1つに「部下の人材育成」が挙げられます。人材育成に関係する書籍は既に沢山出版されていますし、ネットでも数多くの情報を集めることが出来ます。しかし、未だに多くの経営者が、この問題に苦しんでいる状況が変わっていないことに賛同いただけると思います。今回は著名な経営者のマネジメントスタイルからこの問題の解決に役立つ内容を示唆したいと思います。今回の経営者は故スティーブ・ジョブズ氏です。
スティーブ・ジョブズは部下育成の方針を持っていたのか?
スティーブ・ジョブズは非常に頑固者で知られていました。経営の中でも、特に部下育成に関して明確な方針を持っていなかったと考える人もいるかも知れません。彼は、部下を平気で罵倒し、その為に多くの方が辞めた現状もあります。しかし、彼が残した言葉を俯瞰して考えると、人を育てるにはどうしたら良いかという明確な指針を持っていたことが伺われます。
部下を育成するには困難なことを担当させる
先ず、彼の名言として
「Challenge your employees to grow (社員を更なる成長へと挑戦させる)」
という言葉を残しています。
この言葉は彼がよく使っていた言葉です。彼の部下育成の最適な方法は、部下に困難な仕事を与えることにあったと考えられます。何故なら人間は困難な場面に直面した時に最も成長するからです。読者の皆様も経験があるからわかると思います。
困難に直面し、自分の全力を持って取り組まざるを得ない仕事をクリアした時に、部下は成長します。これは多くのマネジメントの本にも書いてあることです。部下の能力よりも少し上のレベルの仕事を与える時に部下は一番成長する、と言われます。彼も同じ考えを持っていたわけです。
困難なことをさせるには、その前に自分の仕事が好きな人だけ集める
しかし、多くの経営者はこれを実現できていません。それは、課題レベルの設定自体が難しいこともありますが、部下が困難の前で潰れてしまう事が多いからです。少し厳しい言い方をすれば、困難を超えるだけの力を部下が発揮できなかった、最後までやり遂げられなかったと言えます。一方、ジョブズは更にこの様な発言を残しており、上記の問題は解決していたと思われます。
「Hire people who are insanely passionate about your product (とてつもなく自社製品に熱狂する社員を採用する)」
というものです。
つまり自分のやっている仕事が本当に好きな社員だけ集めろ、という事です。自分の好きなことは、自分の能力以上のことが発揮できるからです。もちろん好きなことなので限界も越えられます。好きなことならば困難でも乗り越えようと頑張れます。彼の下でも潰れずに厳しい要求をこなしてApple帝国を築くことに貢献した社員はこうあったと考えられます。
仕事が好きな人だけ集めることは難しくとも、仕事を好きにさせる努力は出来る
これの点から我々が学ぶ点は何でしょうか?
自身の医院の部下が皆、自分の仕事に熱い人間なら問題はありませんが、人材不足と言われる医療業界においてそのような人ばかりを集めるのは非常に難しいと言えます。であれば、部下が仕事に熱くなるように導いてやることが必要となります。自分の仕事を好きになるように導いてあげることが必要なのではないでしょうか?
マイナビ編集部の調査によると、社会人500人に対して『仕事をしていて楽しいと思うことがありますか?』という質問を投げかけたところ42.6%が『いいえ』と答えており、これをはじめとする多くの調査で仕事が楽しいと思えている人が多くないと言うことがわかっています。
しかし、仕事は辛い場面だけでなく、楽しい場面や嬉しい場面も必ず存在します。そういった仕事の良い面や遣り甲斐を教えていくことが仕事を好きになるための第一歩となります。可能ならば実際に経験させることが良いでしょう。それが達成でき、部下が仕事に熱中できる人間になれば、経営は上手く回っていくのです。
仕事を教える・管理する・モチベーションを保つことがマネジメントの基本と考えられますが、その前に、仕事の意義・楽しさ・遣り甲斐を教えることが重要です。この点で部下が自分の仕事を好きになればもっと楽にマネジメントできるようになるでしょう。
スタッフがなかなか定着しない、社員教育の方法に迷いや改善点があるなどというお悩みをお持ちの方は、スティーブ・ジョブズが行っていた人材育成方法を是非実践されてみてはいかがでしょうか。