インタビュー

深刻な医療スタッフの人手不足…そんな佐渡島を明るく盛り上げる

2019.01.10

こだま歯科医院 院長:児玉 信彦氏インタビュー

生まれ育った佐渡に開業し33年。大好きな島だからこそ、もっと広く魅力を伝えたい…。
本土とはまた違った島ならではの喜びや悩みを、児玉信彦院長と、医院の会計など裏方として支える奥様の寿子さんに聞いた。
高齢化や医療スタッフの不足など将来的な問題は山積みだが、お二人の姿から頼もしくも明るい“覚悟”が見えた。

 

島で開業し33年 広く島民が知る名物的な歯科医院に

- 歯科医になられたきっかけは?

児玉 信彦先生(以下、児玉):もともと実家が佐渡島で呉服屋を営んでいましたが、朝から晩まで、接客、お金の計算、商品の入れ替え…。そんな親の姿を見ていて、私にはできないなと思っていたんです。その頃は、学校の先生になりたかったのですが、親が商売をやっている家でしょう。どこかに勤務に出るというのは、考えられない環境でしたね。それで、独立開業が比較的しやすい、歯科医の道に進みました

- 大学ご卒業後は、新潟大学に勤められたということですが、佐渡で開業することは決められていたのですか?

児玉:家を継がないにしろ、いつか必ず地元に戻るという考えはずっとありました。大学の勤務医として3年ほど経った頃、今のこの場所に空きが出るという話があって。実は、ここはもともと町役場だったため内観から外観、すべてやり直す必要がありましたが、そこはさすが昭和30年代後半の建築物なんですよね。『造りがいい』と、リノベーションをお願いした建築士も唸ってました。私が28歳位の時です。もう少し新潟にいても良かったんですが、まさにタイミングですね

- 本土とは違う、島で開業することならではの喜びは?

児玉:やはり生まれ育った島で、しかも小さい町ですから。私をわんぱくだった幼少期からご存じの近所の方々が『ノブちゃんが戻ってきた!』と喜んでくれたのが嬉しかったし、ホッとしました。とはいえ、島の口コミ力は、良くも悪くも大きいです。一所懸命やっているうち、いつの間にか『先生しかおらんちゃ!』と来られる方も。今や、親子4代診ているご家庭もあって、患者様たちの成長を見続けられる喜びは何ものにも代えがたい。当然、だからこそのプレッシャーもありますが、それさえもありがたいですよね

奥様 寿子さん(以下、寿子):私は4年前に東京から島に来ましたが、人と人との繋がりの豊かさに心癒されています。島で採れた旬のものをいつも差し入れていただいて…先日も名産のおけさ柿が山のようにありましたよ

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一番に考えるのはこれからの佐渡島の医療と未来

- では、本土と違って苦労されている点は?

児玉:例えば、新潟市内でセミナーなどがあり、行こうと思っていても、天候の都合で船が出なくて行けないとか、逆にセミナーに参加しても帰りの船が出ないとか…天気予報とは常ににらめっこですね(笑)。また技工物など、本土からの物資の配達が遅延したりといったことも大いにあります

寿子:それと、これは深刻な問題ですが、若者の流出と人材の高齢化でこのままだと佐渡の医療関係が7年後にはなくなるという試算が出ています

児玉:そうなんです…。近くにある総合病院の関係者とも『これからの佐渡の医療をどうするのか?』ということをよく話しています

- どのような対策を検討されてらっしゃるのでしょうか?

児玉:私は佐渡歯科医師会の代表でもあるのですが、1年程前から、医療・介護などに携わるすべての関係者がチームを組んで『オール佐渡』として、他県からなんとか島の医療を支えてくれる人材が呼べないか、検討を進めています。佐渡は〝日本で一番大きな離島〟というだけではない、例えば『佐渡で働けばこんな資格が取れますよ』といった具体案を出せるよう、努力しているところです

- インベストメントパートナーズとのお付き合いのきっかけを教えてください。

児玉:お電話をいただいたことがきっかけです。ちょうどそのころ、リタイアメントや将来設計などのことを考えていました。嫁いだ娘に子供ができて、息子も大学を卒業し就職…さて、自分は?と不安になっていた時期だったんです

寿子:その時に主人が嬉しそうに話していたのですが『のんびりと世界一周旅行に行きたいと、久しぶりに夢を語れた』と。そのような思いを巡らす時間もなく仕事に邁進してきましたから、主人にとっていい出会いになったと思います

児玉:落ち着いたら、二人でゆっくり旅行できればいいね

- 今後の展望をお聞かせください。

児玉:これからも一人の歯科医として、佐渡歯科医師会の代表として佐渡島全体を俯瞰的に見て、将来のことを考えて、イベントや催しで盛り上げて行ければと思っています。島民はもちろん、島外の方に、島の魅力を広く知ってもらえるよう頑張り続けたいですね

- 最後に何かひと言ございましたら。

児玉:この記事を読まれて、佐渡に興味を持って頂けた方、ぜひ一緒にやっていきませんか?

 

広く取られた待合室はキッズスペースもあり、近所の方たちが井戸端会議に華を咲かせている

 

イベントに自ら登壇し、“健口”の大事さ、正しいケアの方法などをアピールする児玉先生

 

夏は磯釣りにバイク(トライアスロン出場)、冬は島内スキー場でモーグルと、オフの過ごし方も佐渡ならでは

 

こだま歯科医院

住所:新潟県佐渡市千種丙207-8
電話:0259-63-4501
診察時間:平日9:00~12:00、14:30~17:00
     土曜9:00~11:00、13:30~15:00
休診日:木曜、日曜、祝日 スタッフ数:4人
1日の来患数:30人 ユニット数:4台

 

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